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悪夢~正夢~
しおりを挟む夢を見る。
周囲は真っ暗。
腕の中で「花嫁」が血だらけに──
「⁈」
慎次は飛び起きた。
額からは脂汗が滲んでおり、呼吸も荒い。
「……」
慎次は顔を覆った。
「何? 荒井が休み」
「そう、ちょーっと調子悪いみたいでね」
フエが朝食を作りながら説明していた。
作り終えた朝食を出し、それを零は食す。
「何か見たのか?」
「血だらけの零さん」
「血だらけの私?」
「そ、それで自分が何かしでかすんじゃないかった怖くなったんだってさ」
「……」
「そう言えば、今日はニルスとレオンを仕事?」
「ああ」
「じゃあ私もついていく」
「柊は大丈夫なのか」
「後でお叱りを受けるから」
「おいおい……」
ミニハンバーグの最後の一切れを口にして、零は肩を落とした。
「って何で私も逃げてるんだっけー?」
フエ達は追ってくる肉癖と無数の手から通路を走って逃げながらフエ以外叫ぶように会話をする。
「今回の異形はお前と同じ類いの異形だからだろう!」
「あそっか、だから食べれる外にでるまで逃げてるんだー」
「のんきだな!」
「いやはや、これは参った!」
「ニルス、貴様の所為だからな!」
「それはすまない、実にすまない!」
「反省の色がないな!」
そう言いながら漸く外へ飛び出す。
「よっしゃ、外に出たならこっちのもんだ」
フエが黒い肉癖になり、建物を包み込み、捕食を開始する。
と、同時に、別の不気味な人型の異形が現れた。
「‼」
零は弾丸を撃ち込む。
すると人型のそれは穴が空いたと同時に膨らみ、破裂した。
「うっ……」
異形の赤い血を被った零はその場に倒れ込んだ。
「所長!」
レオンが駆け寄り抱きかかえる。
「あーなるほど、慎次の言って居た血まみれの零さんってこういう事だったの」
捕食を終えたフエはいつもの姿に戻り、フエの頭を撫でる。
「……気絶させるだけじゃないわね、この血、同じ異形にする血だわ、早く対処を、マヨイ!」
「──うん!」
マヨイが地面から現れ、零を包み込む。
筒の触手からでてきた零はうなされるような苦しそうな表情から穏やかな表情にもどっていた。
「んじゃ、後の事は任せて、零さん連れて帰った帰った」
「うん!」
「分かりました」
「勿論ですとも」
レオンが眠る零を抱きかかえ、そのまま探偵事務所へと戻っていった──
「──という訳で、あの映像は零さんが負傷したものじゃないから安心しな」
異形の子等の住処に戻ると、フエは慎次に説明をした。
「そうか……」
慎次は安堵のため息をつく。
「でも悪い血だったからマヨイに対応してもらった」
「そうか」
「明日からはまたお世話お願いね」
「ああ」
そう言ってフエは自室へ戻った。
「浮気ものぉ!」
「だから違うってばー!」
そしていつものようにヒステリックになる依存症の柊を、ベッドに押し倒し、そのまま抱き潰した──
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