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40、愛しいティアナ エリック視点

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 あまりにしつこく構ってくるから、少し心を許してしまってる自分がいる。僕を元気付けようとしてくれてるリオン王子を、受け入れ始めていた。
 だけど……きっと、父上が母上にした事を知ったら、離れて行くに決まってる。
 僕は全てを、リオン王子に話した。

 「話してくれて、ありがとう。上手い言葉なんか浮かばないけど、これだけは言わせてくれ。俺はずっとお前の友でいたいと思ってる」

 離れて行くと思ってたのに、リオン王子は僕を友だと言ってくれた。
 この方に仕えるのも、いいかもしれない。

 


 殿下に仕えてから、5年の月日が流れた。
 俺は、愛する人を見つけてしまった! まだ遠くから見ているだけだが、彼女を妻にしたい!
 笑顔が眩しいくらい可愛くて、ひと目で恋に落ちていた。
 だけど、問題がある。俺は、あの男の血を引いている。もしも、彼女に暴力をふるってしまったら? 俺は、自分を抑える事が出来るのだろうか……
 そうは思っても、日に日に彼女への想いは増して行く。彼女が好きで好きで、どうしようもなくなって行く。
 彼女を手に入れる為に、俺は他の女性と付き合う事にした。何でも言う事を聞いてくれて、暴力も受け入れてくれる相手を。
 相手はすぐに見つかった。レミアという、平民の女性だ。レミアと付き合いながら、俺は大好きな彼女……ティアナに、婚約して欲しいと言った。そして1年後、ようやくティアナと婚約した。



 ティアナとの結婚が決まった。こんなに嬉しいのは、生まれて初めてだ。必ず幸せにしてみせる! 絶対に、母上のようにはしない。こんなにも大切な人に出会う事が出来たんだ。決して、手放したりなんかしない。

 初夜……
 凄く幸せな夜だった。だが、幸せ過ぎて、愛し過ぎて、彼女を壊したくなった。この感情は、なんなんだ!? 
 
 このままでは、彼女を傷付けてしまうと思った俺は、ティアナから距離を置くようになった。
 邸には帰らず、レミアのところに入り浸るようになり、ティアナへの想いが溢れ出して止まらなくなると、レミアを殴った。レミアは、自分が妻の代わりだという事を分かった上で、俺の側にいてくれている。ティアナの代わりに愛情を受け、ティアナの代わりに殴られる。それでも幸せなのだと、レミアはいつも言っている。

 俺が邸に帰っていないことを、殿下が怪しんでいるようだ。殿下はティアナが好きだ。俺から、ティアナを奪うのではないかという不安が押し寄せて来る。
 仕方なく、レミアを連れて邸に戻った。ティアナはいつ見ても美しい。
 ティアナへの想いが強くなればなるほど、ティアナに冷たく接して来たが、それも限界だった。
 そして、2人目の愛人を邸に連れて来た。それでもダメで、3人目の愛人を連れて来た。
 こんな暮らしがいつまで続くのだろう。それでも俺は、ティアナを手放したくない。


 
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