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第44話 ヴェイルの目的とアラクネの想い
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ゾンビであふれかえっていた部屋を丁寧に探索していたところ、隠し扉を発見したオレ。すぐに扉を開けて、そこにあった通路をひたすら走った。そして、通路が突然にひらけたかと思ったら、
「なぜ、こんなことをしているの?」
とヴェイルに質問をしているアラクネを発見。このまま、突貫しても化け物みたいな力を持つ彼から彼女を救うのは難しいだろう。ならば、オレは手頃な場所に隠れて様子を見守り、奴の隙をついて攻撃をした方が彼女を救出できる確率があがるに違いない。
オレはハンターだ。待ち伏せや隠れたりして、獲物を狩るのを生業としているのだ。騎士のように堂々と名乗りをあげて戦うような愚かな真似はしないのだ。
そんな風に格好をつけて脳内で言い訳をしているけどさ。実際はただ単純に拘束されているアラクネのセクシーな姿に心を奪われて、入ってすぐの壁にあった棚の後ろに隠れて見ているだけなんだよね。
「うるさいな。おまえは黙ってオレの子を孕めばいいんだ」
「人と魔物に子供なんてできないわよ?」
アラクネに自分の子供を産ませようとしているだと!? あいつ、金髪のイケメンだろ。相手なんて選びたい放題じゃん。この童貞を拗らせたサイゾウさん並みに守備範囲が広いのか。世の中にはとんだ変態さんがいたものだ。
そうオレが自分のことを棚に上げて奴に文句を心の中で言っているが、本心はオレの女に手を出すなよ。このクソ野郎だ。
「それは違うな」
何が違うんだ。おまえは人の女に手を出すクソ野郎だろ。
「僕は人ではないのだよ」
はい、わかりますとも、人じゃないのね。つまり、ただの人で無しね。つまり、結局はクソ野郎じゃねぇか。そんなことを考え、奴を見ていたら、ヴェイルは金髪で隠れていた前頭部に生える竜の角をアラクネに見せてきた。
「竜人の角? でも、あなたはどう見ても人間よ」
「いや、僕は人ではないよ。厳密には人と竜人の混血さ。この顔の所為で誤解されるけどね」
自嘲げにそう言った奴は、人の顔で生まれたのが気に食わないのだろう。アラクネに対して吐き捨てるようにそのことをそう話していた。
「僕の母親は、竜人の魔王その人だよ。彼女は人類が怖いんだ」
「人が怖い? あなたたち竜人からしたら人の力なんてたかがしれているでしょう?」
オレもアラクネの意見には同意だ。竜人の魔王クラスに力が強い奴が人類を恐れるとはいったいどういうことだ。
「確かに人は一人ひとりを見れば弱いよ。だが、繁殖力がとても強くて厄介だ。君もゾンビの大群に負けたのにそんなこともわからないのかい?」
「口惜しいけど、その通りね」
嘲るように問いかけてきた彼にアラクネは自虐的な笑みを顔に浮かべた。オレもヴェイルの意見には同意しよう。人類は個として弱い。だから、集団で狩をすることで生き延びてきた。いわゆる群れで生きる動物。
もちろん、亜人種や魔物も確かに群れを作るだろう。だが、その群れの規模が違う。オレの住む町ですら人口は5万人規模だ。国単位で見るともっと多くなるだろう。だが、亜人種は多くて数千単位になる。確かにどれだけ個が強かろうとも、数の暴力の前に敗れるだろう。
「数の暴力で人に西の魔王が殺された時に、母は今回の計画を思いついたんだ。自軍を強化し、さらにできる限り自軍に被害を出さないで、国を滅ぼす計画をね」
「それが魔物の量産と混血児の生産?」
「その通りだ。どの種族同士が混血になるかわからないから母は、片っ端から捕まえて生殖実験を行ったのだ」
アラクネの質問に奴は肯定をして、自分がその成果であると伝えてきた。
「そして、今回は一個体としては最強と名が高い私に目を付けたわけね」
「そうだ。この国だけが人間の国ではないからな」
その通りだと言って奴は話を続ける。
「ゾンビによって各町は弱体化されているからこの国はそのうちに勝手に崩壊するだろう」
どこか準備した悪戯が成功した子供のように嬉しそうにそんなことを言うヴェイル。
「だが、それを見た他の人間の国が僕たちと敵対しないとは限らないからな。より強い者を作っておくのは悪いことじゃない」
そう言って言葉を切った後に、
「こちらの理屈は分かっただろう? さぁ、アラクネ、我が子を孕め!」
と言って再び手足をすべて拘束されている彼女にそう要求する。強制的に眠らせて襲わないで同意を得たうえで行為をしたいと思うとは見た目どおりに無駄に紳士なのか?
それとも子供ができる確率が変わるのか。まぁ、どちらであっても人の女に手を出そうとするとは不逞野郎だな。
「ごめんなさいね。私には先約がいるの」
アラクネがそう言って、こちらを見て微笑んでいる。
「あれ? いつの間に気が付かれていたんだろう」
仕方ない。オレはアラクネと向かい合っていて、こちらに気が付かないヴェイルに急いで駆け寄り、後ろから殴りかかった。
ヴェイルは奴がオレに気付いた時には強靭な力で殴り飛ばされており、壁まで叩きつけられた。
どうやら、オレの力は人を超えたようだ。シルメリアとの行為で、吸血鬼の力を得たらしい。だが、そんなこと今はどうでもいいことだ。オレは奴に言わなければならないことがある。
「人の女に手を出すとはおまえ、死ぬ覚悟ができているんだろうな?」
オレはヴェイルに向かって怒りの声をあげるのであった。
「なぜ、こんなことをしているの?」
とヴェイルに質問をしているアラクネを発見。このまま、突貫しても化け物みたいな力を持つ彼から彼女を救うのは難しいだろう。ならば、オレは手頃な場所に隠れて様子を見守り、奴の隙をついて攻撃をした方が彼女を救出できる確率があがるに違いない。
オレはハンターだ。待ち伏せや隠れたりして、獲物を狩るのを生業としているのだ。騎士のように堂々と名乗りをあげて戦うような愚かな真似はしないのだ。
そんな風に格好をつけて脳内で言い訳をしているけどさ。実際はただ単純に拘束されているアラクネのセクシーな姿に心を奪われて、入ってすぐの壁にあった棚の後ろに隠れて見ているだけなんだよね。
「うるさいな。おまえは黙ってオレの子を孕めばいいんだ」
「人と魔物に子供なんてできないわよ?」
アラクネに自分の子供を産ませようとしているだと!? あいつ、金髪のイケメンだろ。相手なんて選びたい放題じゃん。この童貞を拗らせたサイゾウさん並みに守備範囲が広いのか。世の中にはとんだ変態さんがいたものだ。
そうオレが自分のことを棚に上げて奴に文句を心の中で言っているが、本心はオレの女に手を出すなよ。このクソ野郎だ。
「それは違うな」
何が違うんだ。おまえは人の女に手を出すクソ野郎だろ。
「僕は人ではないのだよ」
はい、わかりますとも、人じゃないのね。つまり、ただの人で無しね。つまり、結局はクソ野郎じゃねぇか。そんなことを考え、奴を見ていたら、ヴェイルは金髪で隠れていた前頭部に生える竜の角をアラクネに見せてきた。
「竜人の角? でも、あなたはどう見ても人間よ」
「いや、僕は人ではないよ。厳密には人と竜人の混血さ。この顔の所為で誤解されるけどね」
自嘲げにそう言った奴は、人の顔で生まれたのが気に食わないのだろう。アラクネに対して吐き捨てるようにそのことをそう話していた。
「僕の母親は、竜人の魔王その人だよ。彼女は人類が怖いんだ」
「人が怖い? あなたたち竜人からしたら人の力なんてたかがしれているでしょう?」
オレもアラクネの意見には同意だ。竜人の魔王クラスに力が強い奴が人類を恐れるとはいったいどういうことだ。
「確かに人は一人ひとりを見れば弱いよ。だが、繁殖力がとても強くて厄介だ。君もゾンビの大群に負けたのにそんなこともわからないのかい?」
「口惜しいけど、その通りね」
嘲るように問いかけてきた彼にアラクネは自虐的な笑みを顔に浮かべた。オレもヴェイルの意見には同意しよう。人類は個として弱い。だから、集団で狩をすることで生き延びてきた。いわゆる群れで生きる動物。
もちろん、亜人種や魔物も確かに群れを作るだろう。だが、その群れの規模が違う。オレの住む町ですら人口は5万人規模だ。国単位で見るともっと多くなるだろう。だが、亜人種は多くて数千単位になる。確かにどれだけ個が強かろうとも、数の暴力の前に敗れるだろう。
「数の暴力で人に西の魔王が殺された時に、母は今回の計画を思いついたんだ。自軍を強化し、さらにできる限り自軍に被害を出さないで、国を滅ぼす計画をね」
「それが魔物の量産と混血児の生産?」
「その通りだ。どの種族同士が混血になるかわからないから母は、片っ端から捕まえて生殖実験を行ったのだ」
アラクネの質問に奴は肯定をして、自分がその成果であると伝えてきた。
「そして、今回は一個体としては最強と名が高い私に目を付けたわけね」
「そうだ。この国だけが人間の国ではないからな」
その通りだと言って奴は話を続ける。
「ゾンビによって各町は弱体化されているからこの国はそのうちに勝手に崩壊するだろう」
どこか準備した悪戯が成功した子供のように嬉しそうにそんなことを言うヴェイル。
「だが、それを見た他の人間の国が僕たちと敵対しないとは限らないからな。より強い者を作っておくのは悪いことじゃない」
そう言って言葉を切った後に、
「こちらの理屈は分かっただろう? さぁ、アラクネ、我が子を孕め!」
と言って再び手足をすべて拘束されている彼女にそう要求する。強制的に眠らせて襲わないで同意を得たうえで行為をしたいと思うとは見た目どおりに無駄に紳士なのか?
それとも子供ができる確率が変わるのか。まぁ、どちらであっても人の女に手を出そうとするとは不逞野郎だな。
「ごめんなさいね。私には先約がいるの」
アラクネがそう言って、こちらを見て微笑んでいる。
「あれ? いつの間に気が付かれていたんだろう」
仕方ない。オレはアラクネと向かい合っていて、こちらに気が付かないヴェイルに急いで駆け寄り、後ろから殴りかかった。
ヴェイルは奴がオレに気付いた時には強靭な力で殴り飛ばされており、壁まで叩きつけられた。
どうやら、オレの力は人を超えたようだ。シルメリアとの行為で、吸血鬼の力を得たらしい。だが、そんなこと今はどうでもいいことだ。オレは奴に言わなければならないことがある。
「人の女に手を出すとはおまえ、死ぬ覚悟ができているんだろうな?」
オレはヴェイルに向かって怒りの声をあげるのであった。
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