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魔女リンダ

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 呪いがかけられた時点で、セリーナとケイトリン以外の人々の記憶が書き換えられていた
 セリーナは生まれた時から醜く、ケイトリンは生まれた時から美しかったと…。
 魔女リンダのかけた呪いは、心が美しい者は容姿が醜くなり、心が醜い者は容姿が美しくなる呪いだった
 リンダは聖女が嫌いだった…
 聖女と言うだけでチヤホヤされてきたミラー伯爵家の聖女が特に嫌いだった
 聖女なら心が美しくなければならない…と、勝手に試練を与えてみる事にしたのが、二人に呪いをかけた理由だった
 リンダはセリーナがすぐに音を上げると思っていた…が、来る日も来る日も醜いと罵倒され蔑まれているにも関わらず、セリーナは呪いを解こうとはしなかった
 10年もの間、醜い姿で生きてきたセリーナ…
 いつしかリンダは、セリーナが好きになっていった

 セリーナには心配なことがあった
 心が醜い者は容姿が美しくなる…
 それはケイトリンの心が醜いという事だ…

 容姿が醜くく蔑まれてきたから、心まで醜くなってしまった…それならこれでケイトリンは変わってくれる…そう信じてケイトリンを見守ってきた

 そして今日の日がやって来た
 セリーナにとって、婚約破棄された事はどうでもよかった
 むしろ、相手から拒絶してくれて安心していた
 だが、それにケイトリンが関わっていた…
 ケイトリンは変わらなかった…本当は分かってたはずなのに、それでも信じたかった!
 
 『ケイトリンもそれが望みなのね?』

 そう聞いた時、違うと言って欲しかった…

 返ってきた答えは、
 
 『お姉様のように醜い顔では、仕方ないですよ。諦めてください!』

 その時、分かってしまった…
 ケイトリンは変わらない…

 それでも、ケイトリンに泣きつかれたセリーナには呪いを解くことが出来なかった

 10年間ずっとセリーナを見てきたリンダには、セリーナがケイトリンに同情すると分かっていた 
 
 だからこの場に現れ、自ら呪いを解いた
 リアム王子にセリーナの婚約を伝えたのも、リンダだった

 「こんな妹の為に、10年も耐えてきたなんて…セリーナってホントお人好しだよねー。人ってそんなに簡単には変わんないんだよ…私も含めてね。今回はセリーナを好きになっちゃったから、セリーナの為に動いたけど…次会う時は、敵かもしれないよ?私の役目は終わったから、帰るねー!」

 リンダはそう言うと、パチンと指を鳴らした
 すると、一瞬でリンダの姿は消えた

 
 この時、もう1つの呪いが解けてしまった事に、まだ誰も気付いていなかった
 
 
 
 
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