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古き怪異~今のルール~
しおりを挟む雪がしんしんと降る夜、零は一人外を出歩いていた。
零に関しては珍しい行動だった。
寒いのが苦手な零が、夜布団にくるまらずに外にでているなんて──
「いるんだろう、出てこい」
そう言うと吹雪いてきた。
姿を現したのは美しい女だった、着物を着た。
「『花嫁』はここにいるぞ」
その言葉に女は襲いかかってきた。
「はい、零さんお疲れ様~!」
フエの声が響き、女の体が氷のようになっていく。
そしてヒビが入り、砕けてしまった。
「やれやれ、怪異からも『花嫁』扱いか私は」
零は疲れたように言った。
それにフエが苦笑する。
「仕方ないよー零さんは特別なんだから」
「あまり良い特別ではないな」
零はため息をついた。
「それにしても雪女か、山にこもっているのではないのか」
「あーそれがねぇ、山の神様が別の異形に喰われて都会とか街とか村に逃げてきて人を襲ってるみたい」
「厄介な……」
零は再度ため息をついた。
「今紅姉さんが異形喰いにいってるから安心してよ、多分すぐ終わる」
「なら良いのだが……」
「終わったぞ」
「おうわ!」
「終わったのか」
紅が突如現れた事で双方違う態度を示す二人。
「厄介だった、山の神と呼ばれてる存在が、まだ異形の腹の中で生きていたから腹かっさばいて救出してから異形を喰うことになったから手間取った。そいつにはすぐ雪女達を元の場所に戻らせてそして人と関わるなと言った」
「さっきの雪女殺さなくても良かったのでは?」
「まぁ、無駄に被害者でるよりは」
フエはへらへらしていた。
「雪女の数が減ってても文句は言うなとは言っておいた」
「さっすが紅姉さん‼」
「すまんな」
「いや、既に雪女達での被害が出る直前だったから撃退されても仕方ないと向こうも納得したよ」
「しかし、今の時代に雪女かー」
フエは感慨深いように言う。
それに紅が言う。
「かつての神秘は失われ、今あるのは恐怖のみ」
「んー? 神秘と恐怖一緒じゃない?」
「そうかもしれないな」
「どちらにせよ、我我人間には厄介だ」
零は疲れたように言った。
体を震えさせている。
「事務所で暖かいお風呂と暖かいご飯用意してあるから、帰ろっか」
「ああ」
フエは零の手をつないで、その場を後にした。
そして、紅は雪女の残骸に声をかける。
「お前は人を殺しすぎた、こちら側のルールを知らなすぎた、ソレが身を滅ぼした」
紅はそう言って、異形の「口」で雪女の残骸を飲み込んだ。
「ふぅ」
息を吐き出す。
「私も家に帰ってホットココアでも飲むかな」
紅はそう言って雪がしんしんと降るその場を後にした──
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