27 / 83
8.ブロンディーヌ
4
しおりを挟む
「首尾は?」
ダニエルは、ブロンディーヌが馬車に乗り込んで来るなり、尋ねた。
「心配ありませんわ。全て、上手く行きました」
ブロンディーヌは、ダニエルの向かいの座席に座ると、落ち着いた声でそう告げた。
ダニエルは、合図して、馬車を出させた。
「眠り薬の効果が遅くて、ずいぶん困りましたのよ、私」
ブロンディーヌは、ダニエルに苦情を言った。
「オズワルドも、本望だろう」
つまり、随分、オズワルドに奉仕させられたということかと、ダニエルは、ブロンディーヌの苦情を笑って聞き流した。
しかし、したたかな女になったものだ。
ダニエルは、ブロンディーヌを眺めてそう思った。
人を手に掛けて、こうも落ちついていられるとは。
少なくとも以前は、このようではなかった。
仕事から帰った後は、よく取り乱して、泣いていた。
待てよ。
まさか、オズワルドを殺っていないのでは… 。
そのダニエルの不審の眼を、ブロンディーヌは敏感に感じ取った。
「お疑い?」
ブロンディーヌは、ポーチの中からある包みを取り出すと、ダニエルの膝の上に置いた。
ダニエルが、包みを開くと、ツンと血の臭いが鼻をついた。
ダニエルが顏をしかめる。
たっぷりと血を吸った、シャツの切れ端が入っていた。
ダニエルはひとめ確認すると、それをすぐ横に退けた。
「手袋をして毛布の上から、仕留めました。ドレスが汚れていないといいのだけれど」
闇の中を走る馬車の中では、濃い色合いのドレスの汚れは、わからなかった。
「ブロンディーヌ、昨日と、随分様子が違うのは何故かな?」
「そうでしょうか?」
「昨日、君は私の依頼を拒んでいた。今日の君と、まるで違う」
ダニエルはブロンディーヌに、探るような瞳を向ける。
「それはきっと、このドレスのせいですわね」
「ドレスの?」
「今夜、このドレスに袖を通して、思いましたの。この六年間、私のしてきたことは、何だったのかしらって」
「ほう」
「私、あなたに見捨てられてから、一生懸命働きました。一生懸命働けば、少しでも暮らしがよくなるのではないかと思って。でも、毎日食べて行くのがやっとで、なにひとつ、欲しい物は、手に入りませんでした。こんな素敵なドレスや首飾りなんて、夢の中でしか身に着けられませんでした」
ブロンディーヌはうっとりと、ドレスに触れた。
「ミラージュに戻って来るかね?」
「少し考える時間をいただければ、きっと良い返事ができると思いますわ」
妖しい光を含んだ、魔性の女の眼で、ブロンディーヌはダニエルを見つめた。
「少し・・・、歩かないか、ブロンディーヌ」
「ここから?」
ダニエルの滞在するタリスのタヴァンは、橋を渡った先だった。
夕刻、ブロンディーヌは、そこでダニエルの連れて来た女に支度を手伝わせ、さきほどの娼館に向かったのだった。
これからそのタヴァンへ戻り、手早く荷物をまとめて出発し、明日の朝、娼館の一室でオズワルドの死体が発見される頃には、ダニエルもブロンディーヌも、行方がわからない、という手はずだった。
「まだ少し、距離がありますわね」
ブロンディーヌは、馬車の窓から外の景色を見つめる。
「夜明けまで、まだ時間がある。ここから歩いても、いくらもかからない。少し、夜風に当たって、君と歩きたいんだ」
「私と?それは光栄ですわ」
ダニエルは馬車を止め、降り、支払いを済ませると、ブロンディーヌの手を取って、馬車から降ろした。
馬車は、すぐに走り去った。
ブロンディーヌは、ダニエルと腕を組んで、月明かりを頼りに、歩き出した。
ふたりの他に、人影はなかった。
ブロンディーヌの香りが、芳しく漂って、ダニエルの嗅覚を甘やかに刺激した。
「君とこうやって、一緒に歩ける日が来るとは」
「本当ですわね。私も、そう思いますわ」
「本当に、私を怨んではないのかね」
「怨む?」
ブロンディーヌは、何かを思い出したように、くすくす笑い出した。
「何がおかしい?」
「昨日、あなたの言った言葉ですわ。左肩の傷痕なんて、情欲に囚われた男には、何の躊躇もあたえない、って。あなたの言う通り、今夜、確かめてみて、本当にその通りだと思いました」
「ブロンディーヌ・・・」
「私は、今まで、何をつまらないことにこだわっていたのかと、自分の子供っぽさにあきれているところです」
ブロンディーヌは、おかしそうに笑った。
二人は歩みを進めて、橋の上まで来ていた。
この橋を渡りさえすれば、目指すタヴァンはすぐだった。
橋は、さほど長くはなかったが、随分と高さがあった。
昼間、降っていた雨のせいで、水かさも幾分増して見えた。
ダニエルは、橋のちょうど真ん中で立ち止まった。
「ダニエル?」
ブロンディーヌの、腰に腕を回して、二人で橋の下を見下ろすような形になった。
橋の欄干は、さほど高くなかった。
「月がきれいだ」
ダニエルは、空を見上げた。
「本当に」
と、ブロンディーヌが相槌を打った瞬間、ダニエルは、ブロンディーヌの身体を、後ろから勢いよく突き飛ばした。
ダニエルは、力いっぱい、ブロンディーヌを突き飛ばした。
よもや、瞬時に、ブロンディーヌが身をかわすとは思っていなかった。
そして、まさか前のめりになった自分の身体が、ブロンディーヌのしなやかな白い腕で、橋の上から押し出されるとは思いもしなかった。
ダニエルは、叫び声をあげて橋の上から消えた。
けれども、間一髪、ダニエルは、右手で欄干を掴んでいた。
ブロンディーヌは、橋の上から、右手一つで欄干にぶら下がるダニエルを、冷酷に見つめた。
ブロンディーヌの手に握られたナイフが、月明かりに、煌めいた。
ブロンディーヌは最初から、わかっていた。
今夜、ダニエルが、自分を殺そうとしていることを。
だから、ナイフを隠し持ち、ダニエルが襲ってきた時には、手向かうつもりだった。
「ブロンディーヌ・・・、た、助けてくれ、頼む」
ダニエルは、必死の形相だった。
落ちれば、命はない。
「六年前、私も、同じことを言いました。見捨てないで、って」
先ほど、ダニエルの攻撃をかわした時に乱れた髪が、夜風に舞う。
「私も、泣いて、あなたに懇願しました。一緒に、連れて行って、って」
「ブロンディーヌ・・・」
「でも、あなたは、私を置いて・・・、私ひとりを置き去りにして、逃げました」
ブロンディーヌは、抑揚のない冷たい瞳で、ダニエルを見下ろしていた。
けれども、その頬には一筋の涙が伝った。
「た、助けてくれ、頼む、頼むっ・・・」
「ブロンディーヌは、あの時、亡くなりました。ここにいるのは、レティシアです」
ダニエルの指が、ほどけて行く。
その表情が、死の恐怖に歪んでいた。
ブロンディーヌは、黙ってそれを見つめていた。
ダニエルは、絶叫しながら、落ちて行った。
重い水音がして、何度か水面を掻く音がしたが、それもすぐに消えた。
ブロンディーヌは、持っていたナイフを、ダニエルが落ちて行った川へと落とした。
小さな水音がした。
そして、
「さようなら、ダニエル」
そう呟くと、一度も振り返らずにタヴァンへ向かった。
一度も、立ち止まらなかった。
そうして、夜が明け始め、旅人たちが、タヴァンの前で、せわしなく出立の準備を始める時刻までしばらく身を潜め、その喧噪にまぎれて、タヴァンの階段を上がり、部屋に入って、ドレスを脱ぎ捨て、出発の準備を始めた。
ダニエルは、ブロンディーヌが馬車に乗り込んで来るなり、尋ねた。
「心配ありませんわ。全て、上手く行きました」
ブロンディーヌは、ダニエルの向かいの座席に座ると、落ち着いた声でそう告げた。
ダニエルは、合図して、馬車を出させた。
「眠り薬の効果が遅くて、ずいぶん困りましたのよ、私」
ブロンディーヌは、ダニエルに苦情を言った。
「オズワルドも、本望だろう」
つまり、随分、オズワルドに奉仕させられたということかと、ダニエルは、ブロンディーヌの苦情を笑って聞き流した。
しかし、したたかな女になったものだ。
ダニエルは、ブロンディーヌを眺めてそう思った。
人を手に掛けて、こうも落ちついていられるとは。
少なくとも以前は、このようではなかった。
仕事から帰った後は、よく取り乱して、泣いていた。
待てよ。
まさか、オズワルドを殺っていないのでは… 。
そのダニエルの不審の眼を、ブロンディーヌは敏感に感じ取った。
「お疑い?」
ブロンディーヌは、ポーチの中からある包みを取り出すと、ダニエルの膝の上に置いた。
ダニエルが、包みを開くと、ツンと血の臭いが鼻をついた。
ダニエルが顏をしかめる。
たっぷりと血を吸った、シャツの切れ端が入っていた。
ダニエルはひとめ確認すると、それをすぐ横に退けた。
「手袋をして毛布の上から、仕留めました。ドレスが汚れていないといいのだけれど」
闇の中を走る馬車の中では、濃い色合いのドレスの汚れは、わからなかった。
「ブロンディーヌ、昨日と、随分様子が違うのは何故かな?」
「そうでしょうか?」
「昨日、君は私の依頼を拒んでいた。今日の君と、まるで違う」
ダニエルはブロンディーヌに、探るような瞳を向ける。
「それはきっと、このドレスのせいですわね」
「ドレスの?」
「今夜、このドレスに袖を通して、思いましたの。この六年間、私のしてきたことは、何だったのかしらって」
「ほう」
「私、あなたに見捨てられてから、一生懸命働きました。一生懸命働けば、少しでも暮らしがよくなるのではないかと思って。でも、毎日食べて行くのがやっとで、なにひとつ、欲しい物は、手に入りませんでした。こんな素敵なドレスや首飾りなんて、夢の中でしか身に着けられませんでした」
ブロンディーヌはうっとりと、ドレスに触れた。
「ミラージュに戻って来るかね?」
「少し考える時間をいただければ、きっと良い返事ができると思いますわ」
妖しい光を含んだ、魔性の女の眼で、ブロンディーヌはダニエルを見つめた。
「少し・・・、歩かないか、ブロンディーヌ」
「ここから?」
ダニエルの滞在するタリスのタヴァンは、橋を渡った先だった。
夕刻、ブロンディーヌは、そこでダニエルの連れて来た女に支度を手伝わせ、さきほどの娼館に向かったのだった。
これからそのタヴァンへ戻り、手早く荷物をまとめて出発し、明日の朝、娼館の一室でオズワルドの死体が発見される頃には、ダニエルもブロンディーヌも、行方がわからない、という手はずだった。
「まだ少し、距離がありますわね」
ブロンディーヌは、馬車の窓から外の景色を見つめる。
「夜明けまで、まだ時間がある。ここから歩いても、いくらもかからない。少し、夜風に当たって、君と歩きたいんだ」
「私と?それは光栄ですわ」
ダニエルは馬車を止め、降り、支払いを済ませると、ブロンディーヌの手を取って、馬車から降ろした。
馬車は、すぐに走り去った。
ブロンディーヌは、ダニエルと腕を組んで、月明かりを頼りに、歩き出した。
ふたりの他に、人影はなかった。
ブロンディーヌの香りが、芳しく漂って、ダニエルの嗅覚を甘やかに刺激した。
「君とこうやって、一緒に歩ける日が来るとは」
「本当ですわね。私も、そう思いますわ」
「本当に、私を怨んではないのかね」
「怨む?」
ブロンディーヌは、何かを思い出したように、くすくす笑い出した。
「何がおかしい?」
「昨日、あなたの言った言葉ですわ。左肩の傷痕なんて、情欲に囚われた男には、何の躊躇もあたえない、って。あなたの言う通り、今夜、確かめてみて、本当にその通りだと思いました」
「ブロンディーヌ・・・」
「私は、今まで、何をつまらないことにこだわっていたのかと、自分の子供っぽさにあきれているところです」
ブロンディーヌは、おかしそうに笑った。
二人は歩みを進めて、橋の上まで来ていた。
この橋を渡りさえすれば、目指すタヴァンはすぐだった。
橋は、さほど長くはなかったが、随分と高さがあった。
昼間、降っていた雨のせいで、水かさも幾分増して見えた。
ダニエルは、橋のちょうど真ん中で立ち止まった。
「ダニエル?」
ブロンディーヌの、腰に腕を回して、二人で橋の下を見下ろすような形になった。
橋の欄干は、さほど高くなかった。
「月がきれいだ」
ダニエルは、空を見上げた。
「本当に」
と、ブロンディーヌが相槌を打った瞬間、ダニエルは、ブロンディーヌの身体を、後ろから勢いよく突き飛ばした。
ダニエルは、力いっぱい、ブロンディーヌを突き飛ばした。
よもや、瞬時に、ブロンディーヌが身をかわすとは思っていなかった。
そして、まさか前のめりになった自分の身体が、ブロンディーヌのしなやかな白い腕で、橋の上から押し出されるとは思いもしなかった。
ダニエルは、叫び声をあげて橋の上から消えた。
けれども、間一髪、ダニエルは、右手で欄干を掴んでいた。
ブロンディーヌは、橋の上から、右手一つで欄干にぶら下がるダニエルを、冷酷に見つめた。
ブロンディーヌの手に握られたナイフが、月明かりに、煌めいた。
ブロンディーヌは最初から、わかっていた。
今夜、ダニエルが、自分を殺そうとしていることを。
だから、ナイフを隠し持ち、ダニエルが襲ってきた時には、手向かうつもりだった。
「ブロンディーヌ・・・、た、助けてくれ、頼む」
ダニエルは、必死の形相だった。
落ちれば、命はない。
「六年前、私も、同じことを言いました。見捨てないで、って」
先ほど、ダニエルの攻撃をかわした時に乱れた髪が、夜風に舞う。
「私も、泣いて、あなたに懇願しました。一緒に、連れて行って、って」
「ブロンディーヌ・・・」
「でも、あなたは、私を置いて・・・、私ひとりを置き去りにして、逃げました」
ブロンディーヌは、抑揚のない冷たい瞳で、ダニエルを見下ろしていた。
けれども、その頬には一筋の涙が伝った。
「た、助けてくれ、頼む、頼むっ・・・」
「ブロンディーヌは、あの時、亡くなりました。ここにいるのは、レティシアです」
ダニエルの指が、ほどけて行く。
その表情が、死の恐怖に歪んでいた。
ブロンディーヌは、黙ってそれを見つめていた。
ダニエルは、絶叫しながら、落ちて行った。
重い水音がして、何度か水面を掻く音がしたが、それもすぐに消えた。
ブロンディーヌは、持っていたナイフを、ダニエルが落ちて行った川へと落とした。
小さな水音がした。
そして、
「さようなら、ダニエル」
そう呟くと、一度も振り返らずにタヴァンへ向かった。
一度も、立ち止まらなかった。
そうして、夜が明け始め、旅人たちが、タヴァンの前で、せわしなく出立の準備を始める時刻までしばらく身を潜め、その喧噪にまぎれて、タヴァンの階段を上がり、部屋に入って、ドレスを脱ぎ捨て、出発の準備を始めた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R18】今夜、私は義父に抱かれる
umi
恋愛
封じられた初恋が、時を経て三人の男女の運命を狂わせる。メリバ好きさんにおくる、禁断のエロスファンタジー。
一章 初夜:幸せな若妻に迫る義父の魔手。夫が留守のある夜、とうとう義父が牙を剥き──。悲劇の始まりの、ある夜のお話。
二章 接吻:悪夢の一夜が明け、義父は嫁を手元に囲った。が、事の最中に戻ったかに思われた娘の幼少時代の記憶は、夜が明けるとまた元通りに封じられていた。若妻の心が夫に戻ってしまったことを知って絶望した義父は、再び力づくで娘を手に入れようと──。
【共通】
*中世欧州風ファンタジー。
*立派なお屋敷に使用人が何人もいるようなおうちです。旦那様、奥様、若旦那様、若奥様、みたいな。国、服装、髪や目の色などは、お好きな設定で読んでください。
*女性向け。女の子至上主義の切ないエロスを目指してます。
*一章、二章とも、途中で無理矢理→溺愛→に豹変します。二章はその後闇落ち展開。思ってたのとちがう(スン)…な場合はそっ閉じでスルーいただけると幸いです。
*ムーンライトノベルズ様にも旧バージョンで投稿しています。
※同タイトルの過去作『今夜、私は義父に抱かれる』を改編しました。2021/12/25
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる