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ダルダナート
しおりを挟む「……これから、私はどうすればいいのだ。」
シャーロット達が去った後、ルークはその場から動けずにいた。
「このまま逃げてしまいたいが、逃げたら極刑を免れないし……。ダルダナートに、戻るしかないのか。兵士は4000はいる。もしかしたら、勝てるかもしれない! これに勝てたら私を見直して、シャーロットが帰ってくるかもしれないな! よし! ダルダナートへ戻るぞ!」
ダルダナートへと戻る決心をしたルークは、馬車へと乗り込んだ。
―ダルダナートの街―
「魔物達が、今にも入って来そうだ!」
「レイバーン伯爵は何をしているのだ!? まさか、逃げたのでは!?」
兵士の間で、ルークは逃げたのでは? と噂になっていた。
「レイバーン伯爵の邸が燃えているぞ!」
「何!? まだ魔物は侵入していないのに何故だ!?」
「今はそれどころではない! 魔物に集中するんだ!」
「シャーロット様がいてくれたら……」
「お前、偽聖女に頼るな! 孤児の聖女など認めん!」
魔物達が侵入するのは時間の問題……
「住民を避難させるぞ!」
「どこに!? この数だ……隠れる所などないぞ!」
「とにかく、少しでも遠くに避難させる!」
「ふざけるな! レイバーン伯爵が戻るのを待つんだ!!」
「領主がいないんだ。この地がどうなろうと知ったことではない! 住民を守れ!」
兵士達のほとんどが、住民を避難させる為に動き出した。
「魔物達が侵入して来るぞ! 急げ!」
ほとんどの住民達は兵士に従い、ダルダナートの街を捨てた。だが、シャーロットの力を信じていなかった者は、今までのようにルークが守ってくれると信じ、ダルダナートにとどまった。そして、結界が消滅した……
魔物達はいっせいに、ダルダナートの街へと侵入して来た!
「うわああああああ!!」
「助けてくれーッ!!」
「クソっ! レイバーン伯爵は、どちらにおいでなのだ!」
「やはり、シャーロット様がこの街を守っていたのか……」
残った兵士達では全く歯が立たず、その場にとどまった住民達は、次々に襲われ命を奪われていく……
そして、街の外へと逃げた住民達は……
「これは、どういうことだ!?」
「何故、魔物達は街から先へは来ないんだ!?」
街へと侵入して来た魔物達は、何故か街の外までは追ってこない。
「それは、シャーロット様が結界を張っているからです。」
「あなたは……シルバード子爵!?」
シャーロットは、ダナ村でペンダントを受け取った後、ダルダナートの街を出た所から今いる場所までに結界を張っていた。
その事を、ロベルトには話していたのだった。
「シャーロット様が……助けてくださったのですか?」
「この街の住民達は、シャーロット様を信じる者が少なかった。それなのに、何故!?」
「シャーロット様は、そういう方です。ダルダナートを守るのは、レイバーン伯爵なので、ダルダナートには結界を張ることはできないが、もしもレイバーン伯爵がダルダナートを守れず、民が危険になった時は、結界の中へと誘導して欲しいと頼まれたのです。兵士達の機転で、私の役目はありませんでしたけど。」
残った兵士達や住民が全滅し、誰もいなくなったダルダナートでは、魔物達が街を壊し、燃やしていた。そんな中、ルークが邸へと戻ると……
「なんだこれは……!? 何故、邸が全焼しているんだ!?」
ほとんどの住民が逃げたことも、残った者達が全滅した事も知らないルークは、燃えてしまった邸の前で呆然としていた。
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