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裏切りの代償
しおりを挟むカイト様の恋人は、デシタニアの王女様だった。
カイト様はこの国を捨て、私を捨ててデシタニアの王女様と結婚をするつもりだったようです。
この国の情報を手土産にして……
陛下がカイト様を探していることを知り、私のせいだと思ったようで、デシタニアと同盟国のドレステードの国王に私を側室にするように頼んだ。
陛下が私を側室にするとは、思っていなかったようです。
そして、カイト様は情報だけを取られ、王女様に捨てられた。王城を追い出され、街をフラついていた所を、アルビスに見られたようです。
私の事はどうでもいい……むしろ、カイト様が捨ててくれた事に感謝しています。でも、この国の情報を売った事は許せません!
陛下は全てを知っていて、私の為にカイト様を見逃そうとしている……
私は最低です。どれほど陛下を傷付けているのか……
「この国を……陛下を裏切ったカイト様を許しません。よくこの国に戻れましたね。」
どれほどの罪を犯したか、分かっているのでしょうか……
「リサ、俺は……」
「リサ? 誰に口を聞いているか分かっているの?
私は陛下の側室です。無礼な口を聞かないで!!」
あなたとの縁は、あの日……あなたが行方不明になった時に切れたのです。そうしたのは、あなた自身です。
「リ……サ……?」
「あなたは罪人です。罪人は罪を償うべきです。
私を騙し、ご両親を騙し、一緒に戦った仲間を騙し、この国を騙した罪は重い。覚悟してください。」
部屋のドアを開け、
「兵士を呼んで。
カイト・バーキュリー様が、罪を告白するそうよ。」
と、ルビーに伝えた。
ルビーはすぐに兵士を呼び、カイト様は捕らえられた。
カイト様は、私が庇うとでも思っていたのでしょうか……
少なくとも、陛下はそう思っていた。もう陛下を苦しめたくありません。
私の気持ちを、素直にお伝えしようと思います。
「あれで、良かったのか?」
やっぱり陛下は、私がカイト様を庇うと思っていたようです。何も知らないと、思っているのでしょう。
たとえ何も知らなくても、カイト様が死を偽装した事は国を逃亡する為の行為です。許されていいはずがありません。
「陛下は私の為に、国を売った者を見逃そうとまでしてくださいました。
私は陛下にそのような事をさせてしまう……
陛下のお側にいるべきではないのかもしれません。」
私は陛下の、この国の王に罪を犯させてしまう所でした。
「何を……」
「それでも私は、陛下のお側に居たいです。陛下を愛する事を、お許しください。」
「リサ……ありがとう!
私は間違っていたようだ。君の為だと思っていた事が、君を傷付けていた。
君を愛している。出会った時からずっと、君だけを愛してる。」
陛下はそっと抱きしめてくださいました。
暖かい……陛下の腕の中は、とても暖かいです。
ロベルトは、次の王妃にリサを指名した。
新しい王妃の誕生を国民は喜び、盛大に祝った。
そして、カイトの刑が決まった。
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