君と僕と秋もみじ

僕-2

 まず吉明はアパートの近くの商店街に向かった。

 道に沿って立ち並ぶ多くの店には、夕暮れ時だからかたくさんの人が押し寄せている。

肉屋、魚屋に八百屋など、この町では専門店が繁盛していて活気があるようだ。

八百屋や魚屋でバイトをしている自分を想像してみるが、自分に客に真っ向から商品を売りに行くのは向いていないと思う。

だからと言って、店舗の裏方で力仕事というのもキツそうな気がする。

客との距離が近すぎるのも、遠すぎるのもダメだな。

人とは話したいけど、ガンガン話に行くのは難しい。

 そう思ったとき、目の隅に’カフェホープ‘という緑色の看板が見えた。

 木材を主に使ったカントリーな雰囲気の店だ。


そこの店にも募集広告が貼って有った。

「ウェイター、ウェイトレス募集、時給900円・・・」

それに賄い付き。

ウェイターの仕事はしたことがないけど、これなら丁度いいんじゃないか？

スマホで募集広告の写真を撮ると、吉秋は家路に着いた。