5 / 14
さようなら、アンドレ様
しおりを挟むカレンが本性を現しましたが、私は負けるつもりはありません。
あなたに破滅させられた人生を、やり直す。
もう二度と、断罪されたりしない!
「サンドラ……俺を捨てるのか……?」
アンドレはまだ諦めきれないようだ。
よくそんな事が言えますね。
ずっと私を裏切っていたくせに。
カレンに騙されたからといって、あなたの罪が消えるわけではありません。
「アンドレ様、さようなら。」
もうあなたに関わる事はありません。
「サンドラ……」
「サンドラ嬢にはもう、近付かないでください。これ以上は、私も黙ってはいません。」
アンドレはその言葉に、何も言う事が出来なかった。
リュード公爵が、とても頼もしく見えました。
私の何を気に入ってくれたのかは分からないけど、 ひとりぼっちじゃない気がした。
「送ります。行きましょう。」
リュード公爵と共に馬車に乗り込むと、馬車は静かに走り出した。
本当に綺麗な顔。
アンドレ様しか見ていなかったから、男性の顔をこんなに近くで見る事はありませんでした。
令嬢達に人気なのも、カレンが好きだったのも納得です。
長いまつ毛、白い肌に金色の髪、青い瞳がすごく綺麗で、吸い込まれてしまいそう。
「私の顔に、何か付いていますか?」
見つめていた事が、バレてしまいました……
「……すみません。とても綺麗なお顔だったので、見惚れてしまいました。」
「それは嬉しいですね。ですが、あなたの方が美しいではないですか。」
「冗談はやめてください。容姿には自信がありません。妹がとても綺麗なので、いつも比べられていました。」
お父様もお母様も、カレンの事しか褒めません。アンドレ様にだって、美しいなんて言われた事もない。
「私は冗談を言いません。サンドラ嬢は、本当に美しいですよ。」
なんて真っ直ぐ、見つめて来るのでしょう……
「……ありがとうございます。」
恥ずかしくて、それ以上言葉が出なかった。
やり直す前には、出会う事がなかった人。
遠くからお見かけした事しかなかった方が、目の前にいて、私の婚約者になった。
これでいいのかは分からないけど、少なくとも、リュード公爵から幸せな時間をいただきました。
ただ、今の私は、誰かを信じる事が出来ません。
すみません、リュード公爵。
私は復讐の為に、あなたを利用しています。
「残念です。もう着いてしまいましたね。」
いつの間にか、馬車は邸の前で止まっていた。
「送っていただき、ありがとうございました。」
それだけ言い、馬車から降りようとすると
「待ってください。次は、いつお会い出来ますか?」
リュード公爵はサンドラの腕を掴み、引き止めていた。
「リュード公爵の、ご都合のいい日でかまいません。」
「慌ててしまってすみません。私との婚約が乗り気でないのはわかっています。だから、少しでも私を知ってもらいたいのです。
明日また、お会いしたいです。」
リュード公爵は、悪い方ではない……そう思えました。
「わかりました。明日、またお会いしましょう。」
「よかった……。では、正午にお迎えにあがります。」
安心したのか、笑顔で帰っていきました。
少し、子供のような方ですね。
リュード公爵と別れ、邸へと入ると
「サンドラ!! お前は何を考えているんだ!?」
先に帰っていたようで、玄関でお父様が待っていました。
46
お気に入りに追加
3,723
あなたにおすすめの小説
あなたとの縁を切らせてもらいます
しろねこ。
恋愛
婚約解消の話が婚約者の口から出たから改めて考えた。
彼と私はどうなるべきか。
彼の気持ちは私になく、私も彼に対して思う事は無くなった。お互いに惹かれていないならば、そして納得しているならば、もういいのではないか。
「あなたとの縁を切らせてください」
あくまでも自分のけじめの為にその言葉を伝えた。
新しい道を歩みたくて言った事だけれど、どうもそこから彼の人生が転落し始めたようで……。
さらりと読める長さです、お読み頂けると嬉しいです( ˘ω˘ )
小説家になろうさん、カクヨムさん、ノベルアップ+さんにも投稿しています。
婚約破棄は構いませんがあなた方、周りを良くご覧なさいな
真理亜
恋愛
学園の卒業パーティーで、婚約者である第一王子から謂れの無い罪で婚約破棄を突き付けられた伯爵令嬢は、すかさず反撃を開始する。すると周りの生徒達全てが伯爵令嬢の味方に付き、第一王子は逆に追い込まれて行くのだった。
【完結】婚約破棄の代償は
かずきりり
恋愛
学園の卒業パーティにて王太子に婚約破棄を告げられる侯爵令嬢のマーガレット。
王太子殿下が大事にしている男爵令嬢をいじめたという冤罪にて追放されようとするが、それだけは断固としてお断りいたします。
だって私、別の目的があって、それを餌に王太子の婚約者になっただけですから。
ーーーーーー
初投稿です。
よろしくお願いします!
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
あ、婚約破棄ですよね?聞かなくてもわかります。
黒田悠月
恋愛
婚約破棄するつもりのようですね。
ならその前に……。
別作品の合間の気分転換で、設定等ゆるゆるです。
2話か3話で終わります。
※後編が長くなってしまったので2話に分けました。
4話で完結です。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
もふきゅな
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?
完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて
音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。
しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。
一体どういうことかと彼女は震える……
妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる