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第五章 叛逆
第五十一話 紹介
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「さて、では、次はお前だ」
【怠惰】ベルが言った。
周りの視線が再度、俺に向く。
好奇心、疑惑……様々な感情が渦巻き、俺に向かう。
俺は唾を飲み込み、立つ。緊張してきた。
なるべく短く言おう。
「では、彼の説明をしよう。彼は人間でありながら、あり得ないような力を持った強者であり、【創造神】を倒すキーパーソンでもある」
悪魔はそう言って、こちらを向いた。どうやら、何か
「天野翔……人間だ。よろしく」
端的にそれだけ述べて、席に着いた。
「ふーん。人間なんかが、どうしたのさ」
ルシちゃんが言う。彼女視点からすれば当たり前だろう。悪魔たちを中心とした、上位種族が集まる中、なぜ人間なんかが、ここにいるのか、そう思っているのだろう。
悪魔が口を開く。
「彼は【美徳】の一つ【忍耐】を持っている。しかも、相手の技能を奪う力を持っている」
途端に殺意と威圧が俺を襲った。急激な変化だった。
特に【憤怒】からの殺意が凄い。大人しそうな顔をして、まさかこんな恐ろしいことができるとは……
逆にルシちゃんは好奇心溢れるような顔をして、こっちを見ている。
「リーダーよぉ。まさかと思うが、【美徳】持ちを入れるつもりか?」
ベルが聞く。ベルは先程の眠そうな顔ではなく、真剣そのものの顔をして言う。
「もちろんそうだ」
悪魔が答える。
「それは危険ではないですかね」
ラーも追撃するかのように言う。丁寧な言葉遣いだが、口調は厳しい。
「【創造神】は何も思わないんですか? 本来、【大罪】持ちぐらいしかいれないはずだろう」
ラーは言った。
「しかしですね。今までの私たちに足りてなかった、最後の鍵になるかもしれないのが、彼ですよ」
【創造神】は俺を擁護するように言う。
「しかも、【大罪の種】も呑ませました。なぜか、【大罪】は獲得できなかったのですが」
「そんなの見えきったことだろう。彼が我らのような存在ではないからだ」
「相手の技能を奪うような能力が、陽の力だとでもいうのか!?」
「それは一部の例外かもしれないだろう」
一応、説明として、【大罪】として昇華される能力は大抵が、陰の能力らしい。相手を騙したり、相手に被害を与えたりするものは、基本的に陰らしい。だが、武術や魔法などの多くは、陽に技能らしい。
まぁ、詳しくは知らないが……
「僕としては、そんなやつを入れるのは反対したいんだが」
ラーは俺を絶対排斥したいらしい。
他の奴らもそんな傾向が強いように感じる。
ルシちゃんはどうやら、俺を入れることに忌避感を持っていないっぽいが……でも、子供っぽいからなぁ。
どうやら、このままだと、話が泥沼化しそうだ。
「では、どれほどの力が試せばいいのでは?」
「力が問題ではない! 我らへの裏切りを考慮しているのだ」
ラーが遂に怒号を上げた。
「なら、仕方ない。【魂の契約書】はまだ残っているよな」
「あぁ」
「一枚は彼の協力関係に使ったが、あともう一枚、裏切りの防止に使うか」
協力関係に使ったのに、更に新しいのを使用できるなんて……【魂の契約書】って本当に世界最高峰のスクロールなのに……
このグループはもしかして、凄腕の作成者でも抱え込んでいるのだろうか……?
「そ……れなら」
彼も渋々、認めてくれるようだ。
「いや、実力を見てから判断します……闘技場まで来てください」
ラーが言った。
そして、彼は立ち上がり、扉の外へと出て行った。
【怠惰】ベルが言った。
周りの視線が再度、俺に向く。
好奇心、疑惑……様々な感情が渦巻き、俺に向かう。
俺は唾を飲み込み、立つ。緊張してきた。
なるべく短く言おう。
「では、彼の説明をしよう。彼は人間でありながら、あり得ないような力を持った強者であり、【創造神】を倒すキーパーソンでもある」
悪魔はそう言って、こちらを向いた。どうやら、何か
「天野翔……人間だ。よろしく」
端的にそれだけ述べて、席に着いた。
「ふーん。人間なんかが、どうしたのさ」
ルシちゃんが言う。彼女視点からすれば当たり前だろう。悪魔たちを中心とした、上位種族が集まる中、なぜ人間なんかが、ここにいるのか、そう思っているのだろう。
悪魔が口を開く。
「彼は【美徳】の一つ【忍耐】を持っている。しかも、相手の技能を奪う力を持っている」
途端に殺意と威圧が俺を襲った。急激な変化だった。
特に【憤怒】からの殺意が凄い。大人しそうな顔をして、まさかこんな恐ろしいことができるとは……
逆にルシちゃんは好奇心溢れるような顔をして、こっちを見ている。
「リーダーよぉ。まさかと思うが、【美徳】持ちを入れるつもりか?」
ベルが聞く。ベルは先程の眠そうな顔ではなく、真剣そのものの顔をして言う。
「もちろんそうだ」
悪魔が答える。
「それは危険ではないですかね」
ラーも追撃するかのように言う。丁寧な言葉遣いだが、口調は厳しい。
「【創造神】は何も思わないんですか? 本来、【大罪】持ちぐらいしかいれないはずだろう」
ラーは言った。
「しかしですね。今までの私たちに足りてなかった、最後の鍵になるかもしれないのが、彼ですよ」
【創造神】は俺を擁護するように言う。
「しかも、【大罪の種】も呑ませました。なぜか、【大罪】は獲得できなかったのですが」
「そんなの見えきったことだろう。彼が我らのような存在ではないからだ」
「相手の技能を奪うような能力が、陽の力だとでもいうのか!?」
「それは一部の例外かもしれないだろう」
一応、説明として、【大罪】として昇華される能力は大抵が、陰の能力らしい。相手を騙したり、相手に被害を与えたりするものは、基本的に陰らしい。だが、武術や魔法などの多くは、陽に技能らしい。
まぁ、詳しくは知らないが……
「僕としては、そんなやつを入れるのは反対したいんだが」
ラーは俺を絶対排斥したいらしい。
他の奴らもそんな傾向が強いように感じる。
ルシちゃんはどうやら、俺を入れることに忌避感を持っていないっぽいが……でも、子供っぽいからなぁ。
どうやら、このままだと、話が泥沼化しそうだ。
「では、どれほどの力が試せばいいのでは?」
「力が問題ではない! 我らへの裏切りを考慮しているのだ」
ラーが遂に怒号を上げた。
「なら、仕方ない。【魂の契約書】はまだ残っているよな」
「あぁ」
「一枚は彼の協力関係に使ったが、あともう一枚、裏切りの防止に使うか」
協力関係に使ったのに、更に新しいのを使用できるなんて……【魂の契約書】って本当に世界最高峰のスクロールなのに……
このグループはもしかして、凄腕の作成者でも抱え込んでいるのだろうか……?
「そ……れなら」
彼も渋々、認めてくれるようだ。
「いや、実力を見てから判断します……闘技場まで来てください」
ラーが言った。
そして、彼は立ち上がり、扉の外へと出て行った。
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