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第二章 森の中

第六話 熊

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 「洞穴だ」

 俺は歩いていると、【探索】で洞穴らしき場所を見つけた。森の中にちょっとした洞穴みたいな場所があり、パッと見た感じ、住めそうな場所だ。

 「行ってみるか」

 俺は再び歩き出した。

 「住めるといいな」

 そう思いながら森を歩いていくと、目的の洞穴が見つかった。洞穴の入り口は人一人が入れるぐらいの大きさしかなかった。住めるには住めるが、不便な生活になりそうだ。

 「ふむ」

 俺は呟いて、中に入ってみる。中は意外と広く洞穴の中では住めそうだった。奥にいくらでも続いているようだった。
  中は真っ暗で、懐中電灯が本当は必要になるだろう。そんな暗さだった。

 「でも、仕方ないな」

 ゲームで言ったら最序盤だ。お金も売れるものも何もないのに、文句を垂れても仕方ない。ある程度、文明が進んでいるといいな。流石に中世だろうが、どうなのだろうか。

 フランは何か言ってたけ。

 まぁ、いい。

 俺は歩き続け、ある程度の場所まで来た。微かに入口からの陽光が届いているようだった。まだ視界はボヤけるが見える。

 ふと、異変を感じて、横を見る。暗くてよく見えないが、生物がいるようだ。


 ――大きな熊がいた。


 熊です。そう、熊。超巨大な熊。茶色の深い毛皮に覆われていて、如何にも熊といった様態が寝息を立てていた。大きさは三メートルぐらいはあった。えぇ、どうしましょうかね……とか言ってても仕方ない。

 熊は寝ているようだし、今のうちに引き返すべきだろう。

 「ここには住めないか」

 俺は愚痴りながら、洞穴から出るために踵を返した。でも、それは一歩遅かったらしい。


 後ろから異様な殺気がする。思わず後ろを振り向く。



 ――熊がこちらを見ていた。憎悪を滲ました両目で……



 「えっ!?」
 「グオォオオオ」

 それは熊なのかという声で叫び、いきなり攻撃してきた。

 「グォォ!」

 鋭い爪で、引裂こうとしてくる。間一髪、バックステップで避ける。

 危ねぇ! 即死するところだった。

 逃げ切る。あの巨体から逃げ切るのは多分簡単……かもしれない。
 俺はバックステップで避けながら洞穴の外へ逃げ出そう。そう考えながら、ひたすら逃げ続ける。なんとか奇跡的にも一撃も当たる事なく逃げ切れそうだ。

 (危なかったぁあああ)

 だが、それは甘かった。楽観的なことを考えていたからだろうか。



 ――なんか、盛大なフラグ立てた気がする



 鋭い攻撃を振るってくる。巨体に似合わないスピードだ。後ろにはねながら、入口から光が漏れ出てるのを見つけた。入口までもうすぐだ。

 でも、熊は賢かった。

 「ガウォオオ!!!」

 熊が叫び声をあげながら、腕を振り回す。そして、天井を壊した。

 「えぇええええええええ!」

 俺は思わず叫ぶ。

 ガラガラガラ

 岩が落ちてくる。俺は寸前で避けた。あんなのに押しつぶされたら、一生の終わりだ。そう考えながら、必死に逃げ惑っていると、瓦礫で入口が塞がってしまったことに気付いた。

 何て最悪なやつだ。瓦礫の山のせいで、俺は逃げ切れなくなった。

 「となると、あいつを倒すしかないのか」

 呟きながら、不可能だなと考えていた。だって、あの大きさの熊が普通に倒せるとは思えない。
 俺に唯一の攻撃的な手段は、【火属性魔術】しかない。

 「奥に逃げれば、まだ可能性はある…のか」

 俺は少しでも逃げようと巨大な熊が元々いた奥の方に走った。
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