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契約

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   そこは、お店から徒歩10分圏内にあった。
俺はオシャレな3階建ての建物の前に立っている。
友也には何故かめちゃくちゃ心配され、何度も「一緒に行く」と言われたが、丁重にお断りして、いざ!中へ。
住宅街に佇む『高杉クリニック』と看板が出されたオシャレな診療所。
何の病院かは書かれておらず、中に入ると高杉様から香る甘い優しい香り。
アロマ?って奴かな?
待合室には会計を待つ人が、ポツポツと離れて座っている。
受付に顔を出して
「すみません。高杉様に頼まれて、コーヒーとケーキをお持ちしました」
と声を掛けた。
すると受付の人が驚いた顔をして
「えぇ!高杉先生が?」
そう言って顔を見合わせる。
すると診察室から患者さんが出て来たので、受付の一人が確認に向かったみたいだ。
「あ!本当に来てくれたんだ。ありがとう」
白衣を着た高杉さんが、めちゃくちゃ眩しい笑顔で現れた。
白衣の白さと高杉様の美貌で、俺、眩しくて目がくらみそうだよ。
眩しい高杉様にクラクラしながら、俺はコーヒーとケーキが入った紙袋を差し出す。
高杉様は俺の手からコーヒーとケーキが入った紙袋を受け取ると
「きみ、これから何か予定でも?」
と、小首を傾げて聞いて来た。
「あ……いや、特には……」
と思わず素直に答えると
「患者さんは後1人なんだ。話したい事があるから、上で待っててくれないかな?」
そう言われてしまう。
「はぁ?」
意味が分からなく頷くと、高杉様は受付の綺麗なお姉様方に紙袋を渡して
「コーヒー1つは僕のだけど、後は皆で分けて」
笑顔でそう言うと、受付からは歓喜の声が上がる。
「良いんですか?」
嬉しそうにしている彼女達に
「いつも遅くまで頑張ってもらってるからね。僕、少し外すけど良いかな?」
と言うと
「5分位ですよね?かしこまりました」
慣れた様子で受付のお姉様方は答えると、渡された紙袋の中を覗き込んでいた。
「じゃあ、着いてきて」
高杉様はそう言うと、ポケットから鍵を取り出し『staff only』と書かれたドアの鍵を開けた。
そこは裏口の玄関になっていて、高杉様は俺が入ると直ぐに鍵を掛けて、目の前の階段前に置かれたスリッパを勧めた。
毛足の長いモフモフのスリッパに足を入れ、前には白衣を揺らして軽やかに高杉様が階段を登る姿がある。
そして突き当たりのドアを開けると
「中で待ってて」
と、リビングに促された。
そこは俺の知ってる世界とは別次元だった。
木目調の温かいオールドブラウンで統一された部屋。
無駄の無い洗練された部屋に、俺はあんぐりと口を開けて入口に立っていた。
「どうしたの?そこに座って」
大きなテレビのあるソファーを勧められて、端っこにちょこんと座ると
「そんな隅っこじゃなくて、真ん中に座りなよ」
って、クスクス笑いながらグラスにお茶を注いで出してくれた。
「ごめんね、冷たいお茶しかななくて。部屋、寒くない?」
そう聞かれて、首を横に振ると
「多分……30分くらいかな?テレビでも見て、待ってて」
そう言い残すと、颯爽と高杉様は部屋を後にした。
まるでテレビドラマに出てくるような、オシャレで綺麗な部屋にあんぐりしながら部屋を見回す。
綺麗な人は、綺麗な部屋に住んでるんだなぁ~って思いながら、ふわりと香る高杉様の香りが漂う部屋で目を閉じた。

普段、どんな風に暮らしているんだろう。
後ろにあるキッチンで、料理したりするのかな?
料理って、どんな物を作るのかな?
高杉様から想像できるのは、やっぱりフランス料理かな?
あの綺麗な指が、どんな料理を作り出すのか見てみたいなぁ~。
朝早くからバイトだったせいか、なんだかウトウトしてしまう。
このソファー、気持ち良いなぁ~。
ふわふわとした気持ちで寝ていると
「あれ?寝ちゃったの?」
高杉様の声が聞こえる。
目を開けると、高杉様の顔がドアップだった。
あぁ……やっぱり右目の下にはほくろ2つ、縦に並んであるんだ~。
左側にもあって、口元のほくろが本当にエロイなぁ~。
ぼんやり考えて見てると
「そんなに僕の口元、エロイ?」
そう聞かれて目が覚める。
「え?俺……」
「心の声、ダダ漏れしてたよ」
色っぽい視線で俺を見下ろす。
「ねぇ……イケナイ事、してあげようか?」
耳元で甘く囁かれて、ゆっくりと高杉様の身体が俺の下半身へと移動する。
ジーンズのベルトが外されて、ゆっくりとボタンを外すと、まるで焦らすようにこれまたゆっくりとファスナーを下ろす。
「もしかして……、いつも妄想してた?僕がきみにこうしてる所?」
動き1つ1つがエロくて、目が離せない。
「ふふふ……、期待してたんだ。こんなに勃起させて……」
下着の上から、あの白くて綺麗な指が怒張した俺自身に触れる。
「ねぇ……どうして欲しい?これ……」
焦らすようにゆっくりと下着を下ろすと、元気な俺自身が飛び出して来た。
高杉様はクスクスと笑いながら、ビクビクと脈打つ俺自身の先端に唇を寄せて、フーっと息を吐いた。
(それ……ヤバイ!)
ビクビクと身体を揺らす俺に、そっと綺麗な白い指が俺自身を掴むと
「ずっと……僕にこうされたかったんでしょう?」
と言いながら、綺麗な唇から赤い舌が元気な俺自身に触れようとしたその瞬間
『ガチャリ』とドアが開く音が響き
「ごめん!思ったより遅くなった」
と、慌てた声が聞こえた。
「わぁぁぁぁ!」
高杉様の声に我に返り、思わず悲鳴を上げた。
「えっ!何?」
俺の声にびっくりする高杉様に、夢だったんだとガックリしながら、人様の家のリビングでなんちゅー夢を!と、凹んだ。
しかも、俺の「はじめちゃん」はすっかり臨戦態勢になっている。
まずい!これは非常にまずい。
そ~と隣のクッションを掴み、抱き抱える。

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