創世の槍使い

カランコロン

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憧れて

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「そう、入隊希望者だ。数年ぶりと言うより初だな」

「へぇ、そんな奇特な人もいるんだね」

「あぁ、それも特殊も特殊。3番隊の隊員に憧れて入って来るらしいからな」

「・・・憧れて?」

私はそう呟いて思いっきり顔を顰めた。

どんな変人よ。

そんな思いを全面に出す。

3番隊は他の隊から言わせたら変人部隊。

それは本当のことだ。

全員個性が強すぎるし、警戒心も強いから他人を簡単には信じない。

故に友人関係も隊内でほぼ完結されている状態だ。

『1度隊のスペースから出れば、敵だらけ』

それが3番隊の隊員の共通概念だ。

過去に色々あったのだから仕方ない。

「で、その人は誰に憧れて3番隊に入りたいの?」

「お前だよ。だからここに呼んだんだろ」

「は?」

思わず目を点にしてしまう。

「そいつの名前はリンネ。元々2番隊の一員だったが、問題を起こして今日付けで3番隊異動になった。大事だが、本人は大喜びしてる『やっと3番隊に入れる』ってな」

「やっと?」

「ああ、あいつは初めから3番隊に配属願いを出してたんだよ。だけど、3番隊には特殊な事情か能力がないと入れないからな」

「ああ」

なるほど。

口に出さず心のなかで呟いた。

「それで?どうせ私に迎えに行けって言うんでしょ?でも、その前に聞かせてよ。その子の起こしたもんだ問題って何」

「異能の暴走だ。強力な言霊の異能を2番隊の隊員目掛けて暴発させた。なんでも敵意に反応するらしい。それを本人は制御出来きれてない」

「なるほど。敵意、ねぇ」

2番隊は女性が半数を占める隊だ。

女の嫉妬や悪意が1番渦巻きやすいあの環境なら、有り得る。

「それで除隊よりも3番隊異動を選んだ猛者なわけね。わかった、迎えにいく」

「そのついでにしばらくそいつの教育係になってくれると助かる」

「ハイハイ」

「あいつはまだ2番隊のスペースの自室にいるはずだ。初対面ついでに初任務行ってこい」

「わかった」

そうやって簡単なやり取りをして私はサイカの執務室を出た。
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