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全ての力を使います。

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 リローナは立ち上がり、ヒダリヤ城へと向かった。
 
 城へ入ると、聖女や護衛兵達の死体が至る所に転がっていた。
 リローナは迷わず、地下へと向かう。

 ほんの短い間だったが、婚約者だったカールソン王子の性格からしたら、地下に隠れると思ったからだ。
 地下に降りると、数名の護衛、王様と王妃様、カールソン王子…そしてアリアの亡骸があった。

 アリアの手には血のついた短剣が握られていた。

 全部…わかってしまった。
 ヒダリヤが襲われたのは私のせい…
 私の身代わりで、この子は殺された…あの時の魔人によって…

 リローナは両手の平を組み、祈りを捧げた。
 リローナの身体から眩しい光が立ち上り、天高く突き抜けた!

 パァァァァァァァァァァァァァァッ!!


 その光は、まだヒダリヤの外れにいたアーロン王子達にも見えるほどだった。

 「あの光は…!?まさか、リローナ!?」

 その時、魔物が上空からアーロン王子達を襲って来た!!

 「うわぁぁぁ!!」

 「アーロン王子を守れ!」

 兵士達はアーロン王子を囲み弓を構え、矢を魔物へと放つ!

 「エヴァン、私から離れるな!」

 ズバババババッ!!

 アーロン王子はエヴァンを守りながら、地上の魔物を剣で斬りつける!

 アーロン王子に守られながら周りに気を配り、ふと上空を見上げたエヴァンの目に、何もせずこちらを見下ろしている魔人の姿が見えた。

 「王子様…あれがきっと、魔王です!」

 アーロン王子がセンキへと目を向けると、センキは『フッ』と笑い、ヒダリヤ城へと飛んで行った。

 「リローナが危ない!!」

 魔物に囲まれてる状況で、馬車は出せそうにない。
 それに馬車では6日はかかってしまう…

 「アーロン王子!お乗り下さい!」

 兵士が馬を馬車から外し、アーロン王子を乗せた。

 「この馬は一番足が速い馬です!二日でヒダリヤ城まで行けるでしょう!リローナ様をお守りください!」

 「エヴァン、行くぞ!」

 「王子様、わしはここで戦います!年寄りだからと甘く見るでない!」

 ガッガッガッ!!

 エヴァンは持っていた杖で魔物を突いた!

 「エヴァン…」

 エヴァンが共に行くことは、馬の足が遅くなるということ…
 
 「早くお行き下さい!リローナを頼みましたぞ!!」

 アーロン王子は頷き、馬を走らせた!

 「エヴァン…死ぬなよ!!」

 アーロン王子は、猛スピードで馬を走らせながら叫んだ。


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