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すれ違う想いと、私を助けてくれたのは……
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驚いて見上げると
「ちょっと良い?」
って腕を掴まれて歩き出す。
「長塚君?ど……どうしたの?」
グイグイと腕を引っ張って歩く長塚君が、非常階段に出た瞬間に腕を離した。
「何?どういうつもり?」
いきなり言われて、目が点になる。
「え?」
「俺と付き合ってるのに、どうして他の奴との方が仲が良いの?」
そう言われて、喉に言葉が詰まる。
「なんで何も答えないの?」
責めるような口調に、喉が焼けるように熱い。
「だって、長塚君は……学校で私と話をしたくないんでしょう?」
そう呟くと
「そんなこと無いって言っただろう!」
って、強い口調で返される。
「でも、実際、そうじゃない。私、昨日だって……本当に辛くて……。長塚君に助けて欲しかったのに、私を置いて帰ったよね?」
「あれは!」
「ねぇ、私って長塚君にとってなに?」
「……」
涙が溢れそうだった。
奥歯を噛み締めて、長塚君の答えを待っていると、予鈴が鳴り響く。
「戻らないと……」
そう呟いて私に背中を向けた長塚君に
「そうやって……、自分に都合の悪いことは答えてくれないんだね」
ポツリと呟いた。
弾かれるように振り向いた長塚君に、私は笑顔を浮かべた。
「でも……悔しいけど、私が好きなのは長塚君だよ。他の誰でも無いよ」
そう答えた私に、長塚君が口を開き掛けた。
すると非常階段のドアが開き
「あ!こんな所に居た。長塚、朝礼始まるよ!」
と言って、長塚君の腕に絡まる手が見えた。
慌てて顔を上げると、得意気な笑みを浮かべた女の子が私を見下ろして
「あれ?同じクラスの子じゃないよね?何?もしかして長塚君に朝から告白?バッカじゃないの?」
と言われてしまう。
私が俯いて握り拳を握ると
「田上?此処に居たんだ。探したよ」
そう言って、田川君が二人の間を割って私の前に来ると、腕を掴んで歩き出した。
そして二人に背を向けた状態になると振り向いて、田川君が長塚君の腕に絡まる女の子に
「言っとくけど、田上は長塚に拉致されたんだからな!勘違いしてんじゃねぇよ!」
そう言って睨むと、長塚君を見下ろし
「お前、なんでコイツを庇わないの?お前が連れ出したんだろう?」
と吐き捨てるように言うと、そのまま教室へと歩き出した。
長塚君はなにか言おうと口を開き掛けて、そのまま俯いてしまった。
逆だったら、どんなに嬉しかっただろう……と思ったけど、それが無理なのは分かっていた。
「ちょっと良い?」
って腕を掴まれて歩き出す。
「長塚君?ど……どうしたの?」
グイグイと腕を引っ張って歩く長塚君が、非常階段に出た瞬間に腕を離した。
「何?どういうつもり?」
いきなり言われて、目が点になる。
「え?」
「俺と付き合ってるのに、どうして他の奴との方が仲が良いの?」
そう言われて、喉に言葉が詰まる。
「なんで何も答えないの?」
責めるような口調に、喉が焼けるように熱い。
「だって、長塚君は……学校で私と話をしたくないんでしょう?」
そう呟くと
「そんなこと無いって言っただろう!」
って、強い口調で返される。
「でも、実際、そうじゃない。私、昨日だって……本当に辛くて……。長塚君に助けて欲しかったのに、私を置いて帰ったよね?」
「あれは!」
「ねぇ、私って長塚君にとってなに?」
「……」
涙が溢れそうだった。
奥歯を噛み締めて、長塚君の答えを待っていると、予鈴が鳴り響く。
「戻らないと……」
そう呟いて私に背中を向けた長塚君に
「そうやって……、自分に都合の悪いことは答えてくれないんだね」
ポツリと呟いた。
弾かれるように振り向いた長塚君に、私は笑顔を浮かべた。
「でも……悔しいけど、私が好きなのは長塚君だよ。他の誰でも無いよ」
そう答えた私に、長塚君が口を開き掛けた。
すると非常階段のドアが開き
「あ!こんな所に居た。長塚、朝礼始まるよ!」
と言って、長塚君の腕に絡まる手が見えた。
慌てて顔を上げると、得意気な笑みを浮かべた女の子が私を見下ろして
「あれ?同じクラスの子じゃないよね?何?もしかして長塚君に朝から告白?バッカじゃないの?」
と言われてしまう。
私が俯いて握り拳を握ると
「田上?此処に居たんだ。探したよ」
そう言って、田川君が二人の間を割って私の前に来ると、腕を掴んで歩き出した。
そして二人に背を向けた状態になると振り向いて、田川君が長塚君の腕に絡まる女の子に
「言っとくけど、田上は長塚に拉致されたんだからな!勘違いしてんじゃねぇよ!」
そう言って睨むと、長塚君を見下ろし
「お前、なんでコイツを庇わないの?お前が連れ出したんだろう?」
と吐き捨てるように言うと、そのまま教室へと歩き出した。
長塚君はなにか言おうと口を開き掛けて、そのまま俯いてしまった。
逆だったら、どんなに嬉しかっただろう……と思ったけど、それが無理なのは分かっていた。
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