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49 高速魔法戦
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「この一撃で沈めぇぇぇぇッ!」
ウェイクはドラゴンと私が話している間、ずっと強化魔法を両足と右の拳に込めていた。戦闘が始まった瞬間、大地を蹴り砕いて移動し、ドラゴンの腹部に右ストレートを叩き込んだ。
効いてる。ドラゴンの巨体がくの字に折れ曲がった。
「オポト、付与魔法を!」
「はいッ」
レオナード皇子がドラゴンの右側に回り込みながらオポトから付与魔法を受け取り、皇子の銃光剣がさらに輝きを増した。
ドラゴンは懐に入ったウェイクを潰そうとしたが、脚力を強化したウェイクは一瞬でドラゴンの懐から離脱したため、レオナード皇子の方に視線を向けた。
「これでも喰らってな」
ロニがレオナード皇子の背後を少し遅れて追いかけながら魔法を完成させた。〝石礫〟という初級魔法ゆえに短文詠唱で済む魔法をドラゴンの両目を狙って飛ばすと目に当たるのを嫌がり大きく首を横に振った。
「はあッ!」
その間にレオナード皇子がドラゴンの脇腹に無数の斬撃を加え、強靭な鱗に傷を与えていく。
「わ、私にはこれくらいしゅか……」
次にエマの魔法が完成した。足元から木の葉が噴水のように大量に噴き上がるとドラゴンのまわりに纏わりつかせ、視界を妨害する。
「おっと、逃がしませんよ」
ドラゴンが宙へ逃れようと羽を広げた瞬間、ウェイクと同様、会話中に魔法の詠唱を始めていたミラノの強力な風魔法が完成した。──〝箒墜星〟により上空に発生した無数の圧縮された空気が流星群のようにドラゴンへ流れ落ち、翼がボロボロになるまで撃ち抜いた。
「あとは私とサラサに任せて皆さがって」
サラサの光魔法で光粒が私とサラサのまわりに無数に浮かんでいる。
飛行支援魔法〝宙船〟──音の壁を破る程の速度で飛行できるため、ドラゴンの攻撃をすべてかわすつもりで戦闘に望む。
サラサの魔力が切れるまでは。空からの対地戦を挑みサラサの魔力が切れた時点で、私とドラゴンのガチンコの魔法の殴り合いで勝負を決める。
ドラゴンは二重奏で結界魔法を発動したままさらに攻撃魔法まで行使してくる。そのため大きな魔法は長文詠唱ゆえにタメ時間が長いので使えない。短文魔法を連発し結界を張り続けてもらう。
歴史の本に載っている龍魔法を間近で見たのはこの千年で私とサラサだけかもしれない。
岩でできた槍のようなカタチのものを何百、何千本と放ってくるが、私たちはそれをことごとく回避していく。
サラサは回避に専念してもらいながらも時折、ドラゴンの注意を逸らすべく背後に回ったりして、ドラゴンが張っている結界のカバー範囲を拡げさせて魔力の消耗を加速させようと立ち回ってくれている。
数分間の高速魔法戦闘でサラサの魔力に限界が見え始めた。ドラゴンが飛ばしてくる岩の槍を避ける動きに精彩を欠き始める。
「サラサ、そろそろ下がって」
「シリカ、前ッ!?」
──しまった! これを狙ってたのか。
ドラゴンと言えば、口から吐くブレスがもっとも有効な攻撃なはずなのにいっこうにブレス攻撃をしてこないので、油断してしまった。
「【〝超硬筐体〟】」
これまで温存していた賢者アールグレイの魔法が間一髪で間に合った。光輝くブレスに包まれる間際に最硬金剛石に匹敵する硬度を持つ四角い函に守られた。
でも、たった一度のブレスで魔法の函がボロボロになってしまった。
私は魔力がほぼ切れたサラサを抱きかかえ、地上へ降りた。そんな私たちに大きく口を開けて2射目のブレスを吐こうと準備しているドラゴンが視界に映った。
ウェイクはドラゴンと私が話している間、ずっと強化魔法を両足と右の拳に込めていた。戦闘が始まった瞬間、大地を蹴り砕いて移動し、ドラゴンの腹部に右ストレートを叩き込んだ。
効いてる。ドラゴンの巨体がくの字に折れ曲がった。
「オポト、付与魔法を!」
「はいッ」
レオナード皇子がドラゴンの右側に回り込みながらオポトから付与魔法を受け取り、皇子の銃光剣がさらに輝きを増した。
ドラゴンは懐に入ったウェイクを潰そうとしたが、脚力を強化したウェイクは一瞬でドラゴンの懐から離脱したため、レオナード皇子の方に視線を向けた。
「これでも喰らってな」
ロニがレオナード皇子の背後を少し遅れて追いかけながら魔法を完成させた。〝石礫〟という初級魔法ゆえに短文詠唱で済む魔法をドラゴンの両目を狙って飛ばすと目に当たるのを嫌がり大きく首を横に振った。
「はあッ!」
その間にレオナード皇子がドラゴンの脇腹に無数の斬撃を加え、強靭な鱗に傷を与えていく。
「わ、私にはこれくらいしゅか……」
次にエマの魔法が完成した。足元から木の葉が噴水のように大量に噴き上がるとドラゴンのまわりに纏わりつかせ、視界を妨害する。
「おっと、逃がしませんよ」
ドラゴンが宙へ逃れようと羽を広げた瞬間、ウェイクと同様、会話中に魔法の詠唱を始めていたミラノの強力な風魔法が完成した。──〝箒墜星〟により上空に発生した無数の圧縮された空気が流星群のようにドラゴンへ流れ落ち、翼がボロボロになるまで撃ち抜いた。
「あとは私とサラサに任せて皆さがって」
サラサの光魔法で光粒が私とサラサのまわりに無数に浮かんでいる。
飛行支援魔法〝宙船〟──音の壁を破る程の速度で飛行できるため、ドラゴンの攻撃をすべてかわすつもりで戦闘に望む。
サラサの魔力が切れるまでは。空からの対地戦を挑みサラサの魔力が切れた時点で、私とドラゴンのガチンコの魔法の殴り合いで勝負を決める。
ドラゴンは二重奏で結界魔法を発動したままさらに攻撃魔法まで行使してくる。そのため大きな魔法は長文詠唱ゆえにタメ時間が長いので使えない。短文魔法を連発し結界を張り続けてもらう。
歴史の本に載っている龍魔法を間近で見たのはこの千年で私とサラサだけかもしれない。
岩でできた槍のようなカタチのものを何百、何千本と放ってくるが、私たちはそれをことごとく回避していく。
サラサは回避に専念してもらいながらも時折、ドラゴンの注意を逸らすべく背後に回ったりして、ドラゴンが張っている結界のカバー範囲を拡げさせて魔力の消耗を加速させようと立ち回ってくれている。
数分間の高速魔法戦闘でサラサの魔力に限界が見え始めた。ドラゴンが飛ばしてくる岩の槍を避ける動きに精彩を欠き始める。
「サラサ、そろそろ下がって」
「シリカ、前ッ!?」
──しまった! これを狙ってたのか。
ドラゴンと言えば、口から吐くブレスがもっとも有効な攻撃なはずなのにいっこうにブレス攻撃をしてこないので、油断してしまった。
「【〝超硬筐体〟】」
これまで温存していた賢者アールグレイの魔法が間一髪で間に合った。光輝くブレスに包まれる間際に最硬金剛石に匹敵する硬度を持つ四角い函に守られた。
でも、たった一度のブレスで魔法の函がボロボロになってしまった。
私は魔力がほぼ切れたサラサを抱きかかえ、地上へ降りた。そんな私たちに大きく口を開けて2射目のブレスを吐こうと準備しているドラゴンが視界に映った。
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