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異形の子等は語り合う~番いについて~
しおりを挟む宵闇に響く異形の聲。
耳障りで、そして人の神経を冒す、病ませる聲。
暗闇に蠢く肉塊。
それが不気味な形状の犬に追い詰められ、無数の手に影に引きずり込まれていく。
「いい加減大人しく喰われろ」
「全くです」
「いやはや、悪あがきをするのも見苦しいですよ」
ニルスが愉快そうに言うと、慎次とレオンはどの口がほざいていると言わんばかりの目で彼を見た。
「こいつらに喰われた人を全て救出したいんだ、可能か?」
「マヨイが膜を張ってるなら多分……助けられる」
慎次の言葉に、零は祈るように目を閉じる。
異形が影に全て取り込まれ、影の無数の手が開くと数名の人が出て来た。
「五名……うん、いるな」
「全員気を失っているな」
「マヨイ、出番ですよ」
「うー!」
マヨイが触手で倒れている人達を包み込み、そしてそれを終えると目を覚まし始めた。
「あれ……」
「どうしてここに?」
「マヨイ、記憶も操作したな」
「う」
零の問いかけに、マヨイは頷いた。
「良い子だ」
「う!」
マヨイは喜色満面の顔を零に見せた。
「マヨイが地球規模の範囲で取り込んでも消化できないように結界貼られるようにしてたから今回も無事すんだよね」
フエはパリパリとポテトチップスを食べながら言う。
「そうだな」
「マヨイ、偉いぞ」
「えへへー」
紅に撫でられてマヨイは嬉しそうにした。
それを影から見つめる存在がいた。
隼斗だ。
「うう、マヨイ……」
「隼斗さん、いい加減マヨイへの依存をどうにかできませんか?」
「無理だ……」
レオンが呆れたように言うと、隼斗は首を振った。
レオンはため息をつく。
「あ、隼斗さん」
マヨイがてちてちと歩いてやってくる。
「どうしたの?」
「マヨイが……居ないから探しに来たんだ……」
「うん、わかった。おへやにもどろうね」
マヨイは隼斗の手を取り、部屋へと戻っていった。
「やれやれ……」
「隼斗さんのことー? あれ無理よー壊れた上依存してるんだもん」
フエが何でもないように言う。
「フエ、貴方も相当ですよ」
「ふーんだ」
指摘されると、フエはむくれた。
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慎次が呆れたように言うと、レオンも頷く。
「康陽さんには本当に助けられてますからね」
「ああ、あの蓮の精神を助けてるしな」
「そうだね、康陽さんには感謝してもしきれないよ」
「ぶえっくしゅ!」
「こ、康陽さん、風邪⁈」
「いや、誰か噂したんだろう……」
「でも風邪かもしれないし、早く休もう?」
「分かった分かった」
康陽は不安げな蓮の頭を撫でて、一緒にベッドに入って眠りに落ちた──
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