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長編
第19話 とある公園にて
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土曜日の夕方、いつもなら自宅のエアロバイクで運動するが、外の空気もたまには味わおうと住んでいるアパートから少し離れたところにある大きな公園に向かう。外周が約1kmくらいあるので、距離の計算が楽ということもあって、たまに利用している。
なんかやっているな。
公園の中央にある芝生エリアに犬や猫、そしてその飼い主たちが集まってなにかをしている。
まあ、動物は飼ってないから俺には関係のないことだ。外周道路の目印となる鳥のモニュメント前で入念にストレッチをして、ランニングを始めた。
10周で約10キロの距離を1時間ギリギリ切るくらいで、回り終えた。
だいぶカラダがなまっている。現役でバスケをやっていた学生の頃は、10キロを50分切れたのに鉛のようにカラダが重くて、足が前に出なかった。
「那珂川さん?」
息を整え、カラダが冷える前にもう一度、ストレッチをしていると、背後から声をかけられた。
後ろへ振り向くと、お洒落なバーをしている当真くんのお兄さんが立っていた。
「こんばんは、当真さんも運動ですか?」
「あ、こんばんは」
当真くんのお兄さん。フワフワのぬいぐるみのような犬を散歩させている。
「トイプードルですか?」
「ええ、実家の方に先月、知り合いからもらった犬なんですが」
「へぇ~目が可愛い。人形みたいですね」
「散歩させていると、よく言われます」
「名前はなんて言うんですか?」
「この子は〝コスケ〟って言います」
「ぐはぁッ」
「どうしました?」
「あ、いえ、大丈夫です。なんでもありません」
「未央が絶対にコスケって名前がいいって言うものですから」
「へ、へぇそうなんですね」『ゾクッ』
当真くん、なぜ俺の下の名前を? いや、たまたまコスケって名前をつけたかったのかもしれないし、他にコスケというアニメとかゲームとかの名前から取った可能性だってある。
「当真くん……未央くんは今日は一緒じゃないんですね」
「ええ、でもこれから待ち合わせをしてまして」
当真くんとお兄さんが? ふーん。
「ほら、向こうにいます」
公園の真ん中にペットがたくさんいるところ。そこによく見ると当真くんの姿が確認できた。
「良ければ見ていきませんか?」
「そうですね。ではお言葉に甘えて」
まあ、俺もペットを飼っていないから先ほどまでは興味がなかったが知り合いがいるのなら話は別だ。先ほどからあの集団が何をしているのか気にはなっていた。
わんにゃんマッチング。犬と猫が集まり、同じ血統種同士でお見合いさせて、交配相手を探すという言わば集団お見合い会場のようなもの。
「当真くんこんばんは」
「あ、先輩♪」
当真くんはケージの中に入れた愛猫と一緒に同じ血統の猫の飼い主たちと一緒にいた。
なんか男のひとが多いな……。それも当真くんの周りに多い。
俺と当真くんのお兄さんがやってくると、飼い猫のケージを持ってそそくさと当真くんの周りからほとんどの人が撤収していった。まったく、どっちのお見合いなんだか……。
「この子は〝キュリ〟ちゃんです」
スコティッシュ・フォールド……折れ曲がった耳が特徴的で愛くるしい顔をしている。
結局、キュリちゃんは、年配の女性の猫と相性を確かめるためにその女性の家に来週から1週間預かることに決まった。運営をしている主催者のいるテントへ行き、血統書の写しの提出と連絡先の記入を行う。
薄暗くなってきたので公園の街灯が点き始め、集会が終わったので、皆、それぞれの方向へと散っていく。
「よし、じゃあ帰るか未央、コスケ」
「はッ」
あれ、どうしたんだろう?
当真くんが何かに気が付いたようにお兄さんに質問した。
「おにいちゃんもしかして……」
「どうした?」
兄の手を引っ張って、俺から離れた遠くのところでなにかを話した後、顔を真っ赤にして、くるくるポカポカと園児パンチをしている姿を見て『ゾクッ』とした。
なんかやっているな。
公園の中央にある芝生エリアに犬や猫、そしてその飼い主たちが集まってなにかをしている。
まあ、動物は飼ってないから俺には関係のないことだ。外周道路の目印となる鳥のモニュメント前で入念にストレッチをして、ランニングを始めた。
10周で約10キロの距離を1時間ギリギリ切るくらいで、回り終えた。
だいぶカラダがなまっている。現役でバスケをやっていた学生の頃は、10キロを50分切れたのに鉛のようにカラダが重くて、足が前に出なかった。
「那珂川さん?」
息を整え、カラダが冷える前にもう一度、ストレッチをしていると、背後から声をかけられた。
後ろへ振り向くと、お洒落なバーをしている当真くんのお兄さんが立っていた。
「こんばんは、当真さんも運動ですか?」
「あ、こんばんは」
当真くんのお兄さん。フワフワのぬいぐるみのような犬を散歩させている。
「トイプードルですか?」
「ええ、実家の方に先月、知り合いからもらった犬なんですが」
「へぇ~目が可愛い。人形みたいですね」
「散歩させていると、よく言われます」
「名前はなんて言うんですか?」
「この子は〝コスケ〟って言います」
「ぐはぁッ」
「どうしました?」
「あ、いえ、大丈夫です。なんでもありません」
「未央が絶対にコスケって名前がいいって言うものですから」
「へ、へぇそうなんですね」『ゾクッ』
当真くん、なぜ俺の下の名前を? いや、たまたまコスケって名前をつけたかったのかもしれないし、他にコスケというアニメとかゲームとかの名前から取った可能性だってある。
「当真くん……未央くんは今日は一緒じゃないんですね」
「ええ、でもこれから待ち合わせをしてまして」
当真くんとお兄さんが? ふーん。
「ほら、向こうにいます」
公園の真ん中にペットがたくさんいるところ。そこによく見ると当真くんの姿が確認できた。
「良ければ見ていきませんか?」
「そうですね。ではお言葉に甘えて」
まあ、俺もペットを飼っていないから先ほどまでは興味がなかったが知り合いがいるのなら話は別だ。先ほどからあの集団が何をしているのか気にはなっていた。
わんにゃんマッチング。犬と猫が集まり、同じ血統種同士でお見合いさせて、交配相手を探すという言わば集団お見合い会場のようなもの。
「当真くんこんばんは」
「あ、先輩♪」
当真くんはケージの中に入れた愛猫と一緒に同じ血統の猫の飼い主たちと一緒にいた。
なんか男のひとが多いな……。それも当真くんの周りに多い。
俺と当真くんのお兄さんがやってくると、飼い猫のケージを持ってそそくさと当真くんの周りからほとんどの人が撤収していった。まったく、どっちのお見合いなんだか……。
「この子は〝キュリ〟ちゃんです」
スコティッシュ・フォールド……折れ曲がった耳が特徴的で愛くるしい顔をしている。
結局、キュリちゃんは、年配の女性の猫と相性を確かめるためにその女性の家に来週から1週間預かることに決まった。運営をしている主催者のいるテントへ行き、血統書の写しの提出と連絡先の記入を行う。
薄暗くなってきたので公園の街灯が点き始め、集会が終わったので、皆、それぞれの方向へと散っていく。
「よし、じゃあ帰るか未央、コスケ」
「はッ」
あれ、どうしたんだろう?
当真くんが何かに気が付いたようにお兄さんに質問した。
「おにいちゃんもしかして……」
「どうした?」
兄の手を引っ張って、俺から離れた遠くのところでなにかを話した後、顔を真っ赤にして、くるくるポカポカと園児パンチをしている姿を見て『ゾクッ』とした。
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