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例え誰であろうと、許せません!

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エミリアの言葉に、私は頬をかいて笑うしかない。
だって私が使える魔法は、そよ風程度の風を起こす事くらい。
(でもね、実家に居た頃は、夏になるとマーク達に私の起すそよ風は気持ち良いって言われていたのよ!)
バルフレア家は、代々、風の精霊の加護を受けている。
レイモンド兄様は、風を自由に操る事が出来るの。
しかも、魔法学園で魔法学を学び、最近では加護なしで雷や雨を降らせるようになったのだとか。
しかも卒業後には、バルフレア家の当主が代々引き継ぐ秘密の能力を引き継ぐのだとか!(残念なのが、男子にしか引き継げない能力らしくて.......私は引き継げないの)
アティカス王子に関しては、王家は代々、精霊全ての加護を受けるらしい。
それに加えて、精霊王から光魔法の加護を受けているから、いわゆるチートな訳。
容姿端麗、頭脳明晰、魔法は4属性精霊と精霊王から光の加護を受けているから、そりゃ~女子の憧れの的よね。
分かるけど.......、私は何故か恋愛対象としては見られないのよね~。
 エミリアは、そんな私の煮え切らない態度がイライラするするらしく
「そうだわ、フレイア様。折角ですから、私、貴女にお聞きしたい事がありますの」
と言い出した。
私が疑問の視線を向けると
「フレイア様、あなたは実兄のレイモンド様と禁断の仲だとか。レイモンド様からご教授を受けた手練手管で、純粋なアティカス様を陥落させたのだと有名ですわよ」
そうエミリアが呟いたのを聞いた瞬間、プツリと我慢の糸が切れた。
「まぁ~!不潔!」「汚らわしい」と口々に罵る令嬢を、私は片っ端から平手打ちしてやった。
最後にエミリアには、反対側の頬にも力いっぱいビンタを食らわして
「私の事は、どうとでも言えば良い!でも、レイモンド兄様を貶める言葉は許しません!」
そう叫んだ。
すると、エミリアが私を睨み付けて
「手を上げるなんて、なんて野蛮ですの!」
と叫んだので、再び手を振り上げると
「何の騒ぎ?」
背後からアティカス王子の声が聞こえた。
するとエミリアは急に涙を浮かべ
「アティカス様、聞いて下さいませ。私達は何もしていないのに、突然、フレイア様が私達の頬を叩いていらして.......」
そう言うと、アティカスの胸に縋り付いた。私が冷めた目でその様子を見ていると、エミリアは私に得意気な笑みを浮かべた後、アティカス王子の胸で肩を震わせて泣き出した。
すると、アティカス王子は私に視線を向けて
「フレイア。エミリア嬢はこう言っているけど、本当はどうなの?」
と、静かに聞いて来た。
「頬を叩いたのは事実です」
短くそう答えた私に、エミリアとその一派が口々に
「見て下さい!私達の頬が、赤くなっておりましてよ!エミリア様なんて、両頬を叩かれましてよ」
と、口々に主張している。
するとアティカス王子は冷静な態度のまま、自分に縋り付いて泣いているエミリアに
「では、次にきみ達に質問するね。なんでフレイアは、何にもしていないきみ達に手を上げたんだろうね?」
いつもの優しい声と笑顔で訊ねるアティカス王子に、彼女達は
「私達は、フレイア様と仲良くしたかっただけですのに.......」
「そうですわ!それですのに、私達のような自分より身分の低い人間とは付き合いたく無いと仰り、突然平手打ちして来ましたの!」
と、嘘八百を並べ立てた。
厳しいお妃教育のせいで、お茶会やパーティーに参加出来なかった私には、こうして庇い合う仲間は居ない。
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