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愛する事は罪?
しおりを挟む私達は、お父様達が用意してくれた邸に住むことになりました。新婚なのだから、親がいない方がいいだろう? との理由でした。
ウォルシュ様とイチャイチャする事はないので、違う意味で、助かったのかもしれません。
「寝室は別にしよう。週に一度、子を作る為に一緒に寝る事。それ以外は、何をしていてもかまわない。」
週に一度は、一緒に眠れるのですね。……待って! 好きな人に抱かれるのに、好きじゃないフリって、どうすればいいのでしょうか!?
初めての経験なのですから、分かるわけがありません!! これは、流れに任せるしかなさそうですね。
「分かりました。食事は、どうなさいますか? 一人で食事をした事がないので、出来ればご一緒していただきたいのですが……」
本当は一人でも食事をするのは平気ですが、少しでも一緒に過ごす時間を増やしたかった。
「食事は、一緒にとることにしよう。パーティーなどの集まりは、なるべく出席してくれ。」
ただの共同生活みたいなルールを決めていく。それでも、これから好きな人と一緒に暮らすのだから、私の心は弾んでいました。ですが……時間が経つにつれ、私の想いは日に日に募っていきました。そして、初めて一緒に過ごす『子を作る時間』がやって来ました。
一週間、食事以外では一緒に過ごす時間はほとんどありませんでした。食事中もほとんど会話をすることはなく、黙々と食べるウォルシュ様。
会話したくても、私の気持ちがバレてしまいそうで、私も黙々と食事をしていました。
会話がなくても、ウォルシュ様とする食事は、私には幸せな時間で……ウォルシュ様の顔を見ただけで赤くなってしまう。最近では、赤くなった事を知られないように、顔を隠すのが癖になっているようです。
そんな私が、ウォルシュ様との夜の営みを無事に終える事は出来るのでしょうか……
「緊張しているのか?」
寝室のベッドに横たわり、ガチガチに固まっている私をウォルシュ様が覆いかぶさりながら見下ろす。
「……申し訳ありません。初めての事で、どうしたらいいのか……」
初めてだということもあるけど、大好きな人にこんな近くで見つめられていることに、私の心臓は破裂してしまうのではと思うほど、ドキドキしています。
「…………すまない。」
え……? どうして謝るのでしょう?
疑問が頭に浮かんだ瞬間、ウォルシュ様は私の口を唇で塞ぎました。
ウォルシュ様との初めての夜は、甘くて切ない……愛し合うためではなく、子供を作るためだけの行為。こんなにも愛する人が近くにいるのに、気持ちを伝える事さえ出来ないなんて……
胸の痛みがまた大きくなり、同時に、ウォルシュ様への想いが強くなりました。
愛する事は罪なのでしょうか? ウォルシュ様のそばに居るためには、気持ちを悟られてはいけない。絶対に……
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