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妹が……BL漫画家になっていた!①
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「お兄ちゃん、このままずっと家に居るの?」
帰省して1週間が経過した頃、2つ年下の妹、琴音が居間のコタツでゴロ寝している俺に聞いて来た。
「迷惑か?」
大学進学から一度も帰らなかった僕が、突然帰省して家族は驚いていたが、事情を聞いて
「しばらくゆっくりしなさい」
と言ってはくれたが……やはり本音は迷惑なのだろうと思っていると
「ううん、全然! むしろ大歓迎だよ。ねぇ、お兄ちゃん。お願いがあるの」
琴音は意を決した顔をして僕の前に正座した。
「お願い?」
そんな琴音に向かい合うように座ると
「そう。実はさ、私、漫画を描いているんだよね」
真剣な表情で告げた。
「えっ! 凄いじゃないか! 漫画家になるのが夢だったもんな!」
手放しで喜ぶ僕に、琴音は言いづらそうに顔を曇らせると
「そう……なんだけどさ。実はね、男性の裸を描かなくちゃならなくて、お兄ちゃんがモデルになってくれると嬉しいなぁ~とか思うんだけど……」
と呟いた。
「裸? あぁ、上半身か? 僕みたいなヒョロっこい身体で良いなら」
そう言いながら上着を脱ごうとすると
「違うの! ……その、全裸」
と叫ばれた。
(ん? 今、何て?)
琴音と向き合い、目を瞬かせる。
(き……聞き間違いだよな)
僕がから笑いしながら
「え? なんだって?」
と聞き返すと
「全裸を見たいの! 特に〇〇〇の形が見たいの!」
妹の言葉に、失神しそうになった。
「はぁ! お前、何言ってるんだよ!」
「お兄ちゃんが悪いんだよ! 帰省して来るから、リア友がみんな沸き立っちゃってさ! リンきゅんのリンきゅんをリアルに描いて欲しいって言われた私の気持ち分かる?」
真顔で叫ばれ、唖然としてしまう。
「リンきゅんのリンきゅんって……」
何故、僕は琴音のリア友に『きゅん』呼びされてるんだ?
28歳の成人男性の名前に、きゅん付けって……。
真っ白になっていると
「お兄ちゃん、綺麗になって帰って来るからさ……。私も色々、大変なんだよ」
唇を尖らせて琴音がボヤいている。
「キャラデザを変更しなきゃだし、漫画よりリアルが上回るとか……」
はぁ……と溜息交じりに呟かれて
「リアル? 漫画? ……琴音、僕をモデルに漫画を描いているのか?」
思わずポツリと呟くと、琴音はハッとした顔をして口を塞ぐと
「え? 何の話かなぁ?」
と笑って誤魔化し始めた。
「だから、僕の裸が必要なのか?」
この時は、特に深い意味は無く聞いてみると
「そう……なんだけど、嫌だよね?」
琴音の言葉に
「全裸は無理だけど……」
と呟いてしまったが最後
「上半身だけでも良いから、モデルやってくれる? もちろん、バイト代は出すから!」
前のめりで叫ばれてしまう。
「えっと……まず、その漫画見せて」
手を出して言った瞬間、今度は琴音が固まった。
「え?」
「見せてくれたら、考える」
僕の言葉に、琴音が息を飲んだ。
帰省して1週間が経過した頃、2つ年下の妹、琴音が居間のコタツでゴロ寝している俺に聞いて来た。
「迷惑か?」
大学進学から一度も帰らなかった僕が、突然帰省して家族は驚いていたが、事情を聞いて
「しばらくゆっくりしなさい」
と言ってはくれたが……やはり本音は迷惑なのだろうと思っていると
「ううん、全然! むしろ大歓迎だよ。ねぇ、お兄ちゃん。お願いがあるの」
琴音は意を決した顔をして僕の前に正座した。
「お願い?」
そんな琴音に向かい合うように座ると
「そう。実はさ、私、漫画を描いているんだよね」
真剣な表情で告げた。
「えっ! 凄いじゃないか! 漫画家になるのが夢だったもんな!」
手放しで喜ぶ僕に、琴音は言いづらそうに顔を曇らせると
「そう……なんだけどさ。実はね、男性の裸を描かなくちゃならなくて、お兄ちゃんがモデルになってくれると嬉しいなぁ~とか思うんだけど……」
と呟いた。
「裸? あぁ、上半身か? 僕みたいなヒョロっこい身体で良いなら」
そう言いながら上着を脱ごうとすると
「違うの! ……その、全裸」
と叫ばれた。
(ん? 今、何て?)
琴音と向き合い、目を瞬かせる。
(き……聞き間違いだよな)
僕がから笑いしながら
「え? なんだって?」
と聞き返すと
「全裸を見たいの! 特に〇〇〇の形が見たいの!」
妹の言葉に、失神しそうになった。
「はぁ! お前、何言ってるんだよ!」
「お兄ちゃんが悪いんだよ! 帰省して来るから、リア友がみんな沸き立っちゃってさ! リンきゅんのリンきゅんをリアルに描いて欲しいって言われた私の気持ち分かる?」
真顔で叫ばれ、唖然としてしまう。
「リンきゅんのリンきゅんって……」
何故、僕は琴音のリア友に『きゅん』呼びされてるんだ?
28歳の成人男性の名前に、きゅん付けって……。
真っ白になっていると
「お兄ちゃん、綺麗になって帰って来るからさ……。私も色々、大変なんだよ」
唇を尖らせて琴音がボヤいている。
「キャラデザを変更しなきゃだし、漫画よりリアルが上回るとか……」
はぁ……と溜息交じりに呟かれて
「リアル? 漫画? ……琴音、僕をモデルに漫画を描いているのか?」
思わずポツリと呟くと、琴音はハッとした顔をして口を塞ぐと
「え? 何の話かなぁ?」
と笑って誤魔化し始めた。
「だから、僕の裸が必要なのか?」
この時は、特に深い意味は無く聞いてみると
「そう……なんだけど、嫌だよね?」
琴音の言葉に
「全裸は無理だけど……」
と呟いてしまったが最後
「上半身だけでも良いから、モデルやってくれる? もちろん、バイト代は出すから!」
前のめりで叫ばれてしまう。
「えっと……まず、その漫画見せて」
手を出して言った瞬間、今度は琴音が固まった。
「え?」
「見せてくれたら、考える」
僕の言葉に、琴音が息を飲んだ。
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