14 / 15
王都到着
しおりを挟むダルダナート壊滅から、1ヶ月半が経っていた。
「やっと王都に着きましたね。シャーロット様は、王都で仕事をお探しになるんですよね? 私にも出来る仕事はあるでしょうか。」
「んー。最初は、仕事を探しに王都に来るつもりだったけど、今は目的が違うんだよね。」
「目的……ですか?」
「王都に来た目的は、国の中心からなら、国全体に結界を張ることができると思ったから。」
「国全体にですか!? そんな事をして、シャーロット様のお体は大丈夫なんですか!?」
「アンジェラさんからいただいたこのペンダントがあれば、簡単みたい。今、国の半分に結界を張ってるけど、全然疲れたりしてないし、ものすごく元気なの。」
このペンダント、本当にすごい。ダルダナートの街だけで、あんなに大変だったのが嘘みたい。
「ねぇ、トーマス。そろそろ敬語やめてくれない? 私達は友達でしょ?」
「ですが……」
「私ね、結界を張ったら行きたい所があるの。行きたいというより、住みたいかな。」
「住みたい……ですか?」
「ダナ村に住みたい。病院で仕事をしたいなって。それで、トーマスはご両親と食堂をするの。そう出来たら、幸せだなって。」
「シャーロット様の幸せは、可愛いですね。国中をおひとりで守ろうとしてる方が、そんな事で幸せなんですか?」
そんな事じゃない。私にとって、それが一番幸せな事だよ。
「さあ、とっとと結界を張って、ダナ村に帰ろう!」
シャーロットとトーマスは、1ヶ月半かけて来た王都を、半日で出発し、ダナ村へと帰って行った。
―ダナ村―
「やっと着いたー! 行きと違って、1ヶ月で戻って来れたね!」
「シャーロット様が、急がせたんじゃないですか!」
「シャーロット様!?」
「シャーロット様だ!!」
「聖女様がいらしたぞー!!」
村人達は、シャーロットが来たことに大喜びし、シャーロットの周りに集まって来る。そして、ロベルトも……
「もう王都に行って来られたんですか?」
「行ってきました。滞在は、半日でしたけど。ロベルト様にお願いがあるのですが……」
「お願いですか? なんでも仰ってください。」
「この村に、住みたいんです。出来れば、病院で働かせていただけないかと……」
「それは本当ですか!? もちろん、大歓迎です! 私の邸で良ければ、住んでいただいてもかまいませんが。」
「それはダメです! シャーロットは、俺と一緒に住むのでおかまいなく。」
今、シャーロットって言った?
「やはり私は、出遅れたようだ。ずっと一緒にいられたトーマスが羨ましい。」
……え? ロベルト様はどうしてそんな事を?
「シャーロット、行くぞ。」
え? え? 本当にトーマス??
トーマスはシャーロットの手を握り、食堂へと連れて行く。
「ねぇ、トーマス。どうしちゃったの? ロベルト様にあんな態度をとったら、失礼じゃない。」
「……男心が分かってませんね。シャーロット、俺と結婚して欲しい。」
32
お気に入りに追加
2,829
あなたにおすすめの小説
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
離婚された夫人は、学生時代を思いだして、結婚をやり直します。
甘い秋空
恋愛
夫婦として何事もなく過ごした15年間だったのに、離婚され、一人娘とも離され、急遽、屋敷を追い出された夫人。
さらに、異世界からの聖女召喚が成功したため、聖女の職も失いました。
これまで誤って召喚されてしまった女性たちを、保護している王弟陛下の隠し部屋で、暮らすことになりましたが……
融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
初恋の君と再婚したい?お好きになさって下さいな
藍田ひびき
恋愛
「マルレーネ。離縁して欲しい」
結婚三年目にして突然、夫であるテオバルト・クランベック伯爵からそう告げられたマルレーネ。
テオバルトにはずっと想い続けている初恋の君がいた。ようやく初恋の女性と再会できた夫は、彼女と再婚したいと述べる。
身勝手な言い分に呆れつつも、マルレーネは離縁を受け入れるが……?
※ なろうにも投稿しています。
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました
柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》
最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。
そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来ませんでした。平民女性と駆け落ちしたですって!?
田太 優
恋愛
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来なかった。
そして知らされた衝撃の事実。
婚約者は駆け落ちしたのだ。
最初から意中の相手がいたから私は大切にされなかったのだろう。
その理由が判明して納得できた。
駆け落ちされたのだから婚約破棄して慰謝料を請求しないと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる