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知られた秘密
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「高杉先生、はじめちゃんと喧嘩したんですか?」
受付の田崎さんの言葉に、思わず顔が引き攣る。
「今週、一度も来てないですよね?」
「あ!確かに。そう言えば、木漏れ日でも見掛けてないね」
田崎さんと杉山さんが話しているのを聞こえないフリをして、診察室に逃げ込んだ。
(もうすぐ1週間か……)
溜め息を吐く。
もう、はじめは此処には来ないだろうとは思っていたが、何処か心の中に油断があったんだと思う。
診療所が休みの日曜日。
家のインターフォンが珍しく鳴った。
もしかしたら、律義者の彼が鍵を返しに来たのかも知れないと、つい無防備に玄関を開けてしまい血の気が引く。
「やぁ、創。やっと見つけたよ」
二度と見聞きしたくない人物が2名、そこには立っていた。
慌ててドアを閉めようとすると、革靴の足先をドアに入れられ、2人掛りでドアをこじ開けた。
僕は鍵のある部屋へ逃げ込みながら、ポケットからスマホを取り出す。
何度も連絡しようとして止めた人の名前を、祈る気持ちでタップした。
(はじめ!助けて!はじめ!!)
すると秀一兄さんが勝兄さんに
「勝!玄関の鍵、忘れんな!」
そう言うと、逃げる僕の腕を掴み捻り上げた。手からはスマホが虚しく落ちて行く。
「誰に連絡してんだよ。お前を助けてくれる友達とか、居るのか?」
皮肉な言葉を言いながら、暴れる僕の腕を掴み
「寝室は何処だ?創」
そう聞かれる。
ガタガタと震える身体で必死に首を横に振ると、勝兄さんが階段を駆け上がり、ドアというドアを開けて行く。
そして3階から
「兄さん!あったよ!」
って叫ぶ声が聞こえた。
「来い!」
引き摺られるように引っ張られ、必死に抵抗していると『バシ』っと頬に痛みが走る。
「淫売の息子なんだから、黙って股開けば良いんだよ!」
って叫ばれた。
僕が、秀一兄さんを睨み
「母さんは……淫売なんかじゃない!勝手な事言うな!」
そう叫ぶと、お腹に一発蹴りを入れられて呼吸が止まり目眩がした。
グラリと揺れた身体を肩に担がれ
「お前が何処に逃げようが、何処までも探し出すからな!」
と、ポツリと呟かれて絶望した。
逃げられないんだと……。
どうにもならないのだと、思い知らされた気分になった。
でも、自分の寝室に踏み入れられ、汚されるなんて我慢ならなかった。
「嫌だ!止めろ!」
ベッドに放り込まれ、必死に抵抗した。
髪を捕まれ
「大人しくしろ!」
と、再び頬を叩かれそうになると
「秀兄!創の顔に傷付けんな!」
そう勝兄さんが叫んだ。
「創、やっぱりお前は綺麗だなぁ~」
勝兄さんはそう言って、僕の頬を撫でる。
「なぁ……俺さ、お前以外の奴が無理なんだよ。母様に頼んだら、兄様に子供出来たらお前を囲って良いって言われたんだ。だからさ、迎えに来たよ」
ゾッとする言葉に全身鳥肌が立つ。
受付の田崎さんの言葉に、思わず顔が引き攣る。
「今週、一度も来てないですよね?」
「あ!確かに。そう言えば、木漏れ日でも見掛けてないね」
田崎さんと杉山さんが話しているのを聞こえないフリをして、診察室に逃げ込んだ。
(もうすぐ1週間か……)
溜め息を吐く。
もう、はじめは此処には来ないだろうとは思っていたが、何処か心の中に油断があったんだと思う。
診療所が休みの日曜日。
家のインターフォンが珍しく鳴った。
もしかしたら、律義者の彼が鍵を返しに来たのかも知れないと、つい無防備に玄関を開けてしまい血の気が引く。
「やぁ、創。やっと見つけたよ」
二度と見聞きしたくない人物が2名、そこには立っていた。
慌ててドアを閉めようとすると、革靴の足先をドアに入れられ、2人掛りでドアをこじ開けた。
僕は鍵のある部屋へ逃げ込みながら、ポケットからスマホを取り出す。
何度も連絡しようとして止めた人の名前を、祈る気持ちでタップした。
(はじめ!助けて!はじめ!!)
すると秀一兄さんが勝兄さんに
「勝!玄関の鍵、忘れんな!」
そう言うと、逃げる僕の腕を掴み捻り上げた。手からはスマホが虚しく落ちて行く。
「誰に連絡してんだよ。お前を助けてくれる友達とか、居るのか?」
皮肉な言葉を言いながら、暴れる僕の腕を掴み
「寝室は何処だ?創」
そう聞かれる。
ガタガタと震える身体で必死に首を横に振ると、勝兄さんが階段を駆け上がり、ドアというドアを開けて行く。
そして3階から
「兄さん!あったよ!」
って叫ぶ声が聞こえた。
「来い!」
引き摺られるように引っ張られ、必死に抵抗していると『バシ』っと頬に痛みが走る。
「淫売の息子なんだから、黙って股開けば良いんだよ!」
って叫ばれた。
僕が、秀一兄さんを睨み
「母さんは……淫売なんかじゃない!勝手な事言うな!」
そう叫ぶと、お腹に一発蹴りを入れられて呼吸が止まり目眩がした。
グラリと揺れた身体を肩に担がれ
「お前が何処に逃げようが、何処までも探し出すからな!」
と、ポツリと呟かれて絶望した。
逃げられないんだと……。
どうにもならないのだと、思い知らされた気分になった。
でも、自分の寝室に踏み入れられ、汚されるなんて我慢ならなかった。
「嫌だ!止めろ!」
ベッドに放り込まれ、必死に抵抗した。
髪を捕まれ
「大人しくしろ!」
と、再び頬を叩かれそうになると
「秀兄!創の顔に傷付けんな!」
そう勝兄さんが叫んだ。
「創、やっぱりお前は綺麗だなぁ~」
勝兄さんはそう言って、僕の頬を撫でる。
「なぁ……俺さ、お前以外の奴が無理なんだよ。母様に頼んだら、兄様に子供出来たらお前を囲って良いって言われたんだ。だからさ、迎えに来たよ」
ゾッとする言葉に全身鳥肌が立つ。
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