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第二章 森の中

第十一話 【白狼】【魔熊】【緑子鬼】VS俺一人 前編

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 最初に跳びかかってきたのは、ゴブリンだった。剣を振るってくる。

 俺は身体を捻って避ける。そして、【武術】を使って蹴り飛ばす。しかし、相手は戦闘に慣れているのか、華麗に避けて、剣で突いてきた。俺はバックステップで避ける。でも、それだけでは甘く、他のゴブリンが剣を振るってるのを見逃した。

 俺は地面に着いた瞬間、屈む。頭の上を剣が通りすぎる。でも、まだまだ。

 俺は近づいたゴブリンに膝蹴りを入れる。ウッと鈍い声がゴブリンから漏れる。体勢を崩させた。

 まずは一匹目!

 そう思いながら殴った。ゴブリンは飛ばされて、ピクピクと痙攣している。

 更に、狼に【火球】を撃つ。火が具現化した瞬間、俺は狙いを狼に定め、【火球】を三発放った。

 「グォオオ!」

 狼の魔術が起動する。澄んだ青色の小さな球体が見えた。恐らく水だ。でも、それは球というより、弾。水の弾丸は俺の【火球】にぶつかり、火を消した。
 狼に一瞬、気を取られた。そんな俺に先程とは違うゴブリンは追撃をかけてくる。

 ブンッ! 風を切る音がした。余裕をもって避ける。避け切ったと俺は思った。だけど、まだ甘かった。

 熊が後ろから殴りかかってきた。

 「うわっ!」

 咄嗟に【体術】と【移動術】を使って、壁を蹴る。そのまま熊の背後に着地し、至近距離から【火球】を当てる。熊は一瞬だが、よろめいた。
 だが、後ろを振り向き、そのまま薙ぎ払おうとしてきた。
 技能《スキル》を奪われてもここまで動けるのか。

 だけど、肝心の技能《スキル》はこっちが持ってるんだ

 俺は【移動術】を使い、熊の真横までスーと移動する。

 「ハッ」

 俺は熊を蹴る。勿論、毛皮に阻まれる。ただ、それが狙いではない。そこから、身体を捻り、顔面に更に蹴りを入れる。
 そのまま、顔の付近で【火球】を放つ。

 狙いは目。身体の弱い部分を狙う。

 俺は後ろに逃げる。空中で一回転して、着地する。

 狙い通り、顔にぶつかる。先程までのように、一瞬体勢を崩した。というレベルではなく、巨体が倒れる。少しの間、動けないだろう。

 一旦、熊を後にして、次はゴブリンを殺る。
 殺す覚悟でいかないと、俺が殺られる。そんな余裕ぶって制圧できるほど、俺は強くない。

 俺はゴブリンの近くまで走っていき、手刀を当てにいく。一匹はまだ倒れていると思ったが、予想以上に回復が速く、戦線に戻ってこれたようだ。
 ゴブリンは剣を振るう。四匹の連携は整っていた。一人が攻撃、三匹はカバーという風にくる。メインの攻撃役を変えてくる。

 まずは、攻撃役を潰す。

 俺は一番、剣を振るってくる奴を重点的に狙う。

 まずは、同時に数個、【火球】を出す。それを体の周りを回るようにする。これで、いつでも【火球】を放てる。

 蹴りを放ち、手刀を振るう。

 ゴブリンは俺の動きに翻弄されながらも、短剣で攻撃してくる。サイドの奴らも短剣を持っているので、危険だ。

 身長は俺より小さいぐらいのゴブリンたちには、顔に対しての攻撃が放ちやすい。

 俺は顔面にアッパーを一発決める。奴は後ろに後退した。


 ――チャンスだ。


 今だと言わんばかりに全ての【火球】を放つ。現在の攻撃役に全弾命中。恐らく、潰した。後は三匹。

 と思ったが、自分のことを忘れるなというように、狼が魔術を放ってくる。あくまで、援護射撃。近づいてきて、攻撃することはない。

 鋭い水の弾丸は、一瞬で俺に迫りくる。咄嗟に、屈んで避ける。少しだけ遅かったようで、髪に掠る。

 熊も回復し始めてる。

 さて、どうしようか。
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