上 下
21 / 23

二重結界

しおりを挟む

 東方からしか現れない魔物達……その理由は、結界全てが破壊されたわけではなかったからだ。大聖女の張った結界は、強力なものではなかったが、普通の魔物なら結界を破ることは出来なかった。
 上級魔物の手によって、一部だけ破壊された結界から次々に魔物が侵入して来ているのだ。

 「ホーク王子!このままではもちません!私に考えがあるのですが、よろしいでしょうか!?」

 リーアはホーク王子に、この場で戦っているだけでなく、魔物を倒しながら次の町まで進むことを提案した。

 「分かった!何とかやってみよう!皆聞いたな?行くぞーっっっ!!」

 「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」

 リーアは体力回復の祈りを捧げながら、東方へと進む!兵士達はリーアの祈りのおかげで体力を気にせず魔物を倒し、道を切り開きながら進んで行く。ホーク王子は祈りを捧げているリーアを守りながら、町へと魔物が侵入しないように残りの魔物を倒して行った。
 町の住民達は、その様子を見守ることしか出来なかった。

 次の町までは馬車で半日の距離だが、この進み具合では1日はかかりそうだ。

 1日……1日だけ、みんな頑張って!

 リーアは祈りを捧げながら、心の中でつぶやいた。

 6日目が終わろうとしていた時、前方に町が見えて来た!さすがに、何千もの魔物達が通ったあとだけあって、町は廃墟化していた。

 「ひどい……」

 平和だった国が、魔物に襲われて数日でこんな事になるなんて……。これ以上被害を出す訳には行かない!

 リーア達は町へと足を踏み入れた!

 「この町から国境まで結界を二重に張ります!結界を張るまでの間、私を守って下さい!」

 「皆聞こえたな!全力でリーアを守り抜け!」

 最後の戦いが始まった!

 リーアは集中をし、全身に白い光をまとった。

 「魔のものを遠ざける力を我が手に!!」

 リーアは両手を広げ、天へと向けた!

 今の私なら、この場所から国境まで結界を張る事は数十分で出来る!それまでみんな頑張って!

 リーアの体力回復の祈りがなくなり、疲弊した兵士達はすでに限界を迎えていた。

 「あと少しだ!気合いを入れろ!」

 ホーク王子の激が飛ぶ!ホーク王子の言葉で、倒れそうになりながらも戦い続ける兵士達!

 もう少し!もう少しで二重結界が完成する!

 その時、リーアの後ろに巨大な影が現れた!

 「リーア!!!!!」

 巨大な影に気づいたホーク王子はリーアの背に回りこみ、

 グサッッッッッッッッッッッッ!!!!!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

〖完結〗親友だと思っていた彼女が、私の婚約者を奪おうとしたのですが……

藍川みいな
恋愛
大好きな親友のマギーは、私のことを親友だなんて思っていなかった。私は引き立て役だと言い、私の婚約者を奪ったと告げた。 婚約者と親友をいっぺんに失い、失意のどん底だった私に、婚約者の彼から贈り物と共に手紙が届く。 その手紙を読んだ私は、婚約発表が行われる会場へと急ぐ。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 前編後編の、二話で完結になります。 小説家になろう様にも投稿しています。

〖完結〗もう二度とあなたの妻にはなりません!

藍川みいな
恋愛
「ルビー・ロックハート嬢、あなたに一目惚れしました! どうか私と結婚してください!」 夜会に出席した私は、いきなり皆の前で求婚されました。 容姿も美しく、優しくて誠実で、何より私を愛してくれるイワン様を、何故か好きになれませんでした。 そしてある日私は、前世の記憶を思い出したのです。 彼は、前世で私の旦那様でした。 愛人を作り、愛人と子供を作り、妹まで愛人にして身篭らせた…… そして私は、耐えられなくなり自害しました。 そんな彼の生まれ変わりのイワン様を、愛することなど出来るはずがありません! もう二度と、あなたの妻にはなりません! 『私はあなたのせいで死ぬのです。』の続編になりますが、本作単体でもお楽しみいただけます。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全9話で完結になります。

(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)

青空一夏
恋愛
 従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。  だったら、婚約破棄はやめましょう。  ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!  悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!

〖完結〗私の事を愛さなくても結構ですが、私の子を冷遇するのは許しません!

藍川みいな
恋愛
「セシディには出て行ってもらう。」 ジオード様はいきなり愛人を連れて来て、いきなり出て行けとおっしゃいました。 それだけではなく、息子のアレクシスを連れて行く事は許さないと… ジオード様はアレクシスが生まれてから一度だって可愛がってくれた事はありませんし、ジオード様が連れて来た愛人が、アレクシスを愛してくれるとは思えません… アレクシスを守る為に、使用人になる事にします! 使用人になったセシディを、愛人は毎日いじめ、ジオードは目の前でアレクシスを叱りつける。 そんな状況から救ってくれたのは、姉のシンディでした。 迎えに来てくれた姉と共に、アレクシスを連れて行く… 「シモーヌは追い出すから、セシディとアレクシスを連れていかないでくれ!!」 はあ!? 旦那様は今更、何を仰っているのでしょう? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全11話で完結になります。

〖完結〗転生前の記憶が戻ったので、最低な旦那様とはお別れします。

藍川みいな
恋愛
夫スチュワートの浮気現場を見た瞬間、前世の記憶が戻ったミリアーナ。スチュワートは前世でもミリアーナを裏切り続けた相手だった。 離縁を告げて実家に帰り、父スベン男爵に愛人の事を話すと、スベン男爵は激怒し… 「あのクソ野郎……絶対に許さない! その令嬢も同罪だ! 大切な娘を侮辱した事を後悔させてやる!」 そしてスチュワートと愛人は全てを失う事に… 設定ゆるゆるの架空の世界のお話です。 本編5話で完結になります。 もうひとつの最終回2話←最初はこちらが本当の最終回でした。アッサリ編と前世編がありますので、どちらか好きな方をお読み頂けたらと思います。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです

神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。 そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。 アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。 仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。 (まさか、ね) だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。 ――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。 (※誤字報告ありがとうございます)

処理中です...