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大好きなお姉ちゃん
しおりを挟むホーク王子と再会してから数週間が経っていた。授業は順調に進み、リーアの癒しの力はみるみる上達して行った。
「やっぱりすごいな。癒しの力は私よりも上手く使えるようになった。元々の力が私よりも遥かに強いから、今のあんたならお姉さんの病を治すことが出来るかもしれない。」
「ほ、本当ですか!?」
やっと……やっとお姉ちゃんを救える!
「先生……ありがとうございます!」
授業が終わった後、マーサの元へ向かった。
**********************
「またリーアは森に出かけたの!?あれほど森には行くなと言ったのに!」
リーアはよく森に出かけては、母から叱られていた。
「お母さん、もういいじゃない。リーアだって反省してるし、森の奥に行っちゃ行けないことくらい分かってるわ。」
お母さんから叱られる度に、姉は庇ってくれていた。
「リーア、あんまり無茶しちゃダメよ?お母さんはあなたを心配してるからこそ叱るんだからね。」
「…ごめんなさい。」
母に叱られても反省する気は起きないのに、姉に言われると素直に反省した。姉はいつだって私の味方でいてくれて、自分よりも私を優先してくれた。父が仕事を失い、収入がなくなって食べるものに困った時も、自分の分を私に与えてくれた。
そんな優しい姉が病気になるなんて、神様はいないんじゃないかと思えた。
「悪いが、私達では手の施しようがない。」
医者は何も出来なかった。
「お姉ちゃんは、私が絶対に助けてみせる!だから待ってて?」
そして私は、姉の病気を治すために聖女学院へと入学した。
**********************
「お姉ちゃん!」
家に着くとすぐにマーサの元へと急いだ!
ベッドに横たわるマーサの姿は、学院に入る前よりも明らかにやせ細っていた。
「お姉ちゃん、約束を守りに帰って来たよ!」
「……リーア、お帰りなさい。随分やつれたわね。勉強大変だったんじゃない?」
やつれたのはお姉ちゃんの方だよ……。いつだって、私のことばかり心配して……。
「お帰り。リーアが学院に行ってからも、マーサはあなたの事ばかり心配していたのよ。」
お姉ちゃんの看病で疲れているのか、お母さんも痩せたみたい。
「リーアの顔が見られてすごく幸せ!」
自分の病気のせいで、ひたすら隠して来た力を使う事を選んだ妹に申し訳なくて…自分の病気の事よりもリーアの事ばかり考えていたマーサは、妹の帰宅を心から喜んだ。
「お姉ちゃん、すぐに済むから目を閉じて?」
マーサはにっこりと微笑み、静かに目を閉じた。
お姉ちゃん、信頼してくれてありがとう。
リーアがマーサに触れた瞬間、
ぱあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
柔らかい光が2人を包み込み、その光はマーサの体内へと吸い込まれた。吸い込まれた光はマーサの病を浄化し、静かに消えていった。
「……お姉ちゃん、気分はどう?」
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