揺れる想い

古紫汐桜

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田川君の思い

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「まぁ……良いけどさ。ただ、あんまり聡に悲しそうな顔をさせないで欲しいんだわ」
ポツリと言われて顔を上げると
「まぁ、こんな話をしたなんて知ったら、俺が聡に怒られるけどさ」
そう言って肩を窄めた。
(田川君が悲しそうな顔?)
小野君の言葉に首を傾げると
「あ!居た居た!」
私と小野君を探していたらしく、他のメンバーがゾロゾロと近付いて来た。
「ち~ちゃん!何処行ってたの?」
私が涙目で抱き着くと
「え?トイレ」
と、ち~ちゃんは私の涙目に不思議そうな顔をして答えると
「俺と繭花は買い物」
って石橋君が繭花ちゃんを指して答えた。
(さすがB型カップル!自由人!)
そう思っていると、田川君が
「俺も便所」
と飄々としている。
(この田川君が、悲しそうな顔?)
思わず見上げていると
「なんだよ?あ!もしかして、清水の舞台から飛び降りたいのか?」
なんて言って、笑ってる。
(田川君が悲しそうな顔だなんて、小野君の気のせいだね)
そう思っていると
「清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟って、どのくらいの覚悟なんだろうな?」
ポツリと田川君が呟いた。
そんな田川君の横顔を見つめていると、田川君は私の視線に気付いて突然、頭を掴んだ。
「痛い!ちょっと、何で頭を掴むのよ!」
「生意気な顔をしてたからだよ!」
そう言って、私の鼻を摘んだ後に額をぺちんって叩いた。
「もう!田川君のせいで、絶対身長縮んだよ!」
ブツブツと文句を言っていると
「明日……」
と、田川君が突然呟く。
「え?」
驚いて見上げると
「自由行動……楽しみだな」
そう言われて頷くと
「着物のレンタル、七五三さん用かもな」
って言い出した。
「もう!子供じゃないもん!」
反論する私に、田川君が楽しそうに笑っていた。
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