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41、アンダーソン公爵家との決着 前編
しおりを挟む「食事だぞー! 君の好みが変わったから、苦手なものがあったら残していいからな」
「ありがとうございます。ルーク様」
この子を身篭ってから、すっかり味覚が変わってしまいました。酸っぱいものが食べたくなるのは、本当のようです。
つわりであまり食べられなくても、私が食べられるような料理を工夫してくれる優しい旦那様。
アンダーソン公爵家のことで、毎日忙しくしているのに申し訳ないです。だけど、楽しそうに料理を作るルーク様をお止めすることも出来ません。
「ルーク様、例の方からまた手紙が届きました」
食事をしていると、兵士がルーク様に手紙を渡しました。例の方って誰だろう? どうして名前を言わないのか、少し気になりました。
ルーク様は封を切り、手紙を読むと……
「アナベル、ゆっくり食べていてくれ。少し気になることが出来たから、執務室に行く」
慌てた様子のルーク様。
「わかりました。あまりご無理はなさらないでくださいね?」
「ああ……」
ちゅッと、おでこにキスをしてから執務室へと向かいました。
いつもなら、食事の時間は一緒にいてくださるのに、今日のルーク様には余裕がないようでした。
私に出来ることがあったらいいのに……
「アンダーソン公爵が助けを求めたのは、タジガナルだけではなかったようだ……
父上にこのことを伝えてくれ。俺は、ここに書かれた国に書状を出す!」
手紙に書かれていた国は5カ国。タジガナルは除外するとしても、さすがに全部を回るわけにはいかない。他国に行っている間に、他から攻められることになりかねない。
幸い、タジガナル以外の4カ国は小国だ。タジガナルが協力するからとアンダーソン公爵に手を貸す気になったのだろう。
タジガナルがアンダーソン公爵に協力しないことを知れば、思いとどまってくれるとルークは考えた。
しかし、どこまでも卑怯なやり方だった。
タジガナルは別として、他の国は貧しく、国民は飢えていた。アンダーソン公爵はそれを利用した。援助するとでも言ったようだ。だが、この企みが成功しても、アンダーソン公爵が援助出来るはずがない。4カ国もの国に援助出来るほどの財力などないからだ。
国王が王太子だった頃は、アンダーソン公爵家がこの国で1番裕福だったが、今の当主に変わってからは金を湯水のように使い、金が底をついていた。
娘が王太子の婚約者だからと、安心していたのだろう。権力を握ったら、他の貴族から回収するつもりだった。
ルークは丁寧に書状を書き、4人の兵士に渡した。4人の兵士達は早馬に乗り、それぞれ別の国へと書状を届けに向かって行った。
「これで、何とかなればいいが……」
4つの小国が攻めてきたところで、ドラナルドが敗北することはないだろう。だが、そのきに乗じて、アナベルの命を狙いに来る。
それに、罪もない民が犠牲になるかもしれないことを考えると、無用な戦は回避したいのだ。
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