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24、結婚式
しおりを挟む大国なだけあって、ものすごく沢山の人が私達の結婚式に集まってくれました。
「緊張する……」
1度結婚式は経験していますが、その時とは比べ物にならないくらい緊張しています。
もしも、この国の民に受け入れてもらえなかったらどうしよう……
「緊張している姿も可愛い」
「な!? 何を仰っているのですか!?」
「ほら、緊張が解けた。大丈夫、俺が愛した人なんだから、自信持って!」
そんな事言われたら、自信持つしかないじゃないですか。
「俺は1度逃げ出してしまった。そんな俺を待っていてくれた父上や母上や臣下達、そして国民の為にも、頑張ろうと思う。全ては、君のおかげだよ」
「そうですね。ルーク様には頑張っていただかなくては! 疲れた時は、私が癒して差し上げます。何なら、ルーク様のお食事は私が作りましょうか?」
「料理だけはしないでくれ! 俺はまだ死にたくない!」
「酷いですー!」
前に1度、料理を作ってお出ししたら、ルーク様は意識を失いかけていました。料理の才能は、皆無のようです。
「「「わああああああああああああああぁぁぁ!!」」」
外から聞こえる大きな歓声。
どうやら、王様が私達を紹介したようです。
「行こうか」
「はい!」
ルーク様が差し出した手を取り、城のバルコニーから顔を出しました。
「ルーク殿下ー!」
「アナベル様ー!」
「おめでとうございます!」
バルコニーの下は大きな広場になっていて、広場は沢山の民で埋め尽くされています。こんなに沢山の人達が、私達を祝福して涙してくれています。
「皆さん、ありがとう! 俺が間違えた時は、妻のアナベルが叱ってくれるので、安心してください! 国の為、国民の為、そして妻の為に、尽力して行きます!」
とてもルーク様らしい挨拶でした。
「皆様、こんな私を受け入れて下さり、本当にありがとうございます! ルーク様の事は、ガンガン叱っていきますので、温かく見守っていただけたら幸いです!」
「「「ルーク様ーー!!!」」」
「「「アナベル様ーー!!」」」
こうして私は、正式にルーク様の妻になりました。
「やっと俺のものになった……」
結婚式が終わり、2人きりになると、ルーク様は私を抱き寄せました。
ずっとそばに居たのに、忙しくて2人でゆっくりする時間がありませんでした。こんなに心が満たされるのは久しぶりです。離縁が成立した事で、やっと身も心もルーク様のものになれました。
「2人ともおめでとう! 今日は盛大に騒ごう!」
ワインとグラスを持った王様が、ドアを開けて入って来ました。いきなり過ぎて、抱き合ったまま固まる私達。それを見た王様も、固まっています。
「陛下! 今日は初夜なのですよ? 邪魔をしたら……あら、お取り込み中のようね。ふふふっ」
王様の後ろから顔を出した王妃様は、嬉しそうに笑っています。
「勝手に入ってくるなーーー!!」
ルーク様は顔を真っ赤にして怒り、王様と王妃様を部屋の外に追い出しました。
私はどうしたらいいかわからず、固まったまま動けません……恥ずかしい……
「まったく! 空気を読むという事を知らないのか!? 父上にも母上にも、困ったものだ!」
抱き合っていた所を見られたのは恥ずかしいけど、なんだか心がホッコリします。ルーク様の焦っている顔も可愛くて好きですし。本当に素敵な家族。その一員になれて、すごく嬉しいです。
「よし! 鍵はかけたし、続きをしようかアナベル」
抱き締めようと伸ばされたルーク様の手を、ヒョイと避けました。
「王様と王妃様と、ワインをいただきましょう! あんなに嬉しそうにワインを持っていらしたのに、このままではお可哀想です」
「えー!? せっかく2人きりになれて、やっと君を妻に出来たのに、お預けは酷すぎるーー!!」
まるで駄々っ子みたいに拗ねるルーク様。こんな姿を見せてくれるのは、きっと私にだけです。
「少しだけ我慢してください。ワインを飲み終わったら、ゆっくり2人で……ね?」
ルーク様の目を見つめながら微笑むと、
「よし、行こう! そして、ワインを一気に飲み干そう!!」
そう言って、私の手をとり王様達の元へ歩き出しました。
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