15 / 91
アレクこと、アティカス王子との再会
しおりを挟む
物心着いた頃から妃候補として育てられた私は、10歳になると王宮で本格的な妃教育を受ける事になる。
そして5歳の初夏から6歳の春まで我が家で一緒に暮らしたアレクこと、アティカス王子と王宮で再会した。
一応、知らないフリをしなくちゃいけないから、私はドレスのスカートを摘み
「アティカス王子、お初にお目にかかります。フレイア・バルフレアです」
礼儀正しく挨拶をした。
すると、アティカス王子は必死に笑いを堪えた顔をすると
「久しいな、フレイア。息災か?」
と声を掛けて来た。
「うふふ。一応、私とアティカス王子は初対面となっている筈ですが?」
小さく笑って答えると
「やはり、僕だと分かっていたのか」
そう言って破顔した。
そして人払いすると
「少し歩かないか?」
と、庭園を指さされて
「喜んでご一緒させて頂きますわ」
そう言って並んで歩き出した。
「あれから、いかがでしたか?」
「うん。バルフレア家から頂いた銀食器のお陰で、母上の病も毒によるものだと判明してね。今や、僕も母上も健康そのものだよ」
笑って答えるアティカス王子は、我が家に居た頃の人懐っこい笑顔を浮かべた。
「そうでしたか.......。大変でしたわね」
神妙な顔をする私に、アティカス王子はクスクス笑い出し
「止めないか?折角、人払いしたんだ。アレクとフレイアで話をして欲しいな」
と言い出した。
「よろしいのですか?」
「あぁ.......。僕は婚約者のフレイアでは無く、親友のフレイアと話がしたいんだ」
そう言われて、私は辺りをキョロキョロと確認してから
「はぁ~!息が詰まりましたわ!」
伸びをした私に、アティカス王子はクスクス笑ったまま
「そうそう、そうでなくちゃ」
と言って、私の顔を覗き込んで来た。
「レイモンド兄様は元気?」
「えぇ、元気ですよ。あ!ちなみに、マークも元気よ」
「マークか.......、会いたいなぁ~」
遠い目をしたアティカス王子に
「あら!いつでも会いにいらしたら良いではないですか。お父様やお母様、レイモンド兄様はもちろん、マークも大歓迎だわ」
笑顔で答えた私に、アティカス王子は私の顔を覗き込んだまま
「そこにフレイアは入っていないのか?」
と悪戯っ子の顔をして聞いて来た。
私が笑いながら
「アレクになら、お会いしたいですわね」
そう答えると、声を出して笑いながら
「フレイアには敵わないな」
と笑っている。
「ねぇ、フレイア。以前、僕ときみは親友だと言っていたよね?」
そう言われて、私は頷きながら
「えぇ。今でも、私達は親友だと思っていますけれど.......。アティカス様は違うのですか?」
と答えた。
10年間の中のたった半年だとしても、アレクだったアティカス王子と暮らした日々は良い思い出だった。
現に、半年後にアティカス王子が王宮に帰る日。私も含め、家族みんなが泣いて見送った程だ。
最終日の前日の夜なんて、私とアティカス王子は一緒に手を繋いで寝た程の仲良しだったのだから.......。
そして5歳の初夏から6歳の春まで我が家で一緒に暮らしたアレクこと、アティカス王子と王宮で再会した。
一応、知らないフリをしなくちゃいけないから、私はドレスのスカートを摘み
「アティカス王子、お初にお目にかかります。フレイア・バルフレアです」
礼儀正しく挨拶をした。
すると、アティカス王子は必死に笑いを堪えた顔をすると
「久しいな、フレイア。息災か?」
と声を掛けて来た。
「うふふ。一応、私とアティカス王子は初対面となっている筈ですが?」
小さく笑って答えると
「やはり、僕だと分かっていたのか」
そう言って破顔した。
そして人払いすると
「少し歩かないか?」
と、庭園を指さされて
「喜んでご一緒させて頂きますわ」
そう言って並んで歩き出した。
「あれから、いかがでしたか?」
「うん。バルフレア家から頂いた銀食器のお陰で、母上の病も毒によるものだと判明してね。今や、僕も母上も健康そのものだよ」
笑って答えるアティカス王子は、我が家に居た頃の人懐っこい笑顔を浮かべた。
「そうでしたか.......。大変でしたわね」
神妙な顔をする私に、アティカス王子はクスクス笑い出し
「止めないか?折角、人払いしたんだ。アレクとフレイアで話をして欲しいな」
と言い出した。
「よろしいのですか?」
「あぁ.......。僕は婚約者のフレイアでは無く、親友のフレイアと話がしたいんだ」
そう言われて、私は辺りをキョロキョロと確認してから
「はぁ~!息が詰まりましたわ!」
伸びをした私に、アティカス王子はクスクス笑ったまま
「そうそう、そうでなくちゃ」
と言って、私の顔を覗き込んで来た。
「レイモンド兄様は元気?」
「えぇ、元気ですよ。あ!ちなみに、マークも元気よ」
「マークか.......、会いたいなぁ~」
遠い目をしたアティカス王子に
「あら!いつでも会いにいらしたら良いではないですか。お父様やお母様、レイモンド兄様はもちろん、マークも大歓迎だわ」
笑顔で答えた私に、アティカス王子は私の顔を覗き込んだまま
「そこにフレイアは入っていないのか?」
と悪戯っ子の顔をして聞いて来た。
私が笑いながら
「アレクになら、お会いしたいですわね」
そう答えると、声を出して笑いながら
「フレイアには敵わないな」
と笑っている。
「ねぇ、フレイア。以前、僕ときみは親友だと言っていたよね?」
そう言われて、私は頷きながら
「えぇ。今でも、私達は親友だと思っていますけれど.......。アティカス様は違うのですか?」
と答えた。
10年間の中のたった半年だとしても、アレクだったアティカス王子と暮らした日々は良い思い出だった。
現に、半年後にアティカス王子が王宮に帰る日。私も含め、家族みんなが泣いて見送った程だ。
最終日の前日の夜なんて、私とアティカス王子は一緒に手を繋いで寝た程の仲良しだったのだから.......。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる