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アシュリー・ミラー

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 リンダがセリーナとケイトリンの呪いを解いた時、ミラー伯爵の三女、アシュリーの身に異変が起きていた
 セリーナとケイトリンにかけられた呪いは、2人の妹、アシュリーにもかかっていたのだ
 それは、呪いをかけた張本人のリンダさえ知らなかった…いや、気づかなかった
 リンダのかけた呪いは、姉妹にかかる呪い…その3年後に生まれた、アシュリーにまでかかっていたとは考えなかった
 
 聖女の力が強いミラー家に生まれたはずのアシュリーには、聖女の力がなかった
 聖女の力がないアシュリーは、6歳の時から寄宿学校に入れられていた為、婚約発表の場には来られなかった
 アシュリーの容姿は美しい…それならば、心が醜いということに…
 だが、アシュリーの性格は至って普通の女の子だった
 
 呪いが解けた今、アシュリーは豹変していた…
 
 姉妹3人とも同じ呪いがかかった
 違っていたのは、アシュリーが聖女ではなかったこと…

 ミラー家には、秘密があった
 
 『印を持つ者が生まれし時、その者を生まれたその日に抹殺しなければならない』

 印を持つ者…それは、アシュリーの事だった!

 印とは、左の脇腹に月の形のアザがある事だったが、リンダの呪いによって、アシュリーは生まれながらにして呪いがかかり、その呪いでアザ自体が消え、普通の人間として8年間育った
 
 アシュリーの正体…それは……

 時は150年前に遡る
ブアルテリアの山奥で、悪魔が瀕死の状態で倒れていた
 そこに現れたのが、ミラー伯爵家の聖女セリア
 セリアは悪魔に癒しの祈りを捧げ、悪魔の命を救った
 悪魔の名は、ドリス…魔王の右腕だった

 『なぜ私を助けた?』

 悪魔と聖女は、相反する存在…
 聖女が悪魔を救うなど、ありえない事だった
 
 『あなたは傷を負って倒れていました。そんな人を救う事に、理由などありません』

 傷ついた者を救っただけ…セリアにとっては、ただそれだけだった
 
 『人に優しくされるのも、悪くないな…』

 魔王の右腕の座を狙う悪魔に、ドリスは反逆の罪を着せられ、魔王軍に追われていた
 逃げる際負った怪我により、瀕死の状態で倒れていたのだ

 セリアは山小屋へと案内した

 『ここは今は使われていないので、好きに使ってください』

 行く宛のないドリスは、山小屋にしばらくいることにした
 セリアは頻繁に山小屋を尋ね、食料などを運んでいた
 次第に2人は、互いを想うようになっていった
 だが、平穏な日々は長く続くことはなく…魔王軍に見つかってしまう
 
 『セリア…君をずっと想っている』

 そう言い残し、ドリスは姿を消した

 その時セリアのお腹には、新しい命が宿っていた


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