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フエの事情~浮気は許さない~

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「零さん、あの男誰?」

 フエは零に顔を近づけて問いかける。

「元同期の警察官だよ、私と似たような事情で警察止めて探偵になった」
「なんだそっかー! ……本当それだけ?」

 フエが再度確認するように聞く。

「それだけだよ、向こうの調査で進展が無いときお前達に調査依頼はしてただろう」
「あーあれね! なるほど」
「私はシャーロック・ホームズのような名探偵ではないからね」
「でもシャーロック・ホームズって薬物中毒じゃなかった?」
「そういう細かいネタはいいんだ」
「えー?」

 零の言葉に、フエは不満そう。

「そう言えばその捜査なんで私に頼んだの?」
「痕跡も残さず調べれるのはお前達くらいだろう」
「それはそうだけどさ」

 フエは未だ不満げ。
 零はそんなフエの頭を撫でる。

「フエ達のおかげで、被害者が救われるんだ。私はそれが何より嬉しい」
「うー、零さんずるい」

 フエは顔を赤くした。

「フエ、そんな顔してると柊に浮気してたと報告するぞ?」
「何でや! そんな顔するやろが!」

 慎次の発言にフエは噛みついた。

「慎次、フエに厳しくないか?」
「柊に、フエが零にデレデレしてたら浮気として報告して欲しいと言われていてな、そういう訳だ」
「柊さーん!」

 フエが頭を抱える。

「何なの、私悪いこと何もしてない!」
「してはいないが『花嫁』にデレデレしているのが柊的にはギルティらしい」
「ちくしょー!」

 フエは叫んだ。

「ちょっと柊さんの所に帰る! お説教だ!」
「おい、フエ!」

 フエは姿を消した。

「フエに頼みたいことがあったのだがな……」
「何だ?」
「高嶺と伊賀が少し手を焼いてる案件があってな、中々浮気の尻尾を出さずにいるとかで……」
「俺がやる、浮気しているのは確かなのだろう」
「うん、そうだ」

 慎次は姿を消した。

 一週間後──
「ほれ、証拠全部集めたぞ」
 変装している姿、そしてその姿で見知らぬ男とホテルに行く姿など様々な写真がとれていた。

「ありがたい、高嶺と、伊賀に渡そう」

 零はそう言って二人に証拠写真を渡して、依頼人に届けた。




「そう言えば俺がいない間誰がお前の世話を?」
「紅だ、仕事が終わったからと」
「そうか」
「ところでフエは?」
「未だ、柊と論争中だ」
「フエ……」

 零はなんとも言えない表情をした。




 それから一ヶ月後、何かに勝利したらしい、フエがまた零の元に通うようになった──





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