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祠の中の秘め事

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 栞鳳はわたしの瞳を見つめたまま、その指に舌を這わせていく。
 その舌がやけに赤くて、栞鳳の白い肌とのコントラストがやけに生々しい。目が離せなかった。

「ぼくの舌が気になるの? いいよ、もっとしてあげるね」

 にやっと唇の端をあげると、例のふしぎな風の塊みたいなものがわたしの足首をつかみ、大きく開かせる。

「ちょ、っと……えっ!?」

 わたしの足の間に体を滑り込ませると、栞鳳は私の内腿に手を置き、ちゅ、と軽く口づける。
 そのまま唇をゆっくりと下に滑らせていく。

「そんなこと、しなくていい……」

 恥ずかしい。
 性行為自体の経験はあるが、こんなことはされたことがない。自分でもまじまじと見たことがない部分を、こんな美しい顔の少年が、間近で、そして……ああ、だめだ。

「葉月のここ、とってもきれい。それにいい匂い、おいしそう」

 鼻先で秘部をくすぐられる。

「んっ……」

 先ほど痛いほどに指で刺激された突起を、今度は優しく舌で愛撫される。指とは違う、ぬるっとした、熱い感覚に体が震える。

「ぁあああんっ」

「これ気に入ってくれた? んっ……ちゅ、れろ……ふふ、おいしい。どんどん溢れてくるね」

 突起を舌で転がし、ドロドロに愛液で溢れている割れ目に舌を這わされていく。恥ずかしい。気持ちいい。自分でもわかるほどに濡れてしまっている。こんなの、おいしいわけがない。

「そう? 本当においしいよ」

 またわたしの頭の中に反応して、じゅるるるっと音を立てて栞鳳がわたしの秘部を吸いあげる。

「あっ、あっ、ぁあああんっ、や、だめっ」

 自由なままの腕を動かし、栞鳳の頭に手を置く。頭をどけようと力を込めても、栞鳳はびくとも動かない。

「し、おんっ、あぁあっ、しおん、ほんと、はずかし……」

「葉月、もっと名前呼んで。恥ずかしくないよ、ほら、もっとしてあげる」

 尖らせた舌が、私の中に浅く挿入される。

「んんんんんんんんっ!! しおん、それ、だめ……っ」

 ぐちゅぐちゅと水音が響く。
 浅いところを抜き差しされると、気持ちよくて、切なくて、もどかしくて、つらい。

「葉月、自分で腰ふっちゃってるね。気持ちいい?」

 わかってるのに。栞鳳はわたしの頭の中を見ているから、わかっているはずなのに。

「い、いい……気持ち、い……」

「うん、よかったね葉月……」

 答えを知っている質問の答えに、満足そうに栞鳳がうなずく。
 頭がおかしくなっていく。考えられなくなっていく。
 栞鳳の舌が離れると、息をつく間もなく栞鳳のほそいきれいな指がそこに挿入される。

「―――‐ッ!! ぁっ、あ、しおん、なかっ、なか……」

 根元まで指が挿入される。栞鳳のもう片方の手がわたしの前髪をかき上げ、額に口づけられる。

「うん。中も気持ちいいね。ゆっくり動かしてあげる」

 膣内に自分の指を馴染ませていくように、ゆっくり、栞鳳が指を動かす。ゆっくり、抜かれて、またぬぷぬぷとゆっくり挿入されて……

「ぁあああんっ、あっ、しおん、しおん……っ」

 いやだ、はずかしい。
 きもちいいけど、足りない。これじゃ足りない。
 もどかしい。切ない。栞鳳、おかしい、こんなの、だめ、だめなのに、もっと、もっと、

「葉月すごいね。もっとして~って、お顔にいっぱい書いてあるね」

 綺麗な顔で、涼しげな顔のままで、そんな恥ずかしいことを平然と言い放つ。
 ぜんぶわかってるのに、わかってない顔で、少しずつ指の動きが激しくなっていく。

「ぁあんっ、あ、あ、あっ……ああっ……」

 求めていた刺激がうれしくて、栞鳳の指の動きに合わせて腰が揺れる。
 栞鳳の細くてきれいな、でもまだ少年らしい小さな指が、私の中をぐちゅぐちゅかき混ぜる。
 わたしを見つめる栞鳳の視線に、また感じてしまう。

「し、おん……」

 名前を呼ぶと、嬉しそうに目を細める。
 それが、本当に愛しい。
 愛しいのに、愛しくて、でも指ではイケなくて、ああ、気持ちいい。声が我慢できない。
 だめなのに、ああ、どうしよう、こんなにも、切なくて、ああ、

「自分から犯されたいって思うなんて、葉月の変態」

 わたしの頭を読んだ栞鳳が、中から指を抜く。
 ああ、本当に、そんなこと、思っただろうか。でも、だめだ、空いてしまった穴が、切ない。

「葉月はお姉さんなのに、気持ちいいことが我慢できないんだね」

 耳元に顔を寄せられる。熱くて冷たい栞鳳の不思議な吐息が、耳にかかる。「ああっ……」ぞくぞく、する、耳が、顔が、熱い。
 くすくすと小さく笑うと、栞鳳は自分の着物の前をはだけさせる。
 ちらり、と見えてしまった栞鳳のモノは、そのきれいな顔から想像できないほどに、グロテスクなほどに雄々しく屹立している。まだ少年としか言えない年齢の体とのちぐはぐさに、思わず顔をそむけてしまう。

「大丈夫だよ、痛くないから。葉月のおなかの奥まで、いっぱい届くからね」

 そんなことを言われても、あんなものがわたしの中に入るなんて全然想像できなかった。
 わたしの体の上に乗る。軽い。その実際の軽さと全然違う、栞鳳の存在感。
 栞鳳が上に乗ると、不思議な感じがする。安心するような、なんだろうか。
 膣口に先端があてがわれると、そのままぐっと腰を深められる。

「んっ、ぁああっ……!」

 強烈なほどの異物感――を覚えたのは一瞬で。
 栞鳳が腰を深く鎮めるのに合わせ、わたしのなかに込み上げきたものは、正しいもので穴を埋められている、そんな充足感と、感じたことのないほどの幸福感だった。

「葉月、葉月……すごい、葉月の中、溶けちゃいそうなくらい、あつい……」

 栞鳳の表情も緩んで、気持ちよさそうに声をあげている。
 奥まで、ゆっくり、ぬぷぬぷ、挿入されていく。最奥まで、挿入されても、もっと、もっと、ほしくなって、

「あっ、ああ……んっ、しおん……」

「うん、このまま、ずぅっと入っていきたいね……」

 ほそい腕が私の体を掻き抱く。わたしも腕を回し、栞鳳の背中に軽く爪を立てる。

「あっ……ふふ、葉月、うごいてほしいんだ」

 ゆっくりと、少しづつ激しく腰を打ち付けられる。

「んんぁああっ、あっ、あ……し、おん……あっ」

 奥を突かれるたびに、ビクビクと体が震える。パンパンと肉と肉がぶつかる音しか、聞こえない。世界の中には、つながっているわたしと栞鳳しかいない。
 栞鳳の方に顔をうずめ、ただ与えられる快楽にひたすら声をあげる。

「しおん、しおん……ぁあんっ……!あ、あ、あ……っ」

「葉月……ああ、葉月……すごい、うれしい……はあっ、こんなに……気持ちいいの、」

 抱きしめあいながら、ひとつの生き物みたいに、同時に絶頂を迎えるために、激しく腰を打ち付けられて、ああ、栞鳳、栞鳳……

「うん、だいじょうぶ、ほら、こっちを見て……」

 栞鳳の手が私の頬を包む。額に汗を浮かべて、苦しそうに、でもやさしそうに栞鳳が私を見つめて、そのまま口づける。深く、深く、唇を吸い、舌を絡ませながら、さらに激しく腰を打ち付けられて、

「ぁああっ、あっ、あああっ、い……、く……っ」

「うん、イくね、ぁあっ、葉月、葉月……ぁっ……!!」

 キツく抱きしめられたまま、わたしの中で爆発するように栞鳳から液体が放たれる。
 それは、熱くて、栞鳳の甘い香りがどんどん濃くなって、噎せ返るような、匂いに、私の意識は遠くなりっていく。
 わたしを抱く栞鳳の軽さ。不思議に思っていたこれは、そうだ。
 デジャヴだ。
 わたしは、この軽さを知っている。
 いつの記憶なのだろうか。ああ、わからない。考えようにも、栞鳳の甘い匂いが、わたしのなかに、広がって。

 そこまで考えて、わたしは意識を手放した。
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