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これからの僕達③
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『パチパチ』と音を立てて薪の火が燃えている。
『ガラリ』と浴室のドアが開く音に、心臓が跳ね上がる。
お湯を掛ける音の後に、身体を洗う音が響いてやけに生々しい。
火の番をしていなくちゃいけないから、ドキドキと高鳴る心臓の音と格闘している。
しばらくして、湯船からお湯が溢れる音に変わると
「はじめ?」
って、創さんが俺の名前を呼んだ。
『ドクリ』と心臓が鳴り響き、ドッドッドッと鼓動が早まる。
邪念を払おうと夜空を見上げた瞬間、窓が開いて創さんが顔を出した。
「うわ!」
驚いて尻もちをつくと、創さんが呆れた顔で窓から俺を見下ろしている。
「居るんじゃないか……。返事くらいしろよ」
窓から肩まで出した創さんの髪の毛が濡れていて、そういえば創さんの濡れ髪を初めて見たなぁ~って思って見上げていた。
「静かだな……」
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、創さんはそう呟くと空を見上げた。
俺は視線を火に戻すと
「お湯、熱くないですか?」
そう呟いて、薪を火の中へと放り込む。
「大丈夫だ。薪で沸かしたお風呂なんて、初めて入ったよ。お湯が柔らかい気がする」
俺に視線を向ける創さんから、ぎこちなく視線を反らす。
「空……」
視線を炎に向けている俺に、創さんがポツリと呟いた。
「真っ黒なんだな」
創さんの言葉に、俺も空を見上げた。
「満天の星空とか……テレビや本でしか見た事が無いんだ」
創さんの言葉に
「じゃあ、後で一緒に見に行きましょう」
と呟くと、創さんは目を見開いて
「見られるのか!」
って、身を乗り出した。
創さんの裸の上半身を見てしまい
「わぁ~!創さん!身を乗り出さないで下さい!危ないですよ!」
って叫んだ。
「そんなに見たいなら連れて行きますから! とにかく、肩までお湯に浸かって下さい! 風邪引きますよ!」
慌てて叫んで、創さんを浴室に押し戻す。
すると創さんは口をへの字にして
「別にはじめになら、見られても良いのに……」
そう言って、ブクブクとお湯に息を吐きながら湯船の中に沈んで行った。
俺は熱くなった顔を手で扇ぎながら
「俺に襲われても……知りませんよ」
ポツリと呟いて、薪を1つ炎の中に放り込む。
「襲うって……はじめが?僕に突っ込まれたいのに?」
露骨な発言に、思わず唾液を器官に入れてしまいむせてしまう。
「突っ込まれたいって……創さん! 言い方!」
慌てて叫んだ俺に、ザバッと創さんがお湯から上がる音が響いた。
「はじめ、ありがとう。良いお湯だったよ」
そう言って、創さんは浴室を後にした。
創さんの気配が無くなった浴室に、俺はホッとして溜め息を吐いた。
創さんは「恋人になろう」と言ってくれたけど、本当に俺なんかで良いのだろうか?
浴室から乗り出した身体は、薄紅色をしていて妙に色っぽかったなぁ~。
なんて思い出していると、はじめちゃんが元気になってしまう。
(ヤバい!)
慌てて前のめりになっていると
「はじめ、お前も次に入ったら?」
って、ばあちゃんが現れた。
「わぁ!!」
びっくりして仰け反ると、ばあちゃんはニヤニヤして
「はじめ……創の後だからって、風呂場でいかがわしい事はしないようにな」
そう言うと、「若いって良いね~」なんて言いながら高笑いして去って行った。
……どこまでが冗談で、どこまでが本気か分からなくてドギマギしてしまう。
『ガラリ』と浴室のドアが開く音に、心臓が跳ね上がる。
お湯を掛ける音の後に、身体を洗う音が響いてやけに生々しい。
火の番をしていなくちゃいけないから、ドキドキと高鳴る心臓の音と格闘している。
しばらくして、湯船からお湯が溢れる音に変わると
「はじめ?」
って、創さんが俺の名前を呼んだ。
『ドクリ』と心臓が鳴り響き、ドッドッドッと鼓動が早まる。
邪念を払おうと夜空を見上げた瞬間、窓が開いて創さんが顔を出した。
「うわ!」
驚いて尻もちをつくと、創さんが呆れた顔で窓から俺を見下ろしている。
「居るんじゃないか……。返事くらいしろよ」
窓から肩まで出した創さんの髪の毛が濡れていて、そういえば創さんの濡れ髪を初めて見たなぁ~って思って見上げていた。
「静かだな……」
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、創さんはそう呟くと空を見上げた。
俺は視線を火に戻すと
「お湯、熱くないですか?」
そう呟いて、薪を火の中へと放り込む。
「大丈夫だ。薪で沸かしたお風呂なんて、初めて入ったよ。お湯が柔らかい気がする」
俺に視線を向ける創さんから、ぎこちなく視線を反らす。
「空……」
視線を炎に向けている俺に、創さんがポツリと呟いた。
「真っ黒なんだな」
創さんの言葉に、俺も空を見上げた。
「満天の星空とか……テレビや本でしか見た事が無いんだ」
創さんの言葉に
「じゃあ、後で一緒に見に行きましょう」
と呟くと、創さんは目を見開いて
「見られるのか!」
って、身を乗り出した。
創さんの裸の上半身を見てしまい
「わぁ~!創さん!身を乗り出さないで下さい!危ないですよ!」
って叫んだ。
「そんなに見たいなら連れて行きますから! とにかく、肩までお湯に浸かって下さい! 風邪引きますよ!」
慌てて叫んで、創さんを浴室に押し戻す。
すると創さんは口をへの字にして
「別にはじめになら、見られても良いのに……」
そう言って、ブクブクとお湯に息を吐きながら湯船の中に沈んで行った。
俺は熱くなった顔を手で扇ぎながら
「俺に襲われても……知りませんよ」
ポツリと呟いて、薪を1つ炎の中に放り込む。
「襲うって……はじめが?僕に突っ込まれたいのに?」
露骨な発言に、思わず唾液を器官に入れてしまいむせてしまう。
「突っ込まれたいって……創さん! 言い方!」
慌てて叫んだ俺に、ザバッと創さんがお湯から上がる音が響いた。
「はじめ、ありがとう。良いお湯だったよ」
そう言って、創さんは浴室を後にした。
創さんの気配が無くなった浴室に、俺はホッとして溜め息を吐いた。
創さんは「恋人になろう」と言ってくれたけど、本当に俺なんかで良いのだろうか?
浴室から乗り出した身体は、薄紅色をしていて妙に色っぽかったなぁ~。
なんて思い出していると、はじめちゃんが元気になってしまう。
(ヤバい!)
慌てて前のめりになっていると
「はじめ、お前も次に入ったら?」
って、ばあちゃんが現れた。
「わぁ!!」
びっくりして仰け反ると、ばあちゃんはニヤニヤして
「はじめ……創の後だからって、風呂場でいかがわしい事はしないようにな」
そう言うと、「若いって良いね~」なんて言いながら高笑いして去って行った。
……どこまでが冗談で、どこまでが本気か分からなくてドギマギしてしまう。
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