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外国NGな理由

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 海外について話した翌日。

「そういえば零、海外の異形案件に何か嫌な思い出でも」
「ある」

 零は慎次の問いに即答した。

「エクソシストの連中が『悪魔の力で倒した』『邪悪なる者め』とか言いだして私に石を投げてきたからそれ以来もう受けないことにした」
「エクソシスト……」
「ああ、ちなみに、そのエクソシスト連中はエルのご飯になったそうだ、過度な正義は悪になり得るからなぁ」

 零が遠い目をする。
 慎次はなんとも言えない表情を浮かべる。

「と、いう事で海外の案件は受けない、行くのも大変だしな」
「まぁ、確かに」
「エクソシストから謝罪と救援要請来たが『こちらの事を石を投げる程よく思ってない方々の依頼は受け入れられません、改宗するか、寛容になってからご連絡しなおしてください』の一点張りだ」
「えっとつまり……」
「他の国は絶対行かん、スパイ容疑かけられた事もあるし、この国の人間だからって暴力を振るわれたこともある、故に海外には行かん、心が狭くてすまんな」
「いや、海外までやると言われたら止めてたから良かったぞ」
「そうか」
 慎次の言葉に、零は安堵の表情を浮かべる。
「魔女狩りにもあったし、行くのはごめんだ」
「異形狩りで危険は犯すのにそっちの危険は犯さないんだな」
「スパイ容疑で拘束なんてされてみろ、フエ達が大暴れして、国は破滅するぞ」
「確かに」
「亡国になった方がいい国はあるが、それは私の仕事じゃない」

 零は疲れたように言った。




「へー零さんがそんな話を」
「ああ、海外に行くのはかなり嫌なようだ」
「それにしても、気づいてたんだ、あのエクソシスト連中エルのご飯になってたこと、過度の正義は悪になりかねないもんねぇ」

 フエはしみじみと言った。

「それにしてもそこまで海外に行きたくないなんてな」
「色々あったのよ……」
「あったのか……」

 遠い目をしてため息をつくフエに慎次は問いかける。

「スパイ容疑、魔女狩りなんてまだ可愛いレベルと思われる目に零さんあってきたからね、行きたくもなくなるよ」
「どんな目にあった?」
「零さんのプライバシー的にアウトだから言わない」
「……それほどか」

 慎次が驚いて言うと、フエが頷く。

「とまぁ、そんな事があったから海外まで行って異形退治はしたくないし、専門家いるだろうし、駄目ならフエ達がやるだろとうちらに投げてくれてる」
「そうか……」
「そういうことで、零さんの事はちゃんと頼んだわよ、私ちょっと外国行ってくるから」
「分かった、早く帰ってこいよ」
「もち! 柊さん、待たせてるしね」

 フエが消えると慎次もその場から姿を消した。




 翌日──
「どうした慎次、今日は餅づくしじゃないか」
「そんな気分だったんだ」
「珍しいな」
 そんなことを嬉々としていいながら零は雑煮を口にした。

「うん、美味い」
「たっぷり食えよ、食休み終わったら見廻り行くからな」
「ああ!」

 珍しく元気の良い零の返事を聞いて、慎次は薄く笑った──





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