『ヘブン』

第31話。

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　香澄の父、つまり、真輔の祖父は、バスの運転手で、池田家の家計を助けるために、必死で頑張った。バスは、うちの町の近くを走っていて、香澄の父、功は、必死でバスを運転し、夜遅くまで働いて、それから、池田家に帰って、晩酌をして、寝た後、明け方に起き出し、また、バスセンターに出勤して、再び、バスに乗り込んで、運転手をしながら、ずっと頑張った。俺は、功が誇らしいと思う。功は、真輔が生まれたとき、「孫が生まれた」と言って、喜んだ。その時の笑顔を、香澄は、手持ちのカメラで撮った。俺は、その時の写真を、香澄が池田家のアルバムに入れて、取っていることを知っている。池田家は、実にしっかりしている。何でも取っておく。香澄は、昔のスマホの書類も取っている。残らず、フォルダーに入れて、だ。俺は、功の写真が、池田家の茶の間に、額に入れて飾ってあるのを知っている。実に威厳のある顔をして、写っている。いかにも、昔気質の老紳士と言った感じだ。俺は、池田家にお邪魔するたびに、その立派なお写真を見て、惚れ惚れする。