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大国アーチル
しおりを挟む五年後……
アーチル城が完成した。
「「「キリト王バンザーイ!セリシア王妃様バンザーイ!」」」
国民は大いに喜び、各地で祝福の宴が開かれていた。
あれから聖女協会は、聖女がいない国に協会の聖女を派遣するようになった。聖女が派遣された国は、評価からは外れる事になるが、順位をつけることは続行されていた。
アーチルは五年間ずっと一位を維持している。
どの国よりも人口が増え、アーチルは大国になっていた。
「おかあたまー!」
小さな女の子が駆け寄ってきて、セリシアは抱き上げた。
「シュリル、お父様はどこにいるの?」
「おとうたまはおじいたまといっしょにいたよー。」
「そう、それならあそこかな?」
シュリルを抱きながら、向かった先は……
「やっぱり、ここにいらしたんですか。」
「おお!可愛い可愛い孫のシェリルじゃないか!おいでー!」
セリシアがシェリルを下ろすと、ゴーシュ……ではなく、キリト王に駆け寄った。
「ううう……」
しゃがみこんで泣き真似をするゴーシュに、シェリルは駆け寄り、
「よちよち。」
頭を撫でてあげた。
二人がいた場所は、アーチル村の家だった。城が完成した事で、これからはそちらに住むことになる。
最後のお別れに来ていたのだ。
「この家で、私はセリシアに再会した。君を見た時、夢なんじゃないかと思ったよ。」
「だからあの時、顔を覗き込んでいたのですか?」
図星をつかれてキリト王は真っ赤になる。
「そういえば、私は君に謝らなくてはいけないことがある。」
「謝らなくてはいけないことですか?」
セリシアはキョトンとした。
「私は……君がスベマナの王妃だった頃から、君を想っていた。騎士として、失格だったんだ。」
「……確かに王妃を騎士が慕うのは、騎士失格かもしれません。ですが私はそれを聞いて、ますますキリト様を好きになりました!」
そう言ったセリシアの笑顔は、眩しいくらい美しかった。
END
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