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また助けられました。

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 振り返ると、ジェンセンが立っていた!

 「ジェンセン様……!?」

 「 私の妻に何をしようと、私の勝手だ!」

 「ジョアンナはもうあんたの妻じゃない! その汚い手を離せ!」

 「貴様ーー!!」

 アンソニーはジェンセンへと、拳を振りあげ向かって行った!

 が、ジェンセンはヒラリと避け……

 ズッゴーーンッッッッッッ!!!

 アンソニーは後ろの木に、派手にぶつかり気絶した。

 ジョアンナはダンテに手を差し伸べ、起き上がらせた。

 「ダンテ、大丈夫だった?」

 「……お嬢様、申し訳ありません。お守りする事が、出来ませんでした。」

 「そんな事ない。とても嬉しかった。ありがとう。」

 「お嬢様……ありがとうございます。私は旦那様に、知らせてまいります。」

 そう言って、ダンテは邸に戻って行った。


 「ジェンセン様、また助けて下さり、本当にありがとうございました。」

 ジェンセン様が来てくれなかったら、今頃どうなっていたか……。

 「間に合ってよかったです。」

 「え? 間に合う……とは?」

 「実は……」

 ジェンセンは、ベナミンがゼラフ軍に攻め込まれアンソニーが逃げ出した事を話した。

 「ベナミンは……ベナミンは、無事なのですか!?」

 「あなたのおかげで、援軍が間に合ったので大丈夫ですよ。」

 「よかった……。え……? 私のおかげ?」

 「実はキーベル伯爵が、陛下に進言した時、私もその場にいたのです。それで、あなたが何者なのか気付きました。あの進言は、あなたからですよね?」

 そっかあ、ジェンセン様は何もかもお見通しなんだ。

 「はい。でも、アンソニー様があんな風になってしまい、ベナミンが危機に陥ったのは私のせいです。アンソニー様に、あの力を使うべきじゃなかった。」

 「それは違います。あなたのせいだなんてことは、絶対にありません。あなたは5年間も、ベナミンを守り続けたじゃないですか。」

 どうしてジェンセン様は、私の心をこんなにも軽くしてくれるのだろう。
 
 「ジョアンナ! 大丈夫なのか!?」

 知らせを聞いたキーベル伯爵が、駆けつけてきた。

 「お父様……大丈夫です。こちらの方が、助けてくださいました。」

 「あなたはあの時の!」

 そっか。ジェンセン様が、お城で会ったって言ってたっけ。
 待って……じゃあ、お父様が言ってたベナミンを守る為に向かってくれた辺境伯って、ジェンセン様!?  
 


 「あの……お嬢様、ライデッカー様はどちらに?」

 倒れていた辺りをダンテが探してみたが、アンソニーは姿を消していた。

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