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醜いはずの美少女

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 「今日は息子のラウルの婚約を発表する為に、皆に集まってもらった。婚約者の支度が出来るまで、皆楽しんでいてくれ。」

 王の始まりの挨拶で、婚約者の噂をしだす貴族達。

 「王子様の婚約者は、確かテイラー侯爵のご令嬢だったわよね?」
 「知らないの!?テイラー侯爵の長女は、あまりにも醜いから部屋から出てこないそうよ。」
 「醜いなんて可哀想だな……。」
 「そうね……ずっとテイラー侯爵のご令嬢は見てないわ。」
 「あら、テイラー侯爵にはもう一人ご令嬢がいらっしゃったわよ。醜い長女ではなく、次女と婚約するんじゃない?」

 メリッサが醜いという噂を広めたのは、もちろんルーズとサマーだ。使用人達にもその噂を広めさせていた。

 貴族達が婚約者の噂をしている中、会場の入口付近が騒がしくなっていた。

 ザワザワザワザワザワザワ……

 「なんて美しいのかしら。」
 「どこのご令嬢だ!?あんなに美しい女性、見たことがないのだが……。」
 「あのご令嬢が、王子様の婚約者かしら?」
 「きっとそうだ!隣に居るのは、王子の臣下だからな!」

 会場に入ってきたのは、美しく着飾ったメリッサだった。

 そして王がまた壇上へと上がり、婚約者の準備が出来たと告げた。王はラウルと入れ替わり、前に出て話し始めた。

 「今日は私達の婚約を発表するパーティーに、集まっていただきありがとうございます。」

 貴族達は静かに、ラウルの話を聞いている。

 「私には幼い頃からずっと想っていた方がおりました。その方は母を病で亡くし、父親の後妻とその娘にずっと虐げられてきました。」

 「何を!?」
 「ラウル様!おやめ下さい!」

 その話を聞いたルーズとサマーは焦り、ラウルを止めに入ろうとしたが、護衛に阻まられ身動き出来なかった。

 「お前は醜いからと、食事を共にする事を拒み、彼女は一人で食事をしていた。お姉様は醜いから恥ずかしいと言われ、外に出ることも許されなかった。メリッサ……おいで。」

 ラウルが手を差し出した先には、メリッサが立っていた。メリッサはラウルの元へ、ゆっくりゆっくり歩いていく。

 あんなに噂していた貴族達は、メリッサの美しさに酔いしれながらその様子を見守った。

 メリッサは壇上へと上がり、ラウルの手を取り幸せそうに微笑んだ。

 「皆さんは、こんなにも美しいメリッサを醜いと思いますか?」

 ラウルは護衛達に目配せをし、護衛達はルーズとサマーを壇上にあげた。

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