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第五章 叛逆

第四十七話 創造神

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 一糸纏わぬ姿は非常に目のやりどころに困った。無毛の下半身、立派な双丘。まさに美を体現していた。

 「ちょ、服は?」

 俺は思わずテンパって声を出してしまう。

 「衣服など必要ありません」

 そして、胸を張って言う。

 「私は羞恥という無駄な思考を持っていないのです」

 もう意味がわかんない。何なんだ。この女は……

 混乱した俺は思わず、悪魔を睨み付ける。

 ゴホンッとわざとらしい咳をして、悪魔は説明した。

 「彼女は元、管理者である神であり、現在はその殆どの権限を没収され、魂を世界樹に封印されています。だが、強大な魂のせいで、亡霊として、世界樹の封印を抜け出すことができるのです」

 はえー、すごい。神のレベルの封印を抜け出すなんて。

 「まぁ、そこまでしても、この巨大迷宮【世界樹】内しか移動できないわけですが」

 【【世界樹】とは巨大な迷宮、『アースガルズ』『ヴァナヘイム』『ミズガルズ』『ヨトゥンヘイム』『アールヴヘイム』『スヴァルトアールヴヘイム』『ニダヴェリール』『ムスペルヘイム』『ニブルヘイム』の九つの迷宮から成る超巨大複合迷宮。現在地は『ミズガルズ』】

 【叡智】から補足が入った。

 元の世界で言うと、確か、【世界樹】って北欧神話だったよな。確か、ミズガルズが人の国だった気がする。まぁ、いいか。

 「まぁ、正確にいうと、ある意味、ここは一つの世界そのものですけどね。【世界樹】自体が一つの大きな世界とう認識もできます」

 うーん。よくわかんないなぁ。理解力がないのか……

 「あなたがこの世界に来る際に干渉したのですが、【システム】にばれて、権限レベルを大幅に下げられまして」

 うーん。記憶がないけど、そんなこと聞いたような……。確か【世界樹】から干渉をされてたよな……

 「我々、悪魔たちは彼女に魅了されています。悪魔は数百万、数千万、数億の時を生きる不死の存在です。昔の世界に戻ってほしいというのが願いです。先程、あなたと戦った【姫】もその一人なのです」

 あー、そうだったのか。道理で強いわけだ。魔王クラスならそれも当然だな。魔王より上の【神祖】だった気がしたが、まぁ、出鱈目に強かった。暴風之龍王《テュポーン》の力を奪った俺なら、戦えるかな? 
 俺と王女様二人がかりでも苦戦したし、やっぱり、難しいか……


 ……ん? 何か忘れているんような?

 ……!

 王女様!?

 「俺と一緒にいた王女様はどうなった!?」
 「うん? あなたが去った後、【姫】も撤退したから、多分、自力で帰ったと思われますが?」

 一応、確認しておこう。

 「【龍眼】」

 【龍眼】には沢山の眼に関係する能力が内包さえている。勿論、【千里眼】の能力も内包されている。俺はそれを使って、【透視】も発動させて迷宮内から地上を見る。

 「王宮にいるのか……なら大丈夫か」

 俺は一安心した。とりあえず、次の質問を悪魔に尋ねる。

 「ちなみに彼我の戦力はどうなんだ?」

 もし、こちらの味方した時、戦力差が激しいなら、俺も死ぬだけだろう。

 「創造の権能を持っているので、相手は理論上、無限の戦力を持っています。だけど、軍にいる【堕天使】の一人が、広範囲殲滅魔術で一掃するから構わないわ」

 ふむ。創造の権能ね。どっかで聞いたことがある名前だな。

 俺の【特殊技能《ユニークスキル》】の中でも目立っていた名前だな。うん。言わないでおこう。

 元、創造神は続ける。

 「恐ろしい権能だが、君の【技能奪取】で強奪すれば可能性はある」
 「本当に奪えるんでしょうか」

 一応、【特殊技能】の欄に表示されているが、【権能】は凄まじい力だ。多分、実際は【王権】よりも上のランクの技能だ。


 まぁ、俺が持っているので、関係ないが……!

 一応聞いておく。

 「ふむ。確かにそうだな。でも【王権】暴風を奪えたんだろう? じゃあ大丈夫だろう」

 なんか適当な気が……まぁ、別にいいか。

 「まぁ、万が一も考えている。それと同時に強化にもつながる方法を」
 「方法? 安全な?」

 魔獣を大量に召喚して、そいつら全部を殺せ、みたいな方法の強化かと思った。

 「大丈夫だ。技能を昇華させればいい」


 そう言って、虚空に黒い穴をあけて、中から小さなものを取り出す。


 「【美徳と大罪の種】。この世界の中でも屈指の能力、【美徳】と【大罪】へと昇華させるための種さ」

 元、創造神の手には小さな種が二つ置かれていた。
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