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第三章 塔
第十九話 朝
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朝だ。太陽の日差しが窓から入ってくる。
いい目覚め……のはずだった。ふかふかの高級ベッドで寝て、朝の日差しで目覚めるのだ。しかし、嫌な違和感を感じて、下を見た。そこには何か猫のような小動物がいた。
「うわっ」
俺は慌ててしまう。
「しっ、しっ」
手で追い払うと、猫はどこかに行った。
二度寝しようかとも考えたが、俺は起きて、部屋から出た。
部屋から出ると、沢山の魔法陣のような紋様がある。逆にそれしかない。廊下に、ずらぁっと並ぶ紋様はそれぞれの効果があり、それによって、様々な階層やエリアに辿りつくらしい。
紋様は数千に近い色で分けられている。その中でも、入口から出てすぐの魔法陣。つまり、黄色のものを踏めば、食堂に着くらしい。昨日教えてもらった。
だが、間違っても他の色を踏んではいけないらしい。特に青色系統は駄目らしい。理由は特に聞かなかったが、気になってしまう。
だが、俺は興味本位で青色を踏んだ。まるで海のような深い青色だった。
視界が暗転する。
魔法陣は全て転移がかけられているようで、転移した。
俺はゆっくりと瞼を開ける。
すると、そこには裸の少女が風呂に浸かっていた。
――大浴場だった。
「変態ッ! 死ね!」
俺が視界内に現れたことに驚いた彼女は暴言を吐いた。同時に、俺に攻撃の魔術を放ってきた。
危なッ!
俺はギリギリで避けて、弁明のために口を開く。
でも、こういう場合ってなんて言えばいいんだ。
とりあえず……と思いながら、俺はテンパってしまって、自分でも驚くような言葉が出てしまった。
「えと、綺麗ですね」
俺がその一言を放った瞬間、少女は頬を羞恥のためか朱色に染めていく。そして、一瞬で俺の懐までもぐりこみ、ボクサーも真っ青な高速パンチをみぞおちに放った。
「うぐぅ……」
「ゴミ! 死ね!」
追加で見事なアッパーを喰らい、ノックアウトされた。
▼
「全く、黄色のを踏めとあれほど言ったのに」
アル様はそう仰いました。
はい。悪いのは全て俺です。
「しかし、お前もお前だ。すぐ、そうやって人を殴るな」
「だって、ご主人さま以外に裸を見られたくないんだもん! 不細工なんだから殴られて当然よ」
彼女は平然と言い切った。同時に俺の心がパリンパリンと折れた。
「……ごめん。何度言っても言葉使いは治らなくて」
「……いいよ。別に気にしてなんかないから」
本当はとても気にしてるけど……
アルは俺の気分を気にしてか、わざとらしく大きな声で言った。
「さて、じゃあ出発しよっか」
おぉ、遂に出立か。異世界の町は初めてだから、楽しみだ。
「といっても、僕たちはそんなに動かなくてもいいんだけどね」
彼はそう言って、手を振る。俺の下に小さな魔法陣が形成された。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
その声と共に俺は眩い光に包まれ、転移した。
▼
着いた先は小高い丘の上だった。風に揺られて草草が揺れている。そんな丘からは街が見えた。
始めての異世界の街だ。
「ここが聖フラン王国の王都だ」
彼はそう説明してくれる。
街、改め都はとても美しい街並みだった。白い壁を基調とした家が多く、中心部らしきところには大きな城があった。恐らく王城だろう。
「さぁ、中に入ってみよう」
俺は彼にそう言われ、中に入るために門に向かった。
いい目覚め……のはずだった。ふかふかの高級ベッドで寝て、朝の日差しで目覚めるのだ。しかし、嫌な違和感を感じて、下を見た。そこには何か猫のような小動物がいた。
「うわっ」
俺は慌ててしまう。
「しっ、しっ」
手で追い払うと、猫はどこかに行った。
二度寝しようかとも考えたが、俺は起きて、部屋から出た。
部屋から出ると、沢山の魔法陣のような紋様がある。逆にそれしかない。廊下に、ずらぁっと並ぶ紋様はそれぞれの効果があり、それによって、様々な階層やエリアに辿りつくらしい。
紋様は数千に近い色で分けられている。その中でも、入口から出てすぐの魔法陣。つまり、黄色のものを踏めば、食堂に着くらしい。昨日教えてもらった。
だが、間違っても他の色を踏んではいけないらしい。特に青色系統は駄目らしい。理由は特に聞かなかったが、気になってしまう。
だが、俺は興味本位で青色を踏んだ。まるで海のような深い青色だった。
視界が暗転する。
魔法陣は全て転移がかけられているようで、転移した。
俺はゆっくりと瞼を開ける。
すると、そこには裸の少女が風呂に浸かっていた。
――大浴場だった。
「変態ッ! 死ね!」
俺が視界内に現れたことに驚いた彼女は暴言を吐いた。同時に、俺に攻撃の魔術を放ってきた。
危なッ!
俺はギリギリで避けて、弁明のために口を開く。
でも、こういう場合ってなんて言えばいいんだ。
とりあえず……と思いながら、俺はテンパってしまって、自分でも驚くような言葉が出てしまった。
「えと、綺麗ですね」
俺がその一言を放った瞬間、少女は頬を羞恥のためか朱色に染めていく。そして、一瞬で俺の懐までもぐりこみ、ボクサーも真っ青な高速パンチをみぞおちに放った。
「うぐぅ……」
「ゴミ! 死ね!」
追加で見事なアッパーを喰らい、ノックアウトされた。
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「全く、黄色のを踏めとあれほど言ったのに」
アル様はそう仰いました。
はい。悪いのは全て俺です。
「しかし、お前もお前だ。すぐ、そうやって人を殴るな」
「だって、ご主人さま以外に裸を見られたくないんだもん! 不細工なんだから殴られて当然よ」
彼女は平然と言い切った。同時に俺の心がパリンパリンと折れた。
「……ごめん。何度言っても言葉使いは治らなくて」
「……いいよ。別に気にしてなんかないから」
本当はとても気にしてるけど……
アルは俺の気分を気にしてか、わざとらしく大きな声で言った。
「さて、じゃあ出発しよっか」
おぉ、遂に出立か。異世界の町は初めてだから、楽しみだ。
「といっても、僕たちはそんなに動かなくてもいいんだけどね」
彼はそう言って、手を振る。俺の下に小さな魔法陣が形成された。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
その声と共に俺は眩い光に包まれ、転移した。
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着いた先は小高い丘の上だった。風に揺られて草草が揺れている。そんな丘からは街が見えた。
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「ここが聖フラン王国の王都だ」
彼はそう説明してくれる。
街、改め都はとても美しい街並みだった。白い壁を基調とした家が多く、中心部らしきところには大きな城があった。恐らく王城だろう。
「さぁ、中に入ってみよう」
俺は彼にそう言われ、中に入るために門に向かった。
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