揺れる想い

夢の国のお土産と電話

自宅に帰宅して、早速お土産のキーホルダーを出してみた。
中には紙が入っていて、石の色によって意味が違うみたいだった。
青は勉強運、緑は総合運、黄色は金運。
そしてピンクは……やっぱり恋愛運。
夢の国のお姉さん、ナイスアドバイスをありがとう。
説明書を読むと、マッキーからのアドバイスと記され
「この石は縁結びの石だよ！僕達のパワーが入ったこの石を好きな人に渡せば、きみの想いは通じるよ」
って書いてあった。
「縁結び！」
思わず一人でテンションが上がった瞬間、スマホからLIMEの着信音が鳴り響いた。
驚いて飛び上がると、長塚君からのLIIMEだった。
『今、帰宅して、姉貴にお土産渡したよ。
凄く喜んでくれて「よろしく伝えて」だって』
と書いてあった、
『本当に？喜んでもらえて良かったよ。私も、長塚君が買ってくれたキーホルダー。学生鞄に付けたよ』
鞄に付けた写メを添付してLIMEを送ると、すぐに返信が返ってきた。
『思ったよりデカいね！存在感半端無い』
笑った顔のスタンプも送られて来て、思わず微笑む。
その時、ふと思い出して
『あ！そうそう。ち～ちゃんが撮ってくれた写真、いる？』
と、勇気を振り絞ってお土産の流れから聞いたら
『欲しい。送って』
と返って来た。
（欲しいんだ！）
思わずスマホを握り締めてニヤけてしまう。
今日、ち～ちゃん達と分かれる少し前、夢の国名物のニャンデレラ城の前でお互いのツーショットを撮ったのだ。
ち～ちゃんカップルは慣れたもんで、素早く終わったんだけど……。
「ちょっと！距離が遠い！」
「もっと、近付いて！」
等とやいのやいの言われて、ようやく撮った記念の写メ。
それはいつもの表情の長塚君に対し、私はめちゃくちゃ緊張した顔で写っている。
私が写メを送ると
『俺、凄い顔してるな』
って返信が来た。
『え？それを言うなら私だよ！』
と返すと
『じゃあ、お互い様ってことで』
そう返信が返ってきた。
それでも、二人で写った写メが欲しいと言ってもらえて嬉しかった。
何度も何度も長塚君の文面を読み返し、長塚君の声でリピート再生した。
1人ニヤニヤしながら長塚君に送った写メを見ていると
『今日は楽しかったね』
とLIMEが来て、私は飛び跳ねてしまう。
『うん、楽しかった！ハプニングはあったけどね』
『ハプニング？』
『ほら、ち～ちゃん達カップルに遭遇したじゃない？』
『あぁ……忘れてた(笑)
又、行こうな』
LIMEのやり取りだけでも嬉しいのに、「又、行こう」の文字に胸がいっぱいになる。
『本当に！うん、絶対にまた行こうね！』
と返信を打ち、おやすみスタンプを送った。
すると長塚君からも
『おやすみ、また明日ね』
と返信が来て終了した。

私達のやり取りにはルールがある。
電話の場合、先に電話を切るのは私。
LIMEは長塚君のメッセージで終わらせる。

それは初めて電話した時
「じゃあね」
と言った後、どちらも通話を切らなくて
「今度こそじゃあね」
を何度も繰り返した。
結果、長塚君が
「先に電話を切るのが苦手」
と言い出して、私が先に切るようになった。
LIMEも私が返信すると、どこで終わらせれば良いのか分からないと呟いていたので、長塚君からの返信を最後にするようになった。
　気が付いついたら、私達には私達のルールみたいなのもがいつの間にか出来上がっていたのだとしみじみと幸せを噛み締めていた。
　でも、この時の私は、まさか長塚君がくれたこのキーホルダーが、あんな事件になるなんて、思いもしなかった。