『倫明』

『倫明』

　叔父の息子で、篠崎家の向かいにある、国菊酒造の跡取り。一応だが……。というのも、倫明自体が、早稲田の政経まで出ておいて（しかも、一浪してだ）、器量というのが全くなく、また、国菊酒造の社員からは、一定の人望のようなものはあって、上手くやっているようだが、実際、倫明が跡を取れば、叔父のやった甘酒や千年の眠り、それに、朝倉市の新道というところにある、ワイン工場も、潰しかねない。はっきり言って、あの会社の将来は暗澹としている。大体、高校から、ラサールにまで行っておいて、早稲田の政経というのが笑える。普通、ラサールからなら、東大文Ⅰとか、京大の法学部とか、一橋大の経済とか、それぐらいのレベルの大学を狙えて、当然だろう。なのに、早稲田。しかも、一浪して、その一浪中も、東大受験に前期後期、二度も失敗している。しかも、国菊酒造に来る前は、司法試験を目指して、福岡大学の法科大学院に入学して、勉強したけど、試験はことごとく、失敗。これが、早稲田？そう思ってしまう。私は、佐賀の弘学館高校を卒業した後、二年ブランクがあって、その間、受験勉強は全くしないで、ブランクを経た後、河合塾福岡校に三ヶ月だけ、申し訳程度に通って、それで、福岡大学人文学部歴史学科に、余裕で合格した。慶応義塾大学の文学部受験こそ、失敗したけど、みっちりと、一年間、勉強して、対策をしていれば、多分合格している。受験のテクニックなど、そんなもので、一夜漬けでも、十分、偏差値の高い大学は狙える。そんなもの。倫明の話題からだいぶ逸れたけど、はっきり言って、受験とか、試験なんて、出るところだけ覚えれば、後は楽勝。福大受験対策なんか、やろうと思えば、一ヶ月でできる。そんなもの。例えば、予備校に通う電車の中で、英単語とか、古文単語、イディオム、グラマーなどを、速読等で、マスターすることだ。受験など、即戦力。そんなものだ。要領がいいやつは、出るところだけマスターして、試験に備える。倫明は、そういったことがまるでできない馬鹿者であり、痴れ者。そうとしか、言いようがない。だって、そうでしょ？ラサールって、れっきとした受験校で、河合塾よりも、みっちり受験対策するでしょうが？考えてみてくださいよ。倫明がいかに、出来損ないか、分かるだろうと思います。語尾の調子が、あべこべになって、幾分読みにくい文章になったけど、受験とか、試験は要領。頭がいいやつは、短期間で、対策を済ませて、余裕で試験に臨む。そんなものだ。ちなみに、このエッセーの最後に申し述べておくと、倫明が、国菊酒造を継げば、全部潰す。倒産は免れないだろうと思う。いつ、国菊が不渡りを出すか、今から楽しみ。それでは、このあたりで、このエッセーを結稿させていただく。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（了）