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真実を知りました。

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 光に包まれたリローナの姿が、少しづつ見えてきた。
 そして光が完全に消えた時、リローナは別人の様に美しい姿に変わっていた。

 「リローナ…なのか?」

 アーロン王子はリローナに問いかける。

 ボサボサだった黒髪は、美しい金髪に…
 浅黒かった肌は透けるように真っ白になり、青い瞳がとても美しい…
 この世のものとは、とても思えないほどの美しい容姿に変貌していた。

 「その姿が、君の本当の姿…という事なのか?」

 コンコン…

 誰かが玄関をノックする音が聞こえた。

 「誰か来たようじゃ…」

 リローナのあまりの美しさに、声を出すことも忘れて魅入っていたエヴァンは、玄関へと向かった。
 エヴァンが玄関を開けると、黒マントを羽織った男が立っていた。
 男は何も言わず、家の中に入りリローナの元へ一直線に向かった。

 「王子様!怪しいものが…」

 エヴァンのその言葉に、アーロン王子が身構えていると…

 「アリア様!」

 黒マントの男は、リローナに跪き頭を下げた。

 「あなたは…」

 黒マントの男は、リローナに呪いがかかっていると言った占い師だった!

 「本来のお姿に戻られたこと、お祝い申し上げます!」

 リローナはわけが分からなかった。

 あの時の占い師がどうしてここに?
 それに本来の姿ってどういう事?

 疑問が頭の中に浮かびまくってるリローナをよそに、占い師は話し始めた。

 「アリア様は女神プリシラの子でございます!」
  
 占い師は全て話してくれた。

 16年前、女神プリシラは神の子を身ごもった。
 その子は誰よりも強く、美しい女神に成長し、魔を滅ぼすというお告げを受けた。
 その事を知った魔王は、生まれる前に殺す為にプリシラを襲撃しようとした。
 だがプリシラは、襲撃される前にお腹の子を人間に宿し、その子に封印をかけ魔力を使い果たし眠りに着いた。
 
 「話は分かった。で?おまえはいったい何者だ?なぜ占い師になりすまし、呪いだなどと言ったのだ!?そのせいでリローナが、どれだけ辛い目に合ったと思ってるんだ!?」

 アーロン王子は占い師の胸ぐらを掴んだ。

 「私はプリシラ様の信者、シモンと申します。」

 胸ぐらを掴まれながらも、冷静なシモン。

 「プリシラ様とアリア様を守るのが、私達信者の勤め。アリア様の名も、アリア様の歳も魔王には知られている。だから、フラン公爵家にいるのは危険と判断し、呪いの話をしました。アリア様にかかっていたのは呪いではなく、封印です。プリシラ様は、アリア様が成長なさるまで見つからぬよう、お姿を変え、力を封印したのです。」

 アーロン王子はシモンから手を離した。

 「アリアは愛されていたのだな…」

 あの夢…あれはお母様だったんだ!
 私は愛されていたのですね…

 「お母様はご無事なのですか?」

 「ご無事です。ですが今も、眠ったままです。」

 ずっと眠ったまま?
 それでも私を心配して、夢の中に現れてくれたのですね…
 リローナの心に暖かいものが広がって行った。

 「アリア様の封印が解けたので、もしかしたらお目覚めになるかもしれません…。私はプリシラ様の所へ向かいます。アリア様…くれぐれもお気をつけください。」

 シモンはアリアが狙われ、ヒダリヤが襲撃された事を言わず、プリシラの元へと戻って行った。

 「リローナ…君が人間だろうと女神様だろうと、私の気持ちは変わらない。ずっとそばにいて欲しい。」

 アーロン王子はリローナの前で片膝を着いた。

 「ストーップ!」

 エヴァンは、アーロン王子とリローナの間に割って入り、

 「わしの孫をたとえ王子様だろうと、そう簡単に嫁には出しません!」
 
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