『我が青春』

最終話。

　俺と父親、俺と自分の親族は、どうやら、馬が合わない者同士らしい。今でも、俺は、父親の財布から、黙ってお金をまとめて抜き取り、武田家に持っていく。当然と思え！人を小ばかにして、名誉を棄損した罰だ。虐待した罰だ。そう思ってくれ。俺は妻が愛しくなるにつれて、どんどん、父親の財布から、お金を抜き取ることが面白くなってきて、愉快にもなってきて、妻もいつしか、その抜き取ったお金を、ありがたく受け取ってくれるようになっていった。俺は下手すると、月に、20万円ほど、無心して、武田家に献金した。妻がスマホ代が足りない時など、父親の財布から、万札を5枚ほど、まとめて抜き取って、持っていってあげた。妻のスマホは止まらずに済んだ。もうすぐ、この青春記も書き終えることにするが、最後に言っておくと、俺は今、いよいよ耄碌して、風呂にも入らない、歯も磨かない、夜は酒を飲んで暴れ回る、レビー小体型認知症の老父をどこに島流しにしてやろうか、考えているところである。今、俺は、自宅2階の部屋に、堅固な城を作って、パソコンも、デスクトップ1台、ノート2台を置いて、自分が自由に執筆ができるようにしている。この家に永住するつもりだ。これが、何かと波乱変転が続いて、今に至っている我が半生の記である。ここに筆を結ぶ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（了）