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第38話 薄暗い牢屋での情事
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薄暗い牢の中、抱き寄せたアラクネの心音を肌で感じる。ああ、このまま彼女の胸にずっと沈んでいたい。
───いや、睡魔に負けるな。争うんだ! サイゾウ、おまえは漢だろう!? オスの本能に従え!
漢として決意したからにはまずはやることがあるはずだ。そう、そうだよな。オレは双丘に埋まっていた顔を上げ彼女を見る。
「アラクネ!」
男女の愛の誓いである。キス、キス、キィース!! オレはタコのような口をして、男女の神聖なる挨拶を行おうと試みた。
「ちょ、ちょっと!?」
そう言うオレの瞳は獣欲に染まっていたのだろう。アラクネは怯えた表情で、オレを見ながら突き飛ばし、あとずさる。
「キス! キッス!! キッチュ~~~!!」
そんなアラクネの態度を見てもオレはお構い無しに彼女を無理やり引き寄せる。
すると彼女は恥ずかしそうに顔を俯かせて、
「まだ、心の準備ができていないわ」
と小さく呟いた。ああ、もう堪らない。堪りません。本当に我慢できないぜ。いや、我慢する必要ないよな? だって、オレは漢の子だもん!!
「アラクネ。可愛いよ。すごく可愛い。だから、オレとキスしよう!!」
「サイゾウ、それ理由になってないわよ。ウッ、そ、そんな急に!?」
オレの言葉を聞いたアラクネはますます顔を真っ赤にして押し黙る。いや、違うよな。口で塞いだから喋れないんだよね?
「ムー、ムー!? うぅ!? サ、サイゾウ、だめよ。ダメダメ!」
オレはゆでダコのように真っ赤になったアラクネの唇を奪った。そして、漢ならば当然だよな? ここで攻め手を緩めてはダメだ。オレはアラクネをゆっくりと押し倒そうと手に力を込める。
「アラクネ、いいよな?」
彼女は逆らう気がなかったのか簡単に床に倒れる。オレは鼻息荒くアラクネを押し倒すと、彼女を力一杯に抱きしめてさらにキスをした。
「は、はじめてが、こんなに汚い牢の中なんて、でも…」
前世から続く童貞ライフもついに終焉だ。今宵サイゾウは男になります。
「アラクネ~~~!!」
オレは押し倒した彼女に覆い被さり力一杯に抱きしめる。
「…助けて、助けてください」
って、こんな時に助けってアラクネさん!? オレって思いっきり拒否られているの!?
「嘘だろ!? アラクネ、やっぱり、嫌だったのか! サイゾウ、ショック!!」
「わ、私は何も言ってないわよ!?」
「嘘だ!! だって、ここにはオレとおまえしかいないんだぞ?」
どう見てもここにはオレとアラクネしか居ないだろう。
「いや、待てよ。ここは牢屋だ。まさか…」
オレは壁に掛けてあった松明を手に持ち辺りを照らす。
「やっぱり、他の牢に人がいたのか!?」
照らし出された先にある多くの牢の中には人影らしきモノがチラホラと見える。きっと、あの牢屋の中の誰かが助けを求めてきたのだろう。
「…誘拐された人々?」
「今回の依頼からして、そうだろうな」
それにしてもムードは最悪だったけど、サイゾウと結ばれるチャンスだったのにってアラクネよ。こっちにその言葉は聞こえているからね。小さい声で言えば聞こえないと思っていたのかな。
しかし、そんなに期待されていると思うと…
やっぱり、漢として期待に応えないわけにはいかないでだろう?
「まぁ、周りに誰がいても関係ないよね!! さぁ、アラクネ、さっきの続きをしよう!!」
女性のあんなかわいい心からのつぶやきが聞こえて止まる男がいるだろうか? いや、男である限りそんな奴はいないだろう! 断言できるぜ! つまり、オレがやるべきはルパンダイブ!! ふ◯こチャ~ン!!
「ちょ、ちょっと、やめてよ!! こんな大勢の人が聞いている前で!!」
殴るのかよ。さっきの言葉はなんだったんだ? いや、きっとイヤよ。イヤよも好きのうちだ。そう例えるならば悪代官にひん剥かれる町娘。あのイヤがる態度とは裏腹に声の中には嬉しさが混ざっているとしか言えないほどに楽しげに回っているだろう。まぁ、前世のゲームの知識だけどね。つまり、アラクネも…
「アラクネ、良いではないか!! 良いではないか!!」
オレは悪代官の気分で再びアラクネを押し倒そうと彼女に飛びかかる。
気分は時代劇の悪代官。町娘の着物の帯を回してアーレーと言わせるのだ! アラクネに帯はないけど、そんなことは些細な問題だ。
「今度こそ、サイゾウは男になりますぜ!!」
そんなオレのテンションマックスのアホな妄想はハイスピードに展開され、性欲で彩られた想像の翼はどこまでも高く羽ばたいたのであった。飛びかかった後にアラクネに殴られるまでは…
★☆☆
・
・
・
「…ごめんさない。反省しています。はい、アラクネさんの言う通りです」
オレは殴られて膨れ上がった顔を撫でながら頭を下げさせられていた。
「はい、オレことサイゾウは獣欲に駆られてアラクネを襲いかかりました。ごめんさない」
「まったく、時と場合を選んで…。コホン、いえ、それよりも早く仕事をして帰りましょう。こっちはあなたの頼みだから来ているのよ?」
なんで、オレは飛びかかったのだろう。魔物である彼女に力で勝てるわけがないのに…
アラクネに襲い掛かったオレは力強い手で逆に彼女に組み伏せられてしまったのだ。それで大地に土下座という今に至るわけだ!!
「彼女たちを助けて直ぐに帰りましょう?」
「…へい、へい」
ようやく、許されたのか? よかった。オレはアラクネに促されるまま、牢から抜け出して、助けを求めた人の下に駆けつける。
「うん? 遠目では分かりにくかったが、もしかして!!」
「何かあったの?」
オレは牢の前に着くなり、中にいる女性のヒップ、バストなどのスタイルを見る。ああ、堪んないぜ!! そして、顔もよし!!
「アラクネさん!! 早く、早く彼女たちを助けないと!!」
なんて、素晴らしい美女たちなんだ!! 待っていてください。お姉さんたち!
「大丈夫ですか? お姉さん、オレが来たからもう安心だぜ?」
「…ありがとうございます」
そう言って、牢から手を伸ばす彼女はオレの手を握って涙を流す。イケるんじゃね? これならば…
「そう、オレが来たから本当に安心だぞ。そうオレと一夜を過ごしてくれると約束をしてくれるならば助けて…」
ゲヘゲヘ、こんな美女の前にオレの聖人君子な人格など無意味だぜ。欲望に忠実になるのだ。チャンスは絶対に逃してはいけない。これが一流のハンターだ!!
「へー、一夜って、どういう意味かしら?」
し、しまった。このスタイル抜群のベッピンさんを前にして興奮しすぎてアラクネの存在を忘れていた!
「アラクネ! いや、これは…」
オレは声に反応して振り返りながら言い訳しようとしたが、アラクネの無言の笑顔が視界に入ってしまったため、口を噤んでしまった。だって、その笑顔は目がまったく笑ってなくて怖いんだよ。
「優しい私はあなたにもっと素敵な夜を過ごさせてあげるわ。今夜からあなたの食事はこれね」
そう言って、オレのいた牢屋に戻ったと思ったら、転がっていた皿を拾ってきて見せつける。
「それは牢屋のクソまずい飯! 勘弁してください!!」
やめてください! その料理はヘドロ味だからね。それを食べると腹を壊すから!
「ダメよ。もう決定事項なの。帰ったら絶対に食べてもらう。いいえ、むしろ、お腹すいたでしょう? 私が今から食べさせてア・ゲ・ル」
「や、やめてくれ!!」
その後、アラクネの説教を受けたオレは頭を床に擦り付けて土下座。しばらくたった今も、口の中が生臭くて気持ち悪い。横でニコニコと笑っている彼女は果たしてオレを許してくれたのだろうか。そんなことを思いながら誘拐された女たちの救助作業に取り組んだのであった。
───いや、睡魔に負けるな。争うんだ! サイゾウ、おまえは漢だろう!? オスの本能に従え!
漢として決意したからにはまずはやることがあるはずだ。そう、そうだよな。オレは双丘に埋まっていた顔を上げ彼女を見る。
「アラクネ!」
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「ちょ、ちょっと!?」
そう言うオレの瞳は獣欲に染まっていたのだろう。アラクネは怯えた表情で、オレを見ながら突き飛ばし、あとずさる。
「キス! キッス!! キッチュ~~~!!」
そんなアラクネの態度を見てもオレはお構い無しに彼女を無理やり引き寄せる。
すると彼女は恥ずかしそうに顔を俯かせて、
「まだ、心の準備ができていないわ」
と小さく呟いた。ああ、もう堪らない。堪りません。本当に我慢できないぜ。いや、我慢する必要ないよな? だって、オレは漢の子だもん!!
「アラクネ。可愛いよ。すごく可愛い。だから、オレとキスしよう!!」
「サイゾウ、それ理由になってないわよ。ウッ、そ、そんな急に!?」
オレの言葉を聞いたアラクネはますます顔を真っ赤にして押し黙る。いや、違うよな。口で塞いだから喋れないんだよね?
「ムー、ムー!? うぅ!? サ、サイゾウ、だめよ。ダメダメ!」
オレはゆでダコのように真っ赤になったアラクネの唇を奪った。そして、漢ならば当然だよな? ここで攻め手を緩めてはダメだ。オレはアラクネをゆっくりと押し倒そうと手に力を込める。
「アラクネ、いいよな?」
彼女は逆らう気がなかったのか簡単に床に倒れる。オレは鼻息荒くアラクネを押し倒すと、彼女を力一杯に抱きしめてさらにキスをした。
「は、はじめてが、こんなに汚い牢の中なんて、でも…」
前世から続く童貞ライフもついに終焉だ。今宵サイゾウは男になります。
「アラクネ~~~!!」
オレは押し倒した彼女に覆い被さり力一杯に抱きしめる。
「…助けて、助けてください」
って、こんな時に助けってアラクネさん!? オレって思いっきり拒否られているの!?
「嘘だろ!? アラクネ、やっぱり、嫌だったのか! サイゾウ、ショック!!」
「わ、私は何も言ってないわよ!?」
「嘘だ!! だって、ここにはオレとおまえしかいないんだぞ?」
どう見てもここにはオレとアラクネしか居ないだろう。
「いや、待てよ。ここは牢屋だ。まさか…」
オレは壁に掛けてあった松明を手に持ち辺りを照らす。
「やっぱり、他の牢に人がいたのか!?」
照らし出された先にある多くの牢の中には人影らしきモノがチラホラと見える。きっと、あの牢屋の中の誰かが助けを求めてきたのだろう。
「…誘拐された人々?」
「今回の依頼からして、そうだろうな」
それにしてもムードは最悪だったけど、サイゾウと結ばれるチャンスだったのにってアラクネよ。こっちにその言葉は聞こえているからね。小さい声で言えば聞こえないと思っていたのかな。
しかし、そんなに期待されていると思うと…
やっぱり、漢として期待に応えないわけにはいかないでだろう?
「まぁ、周りに誰がいても関係ないよね!! さぁ、アラクネ、さっきの続きをしよう!!」
女性のあんなかわいい心からのつぶやきが聞こえて止まる男がいるだろうか? いや、男である限りそんな奴はいないだろう! 断言できるぜ! つまり、オレがやるべきはルパンダイブ!! ふ◯こチャ~ン!!
「ちょ、ちょっと、やめてよ!! こんな大勢の人が聞いている前で!!」
殴るのかよ。さっきの言葉はなんだったんだ? いや、きっとイヤよ。イヤよも好きのうちだ。そう例えるならば悪代官にひん剥かれる町娘。あのイヤがる態度とは裏腹に声の中には嬉しさが混ざっているとしか言えないほどに楽しげに回っているだろう。まぁ、前世のゲームの知識だけどね。つまり、アラクネも…
「アラクネ、良いではないか!! 良いではないか!!」
オレは悪代官の気分で再びアラクネを押し倒そうと彼女に飛びかかる。
気分は時代劇の悪代官。町娘の着物の帯を回してアーレーと言わせるのだ! アラクネに帯はないけど、そんなことは些細な問題だ。
「今度こそ、サイゾウは男になりますぜ!!」
そんなオレのテンションマックスのアホな妄想はハイスピードに展開され、性欲で彩られた想像の翼はどこまでも高く羽ばたいたのであった。飛びかかった後にアラクネに殴られるまでは…
★☆☆
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「…ごめんさない。反省しています。はい、アラクネさんの言う通りです」
オレは殴られて膨れ上がった顔を撫でながら頭を下げさせられていた。
「はい、オレことサイゾウは獣欲に駆られてアラクネを襲いかかりました。ごめんさない」
「まったく、時と場合を選んで…。コホン、いえ、それよりも早く仕事をして帰りましょう。こっちはあなたの頼みだから来ているのよ?」
なんで、オレは飛びかかったのだろう。魔物である彼女に力で勝てるわけがないのに…
アラクネに襲い掛かったオレは力強い手で逆に彼女に組み伏せられてしまったのだ。それで大地に土下座という今に至るわけだ!!
「彼女たちを助けて直ぐに帰りましょう?」
「…へい、へい」
ようやく、許されたのか? よかった。オレはアラクネに促されるまま、牢から抜け出して、助けを求めた人の下に駆けつける。
「うん? 遠目では分かりにくかったが、もしかして!!」
「何かあったの?」
オレは牢の前に着くなり、中にいる女性のヒップ、バストなどのスタイルを見る。ああ、堪んないぜ!! そして、顔もよし!!
「アラクネさん!! 早く、早く彼女たちを助けないと!!」
なんて、素晴らしい美女たちなんだ!! 待っていてください。お姉さんたち!
「大丈夫ですか? お姉さん、オレが来たからもう安心だぜ?」
「…ありがとうございます」
そう言って、牢から手を伸ばす彼女はオレの手を握って涙を流す。イケるんじゃね? これならば…
「そう、オレが来たから本当に安心だぞ。そうオレと一夜を過ごしてくれると約束をしてくれるならば助けて…」
ゲヘゲヘ、こんな美女の前にオレの聖人君子な人格など無意味だぜ。欲望に忠実になるのだ。チャンスは絶対に逃してはいけない。これが一流のハンターだ!!
「へー、一夜って、どういう意味かしら?」
し、しまった。このスタイル抜群のベッピンさんを前にして興奮しすぎてアラクネの存在を忘れていた!
「アラクネ! いや、これは…」
オレは声に反応して振り返りながら言い訳しようとしたが、アラクネの無言の笑顔が視界に入ってしまったため、口を噤んでしまった。だって、その笑顔は目がまったく笑ってなくて怖いんだよ。
「優しい私はあなたにもっと素敵な夜を過ごさせてあげるわ。今夜からあなたの食事はこれね」
そう言って、オレのいた牢屋に戻ったと思ったら、転がっていた皿を拾ってきて見せつける。
「それは牢屋のクソまずい飯! 勘弁してください!!」
やめてください! その料理はヘドロ味だからね。それを食べると腹を壊すから!
「ダメよ。もう決定事項なの。帰ったら絶対に食べてもらう。いいえ、むしろ、お腹すいたでしょう? 私が今から食べさせてア・ゲ・ル」
「や、やめてくれ!!」
その後、アラクネの説教を受けたオレは頭を床に擦り付けて土下座。しばらくたった今も、口の中が生臭くて気持ち悪い。横でニコニコと笑っている彼女は果たしてオレを許してくれたのだろうか。そんなことを思いながら誘拐された女たちの救助作業に取り組んだのであった。
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