揺れる想い

古紫汐桜

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別れたけど……

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「たまちゃん!もう、忘れるんでしょう!」
そう言われて、私は小さく笑う。
ち~ちゃんが鼻息荒く席に座ると
「でも、それで本当に良いの?」
ぽつりと夏美ちゃんに言われて、笑顔が固まる。
「優里はさ、一度好きになるとそんな簡単に割り切れないでしょう?」
 そう言われて俯くと
「それと、まだ何か隠してるよね?」
目を据わらせて言われて視線を逸らす。
すると
「やっぱり!吐け!素直に全て話しなさい!」
夏美ちゃんに迫られ、渋々と
「実は……」
ってコソコソと話をした。
「キ!!!(ス)」
最後まで言う前に、ち~ちゃんの口を押さえると、私の手を退かして
「それって、別れて無いじゃん!」
と叫んだ。
「でも、LIMEはブロックしたから、もう連絡着かなくしたよ」
そう言った私に
「ねぇ、たまちゃん。本当にそれで終わって良いの?絶対に後悔しない?」
亀ちゃんの言葉に息を飲む。
「無理でしょう?さっきのあの顔、まだ全然好きじゃない」
ずっと黙っていた理恵ちゃんが、バッサリ切る。
ぐうの音も出せずに居ると
「でも、なんで長塚はたまちゃんとオープンに付き合わないんだろうね?」
と、ち~ちゃんが呟いた。
「さぁ?興味無い」
相変わらずの理恵ちゃんの辛辣な切り込みに、ち~ちゃんが苦笑いする。
「私が見た2人はさ、本当に初々しいカップルって感じで可愛いかったのになぁ~」
ち~ちゃんの呟きに、4人が一斉にち~ちゃんの顔を見た。
「え?添田さん、長塚とたまちゃんの現場見たの?」
「え?マジで二人、付き合ってたの?」
夏美ちゃんと理恵ちゃんの言葉に、ち~ちゃんが苦笑いを浮かべた。
「確かね~、画像残ってた筈」
と、ち~ちゃんがスマホを取り出した。
「ギャーっ!止めて!ち~ちゃん!」
思わず叫んだ瞬間
「なに騒いでるんだよ!お前の声、廊下の端まで響いてんぞ」
「はい!この写真!」
がハモった。
ち~ちゃんのスマホ画面いっぱいに写し出された、私と長塚君のツーショット。
私、画面見て固まる。
他4人
「マジか~!たまちゃん、超女の子!」
叫んでいる。
すると田川君がち~ちゃんのスマホを奪うと、一瞥してから放り投げた。
「ち……ちょっと、田川君!」
慌ててキャッチしたち~ちゃんに
「お前ら騒ぎすぎ」
そう言って、何故か私の額にデコピンした。
「え?なんで私?」
額を押さえて文句を言うと
「お前の声が一番うるさかったから!」
そう言われた。
私が頬を膨らませると、田川君に親指と人差し指で私の頬を挟んで膨らませた頬を潰されてしまう。
そしてぷッと笑うと
「お前、本当にブサイクな顔だな」
って笑い出した。
「酷い!」
怒ろうと思って立ち上がり掛けて、視界の端に亀ちゃんが映る。
亀ちゃんの視線は田川君へと向けられていて、私が絡んじゃいけないんじゃないかって思った。すると田川君が、私の頭の上に腕を組んで乗せて来た。
「ちょっと!何してるのよ!」
「あ!悪い悪い。ちょうど良い台があると思って!」
そう言って笑ってる。
「あ!田川君、修学旅行の買い物どうするの?」
私をからかう田川君に、夏美ちゃんが声を掛けた。
「え?班のみんなで行くけど?」
「じゃあ、優里や添田さん達も一緒に?」
「だよな?」
田川君が私の頭に乗っかったまま、質問して来る。
私がムッとして無視していると
「おい、聞いてるか?」
と、頭の上から声を掛けて来る。
私が無視してお弁当を片付けていると、ずっしりと体重を掛けて来た。
「ちょっと!重い!」
怒って頭を退かすと
「なんで無視するんだよ!」
と文句を言って来た。
「はあ?私、台だから喋りませんでした~」
「うわ!可愛くねぇ!」
「はいはい。田川君に可愛いなんて、思われたくありません!」
私はそう言って席を立った。
「トイレ行って来るね」
そう言って、お弁当をサブバッグに入れて教室を後にした。
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