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40、エルビンの想い 後編 ―エルビン視点―
しおりを挟む中に入り、引き出しから探し始める。一番下の引き出しに、国の名前が書かれた紙が1枚入っていた。1枚の紙を一番下の大きな引き出しに入れるのは不自然だと思い、国の名前を紙に書き写した。
その他は、特に変わったところはない。急いで部屋から出ようとすると……
ドアが開き、アンダーソン公爵が入って来た!
「お前、何をしているんだ!?」
見付かってしまった……
何かいいわけをしなくては!!
「もうしわ……」
「お父様、何を騒いでいるの?」
リンダがアンダーソン公爵の怒鳴り声を聞き、何事かとやって来た。
「こいつが、無断で私の部屋に入っていたんだ!」
リンダは少し考えた後……
「私が頼んだのよ。執事は最近忙しいから、お父様の部屋を掃除してって。そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない」
どうやらリンダは庇ってくれたようだ。
「お前が!? 何を考えているんだ!? こいつは、来たばかりで信用出来ない! 今は大事な時なんだぞ!?」
「オーウェンは信用出来るわ! お父様、カリカリし過ぎよ! オーウェン、もういいわ。次は私の部屋の掃除をお願いね」
「かしこまりました」
リンダのおかげで助かったが、何か要求されそうだな。
言われた通り、リンダの部屋へ行き掃除をしていると、すぐにリンダが戻って来た。
「私に感謝してよね?」
「ありがとうございました。実は、旦那様の部屋だと知らなかったので、焦ってしまいました」
「ドジね。まあ、その顔ならドジも可愛いわ」
リンダは俺を、完全に信じているようだ。
「あまり見つめないでください……」
穴が開くほど見つめてくる。まとわりついて離れなかった令嬢達を思い出す。
「ずっと見ていても飽きないわ。ねえ、やっぱり私と付き合いましょうよ!」
助けてもらったことには感謝してるが、これ以上は邪魔になりそうだな。
「リンダ様は、もうすぐ嫁ぐのですよね。それなら、俺と関わらない方がいいです。
先程は、本当に助かりました。では、失礼いたします」
俺は急いで部屋から出た。
先程、アンダーソン公爵の部屋で見つけた紙に書いてあった国名を急いでルークに知らせなくては……
何か重要なことに思えた俺は、急いで手紙を書いて出した。
あとは、動き出すタイミングを見逃さないように、あいつらを見張っていよう。
すっかり密偵みたいになってしまった。アナベルを守ることが出来るなら、俺は満足だ。
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