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親友だと思っていたのに…

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 二人を見たエリーサの目から、涙がこぼれ落ちた。

 「な!言った通りだったろ?アーチャーはただの女好きなんだ!」

 後ろから姿を現したラルフを見たアーチャーは、全てを察した。

 二人は示し合わせて、ラルフはアーチャーを呼び出し、エイミーはエリーサを呼び出していた。全てはタイミングよくエリーサを誘導してこの瞬間を見せる為に!

 「エリーサ……」

 「アーチャー様、大丈夫です。」

 アーチャーの言葉を遮り、エリーサは話し始めた。

 「アーチャー様の事は信じてます。ただ私は……エイミーの事も信じていたのです。」

 涙の理由は、エイミーの裏切りに気付いたからだった。

 「どうして?私達、親友だと思ってたのに……」

 企みが失敗した事にエイミーは開き直り、

 「親友だなんて冗談じゃないわ!あんたはいつだっていい子ちゃんぶってて、大嫌いだった!」

 エイミーはエリーサを睨みつけ、

 「いつだって周りは、エリーサ!エリーサ!エリーサ!!エリーサの事ばかりでウンザリだった!あんたなんかのどこがいいのよ!」

 そんな風に思ってたんだ……。私は知らず知らずのうちに、エイミーを傷つけて来たんだ。

 「私のせいで傷つけてしまってごめんなさい。」 

 「ほら!そういうとこよ!悪いと思ってるなら、アーチャー様を私にちょうだい!」

 「……ごめん。それは出来ない。アーチャー様は、私の全てなの。」

 エリーサの一言でアーチャーは喜び、ラルフは絶望し、エイミーは怒りだした!

 「あんたなんかいなくなればいい!何でも手に入れて、皆から愛されて……あんたさえいなければ私は幸せになれたはず!」

 エイミーが言っていることは、ただの逆恨みだった。誰にでも優しいエリーサは皆から愛されていたが、エイミーは皆から嫌われていた。
 エイミーの嫉妬深さや性格の悪さは有名で、エリーサ以外の友達もいなかった。
 エリーサはエイミーの性格を知った上で、エイミーと友達になり、親友となったが、エイミーはエリーサの優しさにさえ気付いていなかった。

 「あんたさえ……あんたさえいなければ……」

 エイミーは何度も何度も同じ言葉を繰り返し、隠し持っていたナイフを取り出し、エリーサへと向かっていった!

 グサッッッッッ!!

 「うッ……」

 鈍い音と共に、誰かが倒れた……

 ドサッ!!!!

 「いや………いやーーーーーっっっ!!!!」

 倒れたのはアーチャーだった!

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